掲載日:2024年8月6日
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年々平均気温が高くなってきた近年やはり熱中症は夏季において1番気にしなければならない事の一つになってきたと私達も考えています。昔は熱射病と言われたこの病気も2000年に熱中症と言うようになり、もう四半世紀が過ぎようとしています。
先日、日本救急医学会から熱中症ガイドライン2024が発表されたので、そのガイドラインに基づき、皆さんの生活で有用な内容をいくつかピックアップして書いていきたいと思います。
熱中症とは
熱中症とは暑熱環境に居た、もしくは居た後に「めまい」「生あくび」「筋肉痛」「筋肉の硬直」「頭痛」「嘔吐」「倦怠感」などを呈するもので、重症の場合「意識障害」や「けいれん」などを発症します。
熱中症の発症因子
熱中症の発症因子に関してですが、気象条件だけではなく個人の因子も寄与します。肥満、運動不足、脱水、屋外労働、過度なスポーツ活動は労作性熱中症のリスク因子と考えられています。
また高齢という事が単独でリスク因子ですが、これは体温調節機能の低下や暑熱環境において適切な水分摂取ができないこと、暑熱環境であることを認知出来ない事などの複数の因子が関係していると言われています。
高齢者がご家族にいらっしゃる場合には、周囲の方が水分摂取や冷房器具の使用を積極的に勧める事が大切になってきます。本人の意思に任せても熱中症予防が出来ないと考えて行動する必要があります。
小児の熱中症について
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熱中症の病態は脱水が深く関係しています。小児は不感蒸泄(ふかんじょうせつ)量や体液量などの理由で大人より脱水になりやすいため、大人より水分摂取をしっかり行う必要があります。
乳幼児では口渇感が大人より感じにくく、口渇感がなくても水分摂取をさせる必要があると言われています。
運動時の脱水による体重減少は運動のパフォーマンスに関係しているので部活動などの際にも運動前からの水分摂取が勧められています。
安全な課外活動かどうかの判断基準とは?
では安全な課外活動であるかの判断はどうのようにすべきかでしょうか。
これは暑さ指数(WBGT)で判断をします。この指数は熱中症を予防する目的として提案された指標で、①湿度、②日射、輻射(ふくしゃ)などの熱環境、③気温の3つを取り入れた指標です。
熱中症予防情報サイトで3時間ごとの暑さ指数(WBGT)が発表されています。暑さ指数(WBGT)が25を超えると熱中症の入院件数が増加し、30を超えると急激な増加が報告されています。
日本国内では28未満が課外活動が安全に行われる指標として考えられているので参考にしてください。
さいごに
最後に水分摂取に関しての話題です。ガイドラインでは塩分が含まれているものが推薦されておりOS-1やスポーツドリンクと記載されています。しかし文献的には水、お茶、スポーツドリンクの種類で来院時重症度には関連がないとの報告もあり、適切なものがない状況ではどのような水分でもいいので摂取してもらえればと考えています。