2023/6/19掲載
日本人の2人に1人が生涯で「がん」になると言われている昨今、化学療法(抗がん薬を使用したがん薬物療法)はめざましい進歩を遂げています。また、そのがん薬物療法は外来通院で実施することが当たり前な時代になってきました。
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当院でも毎日多くの患者さんが外来化学療法室を訪れ、そこに薬剤師が専従して1年が経ちました。
外来化学療法室での薬剤師の業務は、抗がん薬のスケジュールと投与量のチェック、前投薬の処方チェック、支持療法などの院外処方チェック、服薬指導、副作用モニタリングなどを行っています。
外来通院で行われる化学療法のながれ
外来でがん薬物療法を受けられる患者さんの流れを示します。
- ① 受付
- ② 採血・採尿
- ③ 化学療法室で診察前の看護師による問診(体重や血圧の測定、副作用や体調の確認など)
- ④ 診察
- ⑤ 外来化学療法室にて抗がん薬を投与
- ⑥ 投与終了
ここでの薬剤師の業務、役割とは
上記のながれに沿って薬剤師の役割をご説明します。
③で、ある一定の体重増減を認めた場合、看護師から薬剤師へ報告があります。抗がん薬の投与量は一般的に体重や体表面積で決まるものが多く、その日の体重から処方されている抗がん薬の投与量が適正かをチェックします。そこで、投与量の増減が、ある一定基準を超えた場合は医師へ疑義照会を行います。また、血圧や体調の確認から抗がん薬による副作用が発現していないかチェックを行い、電子カルテに入力します。
その後、診察前には②での採血・採尿の検査結果が電子カルテに反映されますので、これを薬剤師の立場から抗がん薬投与の実施が適正なのか、また副作用は発現していないかを確認し、電子カルテに入力します。
ここまでを④の診察前までに行い、医師の負担軽減、治療の適正化と安全面の強化に努めています。
診察後、医師からがん薬物療法の実施が可能と判断されれば、⑤となります。
⑤で抗がん薬を投与されている間に治療指導や服薬指導、副作用モニタリングを行い、支持療法などの院外処方のチェックをします。
このように当院の外来化学療法室には薬剤師が専従していること、また薬剤師だけでなく医師、看護師、栄養士、ソーシャルワーカー、医療事務スタッフなどの多職種が専門性を活かして連携を図ることが、適正かつ安全で安心ながん薬物療法を患者さんに提供できると考えています。
がん薬物療法に関して不安なこと、疑問に感じることがございましたら、いつでも質問してください。外来化学療法室でお待ちしています。