広報紙 vol.40しんゆりニュースレター

内視鏡手術×体外受精
理想の生殖医療を総合病院で追求

新百合ヶ丘総合病院
リプロダクションセンター長/産婦人科 部長
たじま ひろと
田島 博人 医師
【プロフィール】
1997年慶應義塾大学医学部卒業、同産婦人科学教室入局。2001年同生殖遺伝研究室所属。04年日本初の着床前遺伝子診断の承認および実施に従事。07年ミトコンドリア病の着床前遺伝子診断に関する研究で医学博士。埼玉社会保険病院産婦人科医長・免疫研究室長(体外受精責任者)を経て、12年新百合ヶ丘総合病院オープニングスタッフ。19年より現職。当院リプロダクションセンターよりESHRE/ASRM(ヨーロッパ/アメリカ生殖医学会)など多くの学会で積極的に臨床研究の成果を発信中。
03/06年第21回および第24回日本受精着床学会 世界体外受精会議記念賞、18年第58回日本産科婦人科内視鏡学会 学術講演会 動画部門学会賞
日本産科婦人科学会専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡および子宮鏡)/日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医/日本生殖医学会生殖医療専門医

内視鏡手術×体外受精
理想の生殖医療を総合病院で追求

新百合ヶ丘総合病院
リプロダクションセンター長/産婦人科 部長
たじま ひろと
田島 博人 医師
【プロフィール】
1997年慶應義塾大学医学部卒業、同産婦人科学教室入局。2001年同生殖遺伝研究室所属。04年日本初の着床前遺伝子診断の承認および実施に従事。07年ミトコンドリア病の着床前遺伝子診断に関する研究で医学博士。埼玉社会保険病院産婦人科医長・免疫研究室長(体外受精責任者)を経て、12年新百合ヶ丘総合病院オープニングスタッフ。19年より現職。当院リプロダクションセンターよりESHRE/ASRM(ヨーロッパ/アメリカ生殖医学会)など多くの学会で積極的に臨床研究の成果を発信中。
03/06年第21回および第24回日本受精着床学会 世界体外受精会議記念賞、18年第58回日本産科婦人科内視鏡学会 学術講演会 動画部門学会賞
日本産科婦人科学会専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡および子宮鏡)/日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医/日本生殖医学会生殖医療専門医
  • 当院は不妊治療の2本柱である内視鏡手術(腹腔鏡/子宮鏡/卵管鏡)と生殖補助技術(体外受精/顕微授精)の両方を、内視鏡技術認定医および生殖医療専門医のもとで行うことができる、日本でも数少ない生殖医療専門施設となっております。不妊治療は自費診療が占める割合が多く、受診するクリニックによって治療方針が全く異なる場合も少なくありません。具体的には、一般不妊治療で十分妊娠が見込める方に体外受精が行われていたり、治療前に手術が必要と考えらえる方に漫然と人工授精や体外受精が繰り返されていたりと、様々な事例を認めます。当院では患者さんの限られた時間を無駄にすることなく効率良く治療を行うことを第一とし、すべての治療の選択肢を揃えて、各々の成功率・リスク・時間・費用などを総合的にお話しして公平性を保った上で方針を決め、良好な信頼関係を築きながらご妊娠までの道のりを共に歩んでいきたいと考えております。

    当院リプロダクションセンターは、現在日本一の症例数を誇る年間約1,500件の腹腔鏡手術、約300件の子宮鏡手術に支えられています。不妊でご来院される患者さんは何らかの器質的問題(卵巣嚢腫や子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、卵管閉塞など)を抱えている方が少なくあり

  • ません。まず正確な診断を行い、外科的介入が必要となれば迅速な対応をとれるのが当院の大きな強みです。実施施設の少ない卵管鏡手術や、最新の細径子宮鏡による外来手術なども積極的に導入しています。また高度生殖医療である体外受精/顕微授精については厳格に品質管理された胚培養室を運営しており、移植あたりの臨床妊娠率は日本の平均体外受精成績を常に5~10%上回る良好な妊娠成績を維持しています。毎月第4土曜日に開催している体外受精セミナーは毎回多くの患者さんにご参加いただき、ご好評をいただいております。

