脊椎内視鏡センター|脊椎脊髄末梢神経外科

脊椎内視鏡センターのご案内

脊椎内視鏡手術は2012年より保険適応となりました。新百合ヶ丘総合病院でも開院当初より脊椎内視鏡手術を導入し、多くの手術症例を経験してきました。近年技術の発達と新たな周辺機器の開発などにより、とくに腰椎椎間板ヘルニアにおいては内視鏡で治療できる症例が増えつつあります。身体への負担が少なく早く退院できるなど脊椎内視鏡手術の利点は大きいですが、安全に施行でき十分な治療効果が得られるかどうかの判断が重要となります。当センターでは脊椎内視鏡手術の経験豊富な医師が診察から入院手術まで担当いたします。

脊椎内視鏡手術とは

脊椎内視鏡には大きく分けてMED(Micro Endoscopic Disectomy、内視鏡下椎間板摘出術)と呼ばれる方法と、FESS (Full Endoscopic Spine Surgery、全内視鏡下脊椎手術)と呼ばれる方法の2通りがあります。病状に応じて使い分けますが、近年ではFESSの割合が増えています。

① MED(Micro Endoscopic Disectomy、内視鏡下椎間板摘出術)

  • 脊椎内視鏡手術 MED
  • 直径16mmの筒を皮膚から挿入します。筒の中に内視鏡を入れ、内部を内視鏡で観察しながら手術操作を行います。FESSと比較して様々な器具が使用できることが利点ではありますが、FESSに比べて切開範囲が大きくなります。

② FESS (Full Endoscopic Spine Surgery、全内視鏡下脊椎手術)

直径8mmの筒を皮膚から挿入します。筒の中に8mmの内視鏡を挿入し、内視鏡の中の4mmの穴から道具を入れて操作します。切開範囲が小さくなるため、術後の創部痛が軽度で、体力の回復が早いことが利点です。

  • FESSで用いる内視鏡※FESSで用いる内視鏡
  • 内視鏡の先端 直径約8mm※内視鏡の先端 直径約8mm
  • 脊椎内視鏡手術の様子*脊椎内視鏡手術の様子
    術中透視を併用して手術を行います。
  • FESSの創部(術後3か月)*FESSの創部(術後3か月)
    赤の矢印部が皮膚を切った痕です

脊椎内視鏡手術の実際(腰椎椎間板ヘルニアに対しての内視鏡手術;FESS interlaminar法)

① 骨の一部を削って、神経周囲の操作が安全にできるようにスペースを作ります。

骨の一部を削って、神経周囲の操作が安全にできるようにスペースを作る

② 黄色靭帯の一部を開窓して、神経が走行する硬膜外腔に入ります。

黄色靭帯の一部を開窓して、神経が走行する硬膜外腔に入る

③ 骨を削っているため、神経の外側に入ることができ、神経の負担は最小限です。青く見えているのが染色されたヘルニアです。

染色されたヘルニア

④ 小さな専用鉗子を用いて、ヘルニアを少しずつ切除します。

ヘルニアを少しずつ切除

⑤ ヘルニア切除終了後の状態です。圧迫外解除されて神経がリラックスしています。

ヘルニア切除終了後の状態

脊椎内視鏡手術を動画でご覧いただけます

脊椎内視鏡手術の症例

① 30代女性 L5/S1椎間板ヘルニア

30代女性 L5/S1椎間板ヘルニア

② 50代男性 L5/S1椎間孔内ヘルニア

50代男性 L5/S1椎間孔内ヘルニア

③ 40代男性 L4/5椎間板ヘルニア再発

40代男性 L4/5椎間板ヘルニア再発

脊椎内視鏡手術の対象となる疾患

  1. 腰椎椎間板ヘルニア
  2. 腰椎椎間孔狭窄
  3. 一部の腰部脊柱管狭窄症
  4. 頸椎症性神経根症
  5. 頸椎椎間板ヘルニア

いずれも病態に応じて内視鏡で手術できるか判断します。安全性や治療効果の点で内視鏡手術は避けた方が良いと判断する場合は、顕微鏡手術をお勧めすることがあります。

腰椎椎間板ヘルニアにおけるFESSの入院経過

  • 1日目:
  • 午後の入院となります。
  • 2日目:
  • 午前または午後より手術となります。手術後3時間より座位、飲水、内服が可能となり、麻酔からの覚醒が問題無ければトイレ歩行も可能となります。バルーンと呼ばれる尿道カテーテルは手術中(全身麻酔がかかっているあいだ)は留置しますが、希望があれば麻酔から覚める前に抜去することも可能です。
  • 3日目:
  • 心電図モニターなどが除去され、安静度制限がなくなります。創部痛はゼロではありませんが、多くの患者様は鎮痛剤を使用することで大きな問題になっていません。
  • 4日目:
  • 体調が良ければ4日目から退院可能となります。退院時創部に防水テープを張りますので、退院後シャワー浴は可能ですが、湯船への入浴は控える必要があります。
    廃用が生じていたり、術前から運動麻痺があるような場合は、入院にてリハビリを継続することもあります(回復期リハビリ病棟に移ります)。
  • 7日目前後:
  • 抜糸(実際には表面を固定しているテープの除去)のために受診となります。この際に創部、症状の確認を行います。以後湯船への入浴が可能となります。