看護師コラム

「入退院支援」
~入院から退院後も、患者さんが安心して生活するために~

サポートセンター 看護師長 黒田 優子

2023/2/13掲載

「入退院支援」をご存知ですか?

皆様は「入退院支援」をご存知でしょうか?

  • 「入退院支援」をご存知ですか?<
  • 患者さんが外来に受診した時(入院前)や入院後の早期から、院内の多職種がチームとなり地域と連携し、患者さんが退院後も住み慣れた家庭や施設などの療養の場で安心して生活が送れるように、在宅生活の準備を行う支援のことです。患者さんやご家族のご希望・不安などを把握して、様々な職種と連携し、療養生活の環境調整をいたします。

「入退院支援とは、実際どんなことしているの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、私が出会った患者さんをご紹介させていただき、入退院支援の仕事の実際をお伝え出来ればと思います。

患者さんやご家族様に寄り添った「関わり支援」

花子さんは79歳の女性で食欲不振・嘔吐・体動困難で救急搬送されました。20年前に胃がんの手術を受けて、今回の診断は腸閉塞で緊急入院となりました。入院後は絶食となり、胃に管を入れた治療が開始されましたが、花子さんは点滴や管をご自分で抜いてしまうことがありました。花子さんが入院して3日目、2人の娘さんがサポートセンターにいらっしゃいました。

「先生から人工肛門の手術と言われた。手術をするべきなのか迷っている。母は帰りたいと言っている。母の想い通り、家に帰らせるべきか悩んでいます。」といった内容の相談でした。そこで私たちサポートセンターは、主治医・病棟看護師・ソーシャルワーカーと情報共有した後に、カンファレンス(家族面談)を開催いたしました。その結果人工肛門は作らずに、本人の希望を尊重して一般病棟から緩和ケア病棟に転棟して、療養の場をできるだけ希望に添える支援をすることになりました。私たちが行う「関わり支援」として、患者さんやご家族の意思決定の支援、医療・介護サービスの説明支援、そしていずれ迎えることになるご家族の看取りに対する不安のケアをさせていただきました。

病棟看護師には、在宅に移行することを目指した支援を依頼し、入院中からご家族様に褥瘡予防・おむつ交換などの指導を進めます。そして退院前には、在宅療養に関わる訪問診療医師・看護師・ケアマネージャー・ご家族様と病棟看護師・サポートセンター看護師が参加するカンファレンスを行い、支援の確認と退院日の決定を行いました。

その後退院して半年後、ご家族様に見守られながら穏やかに永眠されたと訪問看護師さんから連絡をいただきました。このように退院された後も、地域支援者の方々と連携は続いております。
何となく・・ご理解いただけましたでしょうか。

サポートセンタースタッフ一同は、皆様に寄り添ってサポートさせていただきます。