広報紙 vol.38しんゆりニュースレター

脳卒中ケアユニットでの
多職種医療が、脳卒中後遺症を最小限に抑えます

新百合ヶ丘総合病院
脳卒中センター センター長
はせがわ やすひろ
長谷川 泰弘 医師
【プロフィール】
1980年鹿児島大学医学部卒業。81年国立循環器病センター内科・脳血管部門。92年米国マサチューセッツ大学神経内科。95年国立循環器病センター脳血管障害研究室長。2005年聖マリアンナ医科大学脳神経内科教授。20年聖マリアンナ医科大学特任教授となり、4月より現職。
日本脳卒中協会神奈川県支部長/内保連神経関連委員会委員長/厚労省医療専門審査委員(M01班班長)/神奈川県脳卒中医療連携検討部会委員(2017年~18年)
日本神経学会神経内科専門医(指導医)/内科認定医(指導医)/脳卒中専門医(指導医)

脳卒中ケアユニットでの
多職種医療が、脳卒中後遺症を
最小限に抑えます

新百合ヶ丘総合病院
脳卒中センター センター長
はせがわ やすひろ
長谷川 泰弘 医師
【プロフィール】
1980年鹿児島大学医学部卒業。81年国立循環器病センター内科・脳血管部門。92年米国マサチューセッツ大学神経内科。95年国立循環器病センター脳血管障害研究室長。2005年聖マリアンナ医科大学脳神経内科教授。20年聖マリアンナ医科大学特任教授となり、4月より現職。
日本脳卒中協会神奈川県支部長/内保連神経関連委員会委員長/厚労省医療専門審査委員(M01班班長)/神奈川県脳卒中医療連携検討部会委員(2017年~18年)
日本神経学会神経内科専門医(指導医)/内科認定医(指導医)/脳卒中専門医(指導医)
  • 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)はどんなに症状が軽くても、一刻も早く病院に搬送すべき病気です。かつて「脳の病気は動かしてはいけない」と言われた時代がありましたが、遠い昔の話です。今では「脳卒中治療は時間との闘い」と言われるように、脳卒中から生還し、後遺症を最小限にするためには、1分でも早く専門の病院にたどり着き、診断・治療を開始してもらうことが大切です。次のページでご説明する「顔・腕・言葉ですぐ受診」の言葉を覚え、ご自分や家族の身に突然起こった症状が「脳卒中」であると判断し、直ちに専門病院への緊急受診行動をとれるよう常に心がけておくことが、脳卒中から身を守るための第一歩です。

    病院到着後には、直ちに診断・治療を開始し、発症早期から厳重なリスク管理のもと、集中治療室内あるいは集中治療室に隣接するリハビリテーション室で、リハビリテーションを開始します。病状が不安定な急性期でも治療やリ

  • ハビリテーションを進めるためには、高度に訓練された多職種(医師、看護師、リハビリテーションスタッフ等)からなる医療チームを配属した、脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit、SCUと略)の存在が不可欠です。SCUを中心とする高度な脳卒中医療を受けることにより、死亡率は減り、望みうる最大の回復を得ることができ、社会復帰を早めることができます。またこのような高度の脳卒中救急医療体制を24時間365日提供できる施設は脳卒中センターとよばれ、当院もその認証を受けています。

    脳卒中は、超急性期の診断・治療から、後遺症に対する治療、リハビリテーション、社会復帰、再発予防の健康管理に至る、長い一連の医療を切れ目なく提供できる体制が必要です。このため、地域医療を支える多くの方々と連携を深め、「すべては患者さんのために」の言葉を胸に、常に最新の医療を提供すべく邁進してまいります。脳卒中や神経症状でお困りの方は、なんでもご相談ください。

脳卒中の症状と受診について

受診の際は、必ずご予約をお取りの上、ご来院ください。
【予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)】 ※月~土(日・祝日除く)

多職種(医師、看護師、リハビリテーションスタッフ等)からなる専属の脳卒中チームが24時間体制で治療を行うSCU(左)。SCUと隣接するリハビリテーション(ADL)室(右)では、早期から厳重な管理のもとリハビリテーションが行われます。

◎脳卒中? 顔、腕、言葉ですぐ受診

  • 脳卒中? 顔、腕、言葉ですぐ受診
  • 発症から1分でも早く脳卒中センターにたどり着くことが、脳卒中から助かる第一歩です。特に症状が軽い「脳卒中かな?」という症状の場合、「こんな程度で受診しては大げさではないか?」という思いで、受診行動が遅れて治療の機会を失いがちです。いざというときのため、脳卒中? 「顔、腕、言葉ですぐ受診」の言葉を覚えておけば安心です。


    顔 :「イーッ」と言ってもらう。たこ焼きを食べた後、「前歯に青のりがついてないかな?」と鏡を見るときのように。口の片方だけしか動かないときは異常です。

    腕 :両手のひらを上に向けて「前にならえ」の姿勢をとらせ、目をつぶってゆっくり5つ数えましょう。片側の腕が下がってくる場合は異常です。

    言葉:ろれつが回っていない。言葉が理解できない、話せない場合は異常です。一人暮らしの方なら、いつも話している人に電話してみるのも役に立ちます。

顔、腕、言葉の3つの検査を行って、一つでも異常がある人を「脳卒中だ」と判断したとき、およそ7割当たります。この方法は、海外ではACT-FASTとして知られている脳卒中の判断方法です(ACT:行動、F:face、A:arm、S:speech、T:time)。暗記だけでなく、とっさのときに正しくテストできるよう常日頃訓練しておきましょう。

