看護師コラム

不妊治療と自己注射

不妊症看護認定看護師 板井 芳美

掲載日:2025年1月16日

不妊治療は排卵誘発剤のイメージがありませんか?とくにART(生殖補助医療)では重要な役割をもち、当院の患者さんには、この薬剤を使用するときはご自身での注射(自己注射)をお願いしています。

注射は医療行為になりますが、医師・看護師の指導のもと在宅で行うことが可能です。当院ではペンタイプを採用しています。(投与量をダイヤルで回すだけ。針も髪の毛ほどの太さです。)注射指導時は、動画をみながらデモペンで練習します。もちろんパートナーとご一緒でも構いません。不安が強い方は、パートナーに実施をお願いや、手を添えてもらうなど2人で行う自己注射を提案しています。

  • 自己注射イメージ
  • 自己注射は不安があって当たり前です。注射には勇気がいりますが、通院のストレスを軽減させ時間的余裕もできます。しかし、恐怖心が強く実施できない、精神的負担が大きいなどあり治療のステップアップに悩んでいるのであれば看護師にご相談ください。

注射実施後よくある質問についてお答えします。

「痛みがある」

冷蔵庫からだしたての冷たい薬剤は痛みのように感じることがあります。30分前ほどに取り出し常温にしてからうちます。
穿刺部位はお腹の皮下脂肪部分がよいです。おへそ周囲は避けてください。保冷剤で冷やしてから(感覚を鈍くする)穿刺するのもおすすめです。

「液、血液がたれる」

薬を注入したあと10秒ほど数えてから、ゆっくり抜いてください。穿刺時に血管を傷つけた時は血液がたれることがありますが、静脈内に注入していないのでそのまま様子をみてください。押さえるのみで揉まないようにしてください。内出血の原因になります。内出血があればそこを避けて穿刺するようにしてください。

さいごに

他にも、不妊治療にはスプレーや貼り薬、膣剤など様々な薬剤があります。患者さんが正しく安全に使用できるよう、ご指導させていただきます。疑問点やご心配なことがあれば看護師にご相談ください。

皆様の治療とライフスタイルの両立を応援しています。