薬剤科コラム

インフルエンザのまめ知識

薬剤科

2024/5/10掲載

インフルエンザの流行は例年冬にかけてピークを迎えますがここ数年の間、流行時期が早くまた期間が長い傾向があります。4月の時期には罹患者は殆ど見られない状況でしたが、現在もまだ感染状況が落ち着かない様子です。
そこで、今回はインフルエンザの基礎知識についてまとめました。

インフルエンザと普通のかぜ

①インフルエンザの症状は?

  • インフルエンザの症状
  • インフルエンザの潜伏期間は1日~5日(平均2日)で、強い症状は3~4日続き、1週間ぐらいで治ります。インフルエンザにかかると39℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。更に、気管支炎、肺炎などを併発し、重症化することが多いのもインフルエンザの特徴です。

②普通の風邪との見分け方は?

インフルエンザかどうか厳密にチェックしようと思えば、鼻汁を綿棒で少しとって調べる検査方法があり、10分位で結果が出ます。

流行の秘密

インフルエンザウイルスは、A・B・C の3型に分けられ、このうち流行的な広がりを見せるのはA型とB型だけです。A型は姿を変えるのが得意で、10~30年おきに大変身し、その時には、世界規模の大流行をもたらします。

インフルエンザワクチンについて

①どうやってつくられるの?

毎年その年の冬に流行すると思われる型を予測し、それに基づいてワクチンを作ります。ここ数年予測の精度がどんどんあがってきており、型が少しずれても全く効果が出ないわけではありませんし、発症を防げなくても重症化は防ぐことができ、その効果は70%ぐらいと言われています。

②いつ接種するの?

ワクチンの接種は、通常2回で1~4週の間隔で行われます。13歳以上の人は、1回の接種でも十分効果は期待できます。
ワクチンを接種してから効果が現れるまでに、2週間程度かかります。 その効果は、約5ヶ月間持続すると言われています。

③誰でも接種できるの?

重症の卵アレルギーの人、ゼラチンアレルギーの人、以前にインフルエンザワクチンによるアレルギー反応その他の問題のあった人、妊娠初期の人は受けられませんので、ご注意下さい。

人によっては、予防接種の注射の跡が赤く腫れたり、痛んだりすることがあります。また、熱が出たり、頭痛などがみられることもありますが、普通、2~3日のうちに治ります。予防接種を受けて、30分以内に異常を感じたとき、2週間以内に発熱、頭痛、けいれんなどがあらわれたときは、すぐ医師に相談してください。

インフルエンザの治療

①どんな薬が処方されるの?

一般的な治療は、普通の風邪と同じように、熱には解熱剤、せきにはせき止め、鼻汁には抗ヒスタミン剤を処方し症状を抑えます。抗生物質も処方されることが多いですが、抗生物質にはインフルエンザウイルスをやっつける作用はまったくありません。細菌の混合感染により肺炎や気管支炎などの合併症に対する治療として抗生物質が使用されます。

②インフルエンザウイルスに効く薬は?

抗インフルエンザウイルス薬は体内でインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬でインフルエンザ以外にはまったく効果はありません。治療効果をあげるためには症状が出てからなるべく早く服用する事が大切です。

内服薬 2種類 ゾフルーザ🄬:1回の服用。予防投与にも使用できる。
タミフル🄬 :5日間服用。予防投与にも使用できる。
吸入薬 2種類 リレンザ🄬 :5日間吸入。予防投与にも使用できる。
イナビル🄬:1回吸入。予防投与にも使用できる。
注射剤 1種類 ラピアクタ🄬:吸入薬・内服薬が使用できない場合のみ。
インフルエンザの治療薬 (※先発医薬品のみ記載)

③服用すると危険な解熱鎮痛薬があるって本当?

解熱鎮痛薬の中のジクロフェナクナトリウム(ボルタレン錠🄬、ボルタレン坐薬🄬など)とメフェナム酸(ポンタールカプセル🄬、ポンタールシロップ🄬など)は、特に小児において、インフルエンザウイルス感染時に服用すると、ライ症候群を発症する危険があるため、原則として投与禁忌になっています。
他の解熱鎮痛薬でもライ症候群を発症する危険が疑われているものがあります。
唯一、アセトアミノフェン(カロナール錠🄬、アンヒバ坐薬🄬など)は、比較的安全であると言われ、インフルエンザの解熱の第一選択薬とされています。

※ ライ症候群
水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)をおこし、肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST・ALT・LDH・CKの急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態。

インフルエンザに負けないためにまずは以下のような予防から始めていきましょう!!

  • 過労をさけ十分な睡眠をとる
    1. 過労をさけ十分な睡眠をとる
    2. 栄養と休養を十分とる
    3. うがい、手洗いを励行する
    4. 人ごみを避ける
    5. マスクをする
    6. 加湿器などを使用する
    7. ワクチンを接種する