◎短時間で完全に回復する発作 (一過性脳虚血発作、TIA)

脳梗塞の症状が突然起こっても、数分から数時間程度で全くうその様に症状が元に戻ってしまうことがあります。このような発作はTIA(一過性脳虚血発作)と呼ばれています。血のかたまりがいったん血管に詰まるものの、その後溶けてなくなるために完全に回復するものです。症状が “一時的”であるだけに見過ごされがちですが、TIAが起こると48 時間以内に5%の確率で脳梗塞に移行すると言われ、脳梗塞が起こる寸前の状態です。つまりTIAを経験すると、20人に1人は2日以内に脳梗塞を起こすということです。TIAかどうかの判断は、専門医でも難しいものですが、特にご高齢(60歳以上)で、高血圧、糖尿病を持つ方に一過性の体の片側の麻痺(脱力)や言語障害などが起こったときは、たとえ短時間であっても専門医の受診が必要です。

医療福祉課コラム

「人生会議」をしておきませんか?

医療福祉課 主任/社会福祉士 嶋﨑 晃


今回は、「人生会議」について触れてみたいと思います。

「人生会議」とは、アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning)の愛称です。アドバンス・ケア・プランニングとは、あなたの大切にしていることや望み、どのような医療やケアを望んでいるかについて、自ら考え、また、あなたの信頼する人たちと話し合うことをいいます。

  • 人生会議
  • 誰しも命に関わる大きな病気やケガをする可能性があります。私たちもそうした状況における患者さんと接した時、ご本人の希望が分からずにたいへん迷われるご家族にお会いすることがあります。

    「縁起でもないこと」と避けるのではなく、「人は皆いつか亡くなる」ということを受け止め、急に自分が意思表示できなくなった時に、ご家族など、あなたの周りの人たちが混乱しないよう想定して、元気なうちから“もしも”の時のことについて話しておくことも大切なことだと思います。

    人生会議

私たち医療従事者は、「患者さんが満足のいく治療や最期を迎えられただろうか」と考えています。
医療従事者へ自分の希望する医療やケアを伝えるのみだけでなく、家族会議や食卓の場など、普段の身近な場面でも話し合いの機会を持ち、自分の望む悔いのない最期が迎えられるように準備をしておいていただければと思います。

専門外来のご案内

小児科神経外来

たむら まさと
田村 雅人 先生

昭和大学医学部医学科卒業。日本小児科学会専門医。

小児神経外来では、主に中学生までのてんかんを診療しています。

外来の特徴

火曜午後に診療しています。当院での治療がうまくいかない際は、高度医療機関や専門医療機関への紹介もご提案します。

てんかんの診断

てんかんの診断で大切なのは、“てんかんらしさ”と考えています。「痙攣+脳波の異常=てんかん」ではないからです。痙攣して病院に運ばれると、てんかんを心配する方が多いと思います。しかし「痙攣≠てんかん」です。痙攣してもてんかんとは限らないし、痙攣しないてんかんもあるのです。食事をしばらく抜いて血糖が下がっての痙攣や熱性けいれんは、てんかんではない痙攣の例です。また、ぼーっとするだけのてんかんなども痙攣しないてんかんの例です。その他にも多く例はあります。

さらに脳波の異常があってもてんかんとは限りません。痙攣の様子と脳波の異常が合わなければ、関係はないでしょうし、脳波の異常がなくても、30分の検査の間に異常が出なかっただけかもしれません。

私がてんかん診療で大切にしているのは問診です。発作を起こす前後、発作時の状況や様子を詳細に聞き取ります。問診票に書いていただいても、改めてしつこく聞くことがあります。てんかんらしさを見極めるためです。問診を検討した上で脳波も参考にします。診断を誤り、てんかん以外の方がてんかんの薬を飲んでも、上手くいかないからです。

発作前後の状況、脳波の異常と発作の様子が合っているかを検討し、よりてんかんらしいと考えて正確な診断をしていきたいと考えています。

患者さんへ

てんかんは年単位での治療を要する慢性疾患です。そのため疾患への理解、治療に対する本人とご家族の意欲が大切になります。診療の中で、本人やご家族の理解が深まり、主体的に治療に臨めるよう、丁寧な説明をするよう心がけています。

診察日

◆毎週火曜日 14:00~17:00
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456【予約制】
※あらかじめ外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからご来院ください。

「健康講座ミニ版」動画配信のお知らせ

諸般の事情により9月の院内医学健康講座および院外市民医学講演会の開催を中止する替わりといたしまして、健康講座ミニ版を当院ホームページにて動画配信しますので、ご覧ください。

掲載日 :
9月15日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「アルツハイマー型認知症を予防する生活の工夫」
講師 :
神経内科部長 矢﨑 俊二 先生
掲載日 :
10月初旬 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「ロコモ予防 ~健康寿命を延ばしましょう~」
講師 :
骨軟部腫瘍研究所所長 別府 保男 先生

2020年7月の救急車受け入れ台数は562台でした。