膠原病リウマチ内科
当科の特徴
膠原病リウマチ内科は、2024年4月に、新百合ヶ丘総合病院の内科系の一部門として新設されました。この地域に限ったことではありませんが、膠原病診療を担う医療施設は、足りていない状況にあります。膠原病診療における、的確な診断と適切な治療をご提供することで、この地域の医療に貢献していきたいと思っております。
膠原病やリウマチ性疾患には、多様な合併症があり、すべての診療科との連携が必要になりえます。その点、新百合ヶ丘総合病院は、全診療科の揃った総合病院であり、かなりの合併症の治療が院内で完結できると思います。とはいえ、現在は常勤医師一人の体制であるため、診療内容には制限がございます。重症例や非常に特殊な治療を要する場合は大学病院等にご紹介することもあることをご了承ください。
対象疾患
膠原病やリウマチ性疾患は、糖尿病や高血圧のような「一般的な疾患」とは言い難いと思います。最も多い疾患は、関節リウマチになりますが、その関節リウマチでも患者数は、200人に1人くらいと言われています。対象疾患については、なじみが薄い場合がほとんどと思われますので、簡単にご説明いたします。
本来であれば、体内に侵入したウイルスや細菌を、攻撃、除去するはずの免疫系が、自分自身を攻撃してしまう疾患を膠原病、全身性自己免疫疾患と言います。例えば、関節リウマチは、単に関節が痛む病気ではなく、免疫系が自身の関節を攻撃することで、関節が破壊され、変形していく免疫性疾患(免疫病)と言えます。
膠原病、リウマチ性疾患の比較的共通の症状としては、
- 関節に痛みや腫れがある
- 発熱がある
という二つの症状が挙げられます。しかし、これらはインフルエンザや風邪でも認められるありふれた症状です。ウイルスや細菌が感染しますと、免疫応答により炎症性サイトカインやケモカインといわれる因子が産生され、組織や臓器に炎症を引き起こします。関節を包む滑膜という膜は、これらの因子が通過しやすいため、ある種のウイルス感染では、しばしば発熱と関節痛がセットで認められます。
膠原病、リウマチ性疾患では、さらに、
③ 自己抗体(自分自身の臓器や組織に対する抗体)等の免疫応答の異常により、臓器や組織に障害が認められる(全身性自己免疫疾患)
という点が加わります。しかし、③は各疾患ごとに異なり、全身の臓器(心臓、肺、腎臓、消化管、脳、眼、耳、皮膚など文字通り全身いたるところ)に症状や病変が出現し得ますので、これを簡潔にまとめることはできません。
従いまして、原因のはっきりしない関節痛や発熱がある場合には、お気軽に膠原病リウマチ内科を受診していただくことをお勧めいたします。
リウマチ性疾患の分類に決まったものはありませんが、便宜的に以下のように分類できます。
① 関節炎症候群
放置しておくと関節の変形をきたす破壊性関節炎が主体の疾患群です。発熱はないことの方が多いですが、関節症状は必ずあります。膠原病の治療は近年格段の進歩を遂げました。その中でも特に進歩が著しいのが、この疾患群の関節リウマチと言えます。発症早期に治療を開始することで高率に寛解が見込めます。
【代表的疾患】関節リウマチ、脊椎関節炎など
② 抗核抗体症候群
ほとんどの場合、血液検査で抗核抗体という細胞の核に対する自己抗体を認めます。発熱はあることもありますし、ないこともあります。関節痛もまた然りです。疾患ごとに特有の合併症をきたし、いわゆる膠原病の一般的イメージに一番近い疾患群かもしれません。
【代表的疾患】全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎・多発性筋炎、全身性硬化症、シェーグレン症候群、混合性結合組織病など
③ 血管炎症候群
血管で炎症がおきます。多くは原因不明の発熱、貧血、倦怠感等を契機に診断されます。高安動脈炎や巨細胞性動脈炎など太い血管(大血管)に発症する血管炎では、発症早期の症状は発熱のみで、CT等の画像検査でも異常を認めないことがあります。診断が、なかなかつかないことも、しばしばな疾患ですが、時にPET-CTが診断に役立つことがあります(2024年4月時点では血管炎の診断に対する保険適用はございません)。
【代表的疾患】高安動脈炎、結節性多発動脈炎、ANCA関連血管炎など
④ 自己炎症性疾患
上記、①~③は白血球の中でもリンパ球を介した獲得免疫という高度な免疫応答が自分自身の身体を傷害する病態です(全身性自己免疫疾患=膠原病)。一方、本疾患群は白血球の中でも好中球や単球・マクロファージを介した自然免疫という、より原始的な免疫応答の制御が破綻した病態と考えられます。ですので、膠原病=全身性自己免疫疾患というカテゴリーからは外れるかもしれません。
【代表的疾患】成人発症スティル病、ベーチェット病、痛風・偽痛風など
外来診察について
初診
- 初診の方は予め受診予約をお取りください。
(外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456) - 他院に通院中の方は紹介状をお持ちください。(※紹介状がないと予約できない、という事ではございません。)
- 診察日は外来診療担当表をご覧ください。
膠原病、リウマチ性疾患は、これまでの経過を伺ったり、全身を診察したりといったことが非常に重要であるため、再診の方の診察の合間にさっと初診の診察を行うということができません。
従いまして、膠原病リウマチ内科を初診で受診される際には、お手数ですが、予め受診予約をとっていただくようお願い申し上げます。せっかくお越しいただいても、予約枠が埋まってしまっている場合は、当日、受診できないという非常に申し訳ないことになりかねません。紹介状については、他院に通院中であれば、ぜひご持参していただきたいところです。他院の受診歴がなければ、必ずしも必要はございません。
実際の診療では、治療開始にあたって多くの確認事項がございます。具体的には、結核菌やB型肝炎ウイルスの保菌者(キャリア)ではないか確認しておく必要がございます。保菌者とは、症状自体はなくても、身体の中に菌やウイルスが存在している方のことです。また、原因不明の発熱を来す方に対しては、血液中に細菌等の微生物がいないか確認する必要がございます(血液培養検査)。患者さんによっては、採血の量の多さに驚かれることもございます。患者さんが不安にならないよう、診察の時には、その旨ご説明いたします。
※身体の広範囲に慢性的に疼痛を認める線維筋痛症は、自己免疫とは異なる機序で発症する疾患であり、新百合ヶ丘総合病院の膠原病リウマチ内科では診療しておりません。ご理解の程よろしくお願いいたします。
再診
原則、すべての方に診察前に血液検査をしていただいております。病状によっては、さらに尿検査も診察前に行います。毎回血液検査をするのは、血液検査で治療効果を判定したいという理由もあるのですが、それ以上に、お薬による副作用がないか確認したいというのが主たる理由になります。リウマチ膠原病で使うお薬のなかには、少し副作用の頻度が多いものがございますので、それを考慮してのことです。
また、特別な理由がない限りは、採血後1時間程度で検査結果が出てから診察をしております。このため、受診予約時間の1時間前には採血を済ませていただくことで診察が円滑になります。ご理解のほどよろしくお願いいたします。