    総合病院での不妊治療の利点として他科との連携の容易さ、休日夜間の救急対応が可能であることが挙げられますが、何より妊娠後も分娩までフォローアップが可能であることが当院の最大の強みです。多くの不妊クリニックは妊娠までの極めて短い期間しか対応ができませんが、赤ちゃんを抱いてお帰りいただくまで診ることが不妊治療を行う責任と考えています。産科健診・出産そして小児科での対応まで一貫した管理ができますので、患者さんには大きな安心感を得ていただけると思いますし、我々スタッフも大きな達成感・充実感が得られ、雰囲気の良い診療体制に大きく寄与していると日々感じております。

リプロダクションセンターのご紹介

受診の際は、必ずご予約をお取りの上、ご来院ください。
【予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)】 ※月~土(日・祝日除く)

  • リプロダクションセンター医師リプロダクションセンターの医師
    (左から中筋医師、佐藤医師、向田医師、田島医師、安藤医師、原医師)
  • リプロダクションセンターの培養士リプロダクションセンターの培養士

◎リプロダクションセンターの特徴

「赤ちゃんが欲しくてもなかなかできない」「検査した方がいいかもしれないけれどなかなか勇気が出ない」「何度か不妊治療にトライしたけれど結果が得られない…」と、不妊で悩む夫婦は年々増え続けており、その割合は6組に1組ともいわれております。そんな悩みを抱えた方々のお力になることを使命としている、総合的な不妊治療を行うことのできるセンターです。

最新鋭の機器を備えた胚培養室を核として、熟練した排卵誘発・採卵・胚培養・胚移植技術、そして数多くの経験を活かした内視鏡技術を駆使する理想の不妊治療を行っています。心の通った丁寧な診療を実践していきたいと、スタッフ一同考えております。

リプロダクションセンターの実績

リプロダクションセンターの実績

体外受精セミナー

体外受精に関心を持たれている方々を対象に、毎月一回開催しています。お気軽にご参加ください。コロナ禍の現在は、WEB(ZOOM)による動画配信を行っております。
日時
基本、毎月第4土曜日 15:00~16:00
会場
新百合ヶ丘総合病院3階 研修室
講師
新百合ヶ丘総合病院 産婦人科部長 田島 博人 医師もしくは 産婦人科医長 原 周一郎 医師
内容
不妊治療の基礎知識/体外受精の実際~高い妊娠率を得るために~/手続きと費用について
参加費
無料
※ご夫婦揃っての参加をお勧めします。お一人参加も可。
問合せ
広報課 ☎044-322-9991(代)※要予約・先着20組

音楽部の活動

  • 音楽部の活動
  • 田島医師は当院音楽部でコンサートマスターを務めています。音楽部は様々な職種の職員とその仲間から構成される管弦楽団。音楽で癒しと生きる力を感じていただき、患者さんの心の支えになることを目標としています。当院STRホールで定期的にコンサートを開催しており、次回は11月21日(土)に動画配信を行う予定です。

放射線科コラム

肝臓MRエラストグラフィーってどんな検査?

診療放射線科 放射線技師 堀 大樹


成人病が増加している現代、隠れ脂肪肝も増加していると考えられています。脂肪肝の約25%は肝線維化を起こすといわれており、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)を誘発する因子の一つとして注目されています。

低侵襲な検査で脂肪肝を見つける方法はCTやエコー検査が有名ですが、肝線維化の程度まではわかりません。しかし近年、MRI装置を用いて行われる肝臓MRエラストグラフィー(MRE)と呼ばれる、低侵襲的な検査によって肝臓の線維化の程度がわかるようになりました。MREでは造影剤などのお薬を使用する必要がなく、さらにMRI検査であることから放射線被ばくもありません。図1のように、通常の肝臓MRI検査と異なる点は、「パッシブドライバー」と呼ばれる装置を腹部に当てて肝臓に振動を与えることです。もちろん痛みなどは一切ありません。

パッシブドライバーから振動が発生

  • 肝臓に振動を与えながらMRIで撮像することで、どの程度肝臓が振動しているかを計測することができます。図2のように、もし肝臓が柔らかく正常な状態であればたくさん振動し、紫色に表示されます。一方で肝臓が硬くなり線維化を起こしていると振動が少なく、赤く表示されます。

肝臓の硬さに基準はあるの?

  • MREは肝臓の硬さを数値で表すことができます。その数値と肝線維化のステージングはどのような関係になっているのでしょうか? 様々な論文が発表されているため、閾値に多少の違いはあるのですが、図3のグラフのようにステージが高いほど肝線維化が進行しており、一般的には硬度が2.5kPa程度ではstage1、3.0kPa程度ではstage2、4.0kPa程度ではstage3、4.5kPa以上ではstage4の可能性が高いとされています。ここで注意が必要なのは、このグラフからも読み取れるように、硬度はステージング間でかなりの重なりがあることです。従って、MREによって2.5kPaという測定値が得られても、必ずしもそれがstage1と断定できるのではなく、stage0からstage2程度の可能性が高いという幅を持っています。

MREは低侵襲で簡便な検査です。当院では脂肪肝ドックと称した肝像MREの健康診断を受けることができます。早期発見・早期治療のためにも脂肪肝ドックをご利用ください。
脂肪肝ドックはこちらから

  • リプロダクションセンター内
    培養室のご紹介

    培養室長 秋元 諭

培養士の業務

培養室では、不妊治療を受ける患者さんに対して体外受精を実施します。人間の自然妊娠においては、卵管で精子と卵子が受精し、受精卵が成長しながら子宮に運ばれて、妊娠が成立します。体外受精とは、この卵管で起きていることを体の外で再現し、子宮へとバイパスすることなのです。具体的には、医師が卵巣より卵子を採取し、培養士が卵子と精子を受精させ、培養して成長させます。成長した受精卵の中から、元気に育った受精卵を凍結管理したり、あるいは子宮内への移植を医師と共に行うのが、私たち培養士の主な業務です。いうなれば、患者さんの受精卵をお世話するベビーシッターのような仕事です。

培養室の管理

当院の培養室では、可能な限り自然な妊娠のプロセスに近付けるよう心掛けています。しかし、体外の環境は母体の環境に遠く及ばず、受精卵たちにとっては非常にストレスフルな環境です。全てのプロセスを卵管内に近付けるためには、高度な機械類の導入と、使用する機器や培養液の徹底的な管理体制を維持することが大切です。そのためには全ての治療手順をシステム化し、高いレベルで平均化する必要があります。また、全ての手技を可能な限り迅速に正確に、そして安全に実行する必要もあります。当院では全てのスタッフが高いレベルの技術を提供できるように、徹底した教育管理を行い、独自の厳しい教育基準に合格したスタッフのみが、患者さんの受精卵を扱います。

培養士として

教育を進めていく上で最も大切なのが、新人の培養士に受精卵の価値を理解させることです。目の前の卵子はただの検体や細胞ではなく、これから生まれる一つの命です。現在向き合っている受精卵の向こう側に、同じ数だけ患者さんの想いがあって、それを感じながら臨床に向き合っていかなければいけません。それが培養士として一番大切なことです。また、培養士は常に生まれてくる赤ちゃんのことを考えなくてはいけません。みだりに妊娠することのみを意識して、妊娠率の向上に傾倒していくのではなく、元気で健康な赤ちゃんを患者さんに抱かせてあげることを目指すべきです。そのためには何が正しいのかを模索し続けることが、私たち培養士に与えられた責務だと思います。

培養室・リプロダクションセンターの向上を目指して

培養室の質の向上はリプロダクションセンターの向上に直結します。スタッフ全員が日本一の培養室を目指して、常に最善の培養環境を追求し続けます。私たち培養士は、患者さんの受精卵と本気で向き合い、一人でも多くの患者さんに赤ちゃんを抱かせてあげることができるよう、そして可能な限り少ない回数で治療が終わるよう、その想いを胸に今後も業務に当たっていきます。

「健康講座ミニ版」動画配信のお知らせ

諸般の事情により11月の院内医学健康講座および院外市民医学講演会の開催を中止する替わりといたしまして、健康講座ミニ版を当院ホームページにて動画配信しますので、ご覧ください。

掲載日 :
11月12日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「転ばぬ先の杖、転んだ後の知恵 ~転倒と、お家と、お薬の話~」
講師 :
脳神経救急・外傷センター センター長 鈴木 倫保 医師
掲載日 :
11月26日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「舌小帯短縮症 ~舌だって自由に動きたい~」
講師 :
小児科 (小児外科) 伊藤 泰雄 医師

2020年9月の救急車受け入れ台数は603台でした。