掲載日:2024年7月11日
膠原病科とリウマチ科とは?
膠原病科、リウマチ科、と聞いて、皆さんはどのように思われるでしょうか?きっと、よくわからない、という方がほとんどだと思います。診療科は、ふつう、対象となる臓器の名前が付けられています。循環器科は心臓や血管に関わる病気を診療します。消化器科は、文字通り、消化器を診る診療科ですし、脳神経内科や血液内科や呼吸器科も、また然りです。
でも、膠原病科やリウマチ科は異なります。膠原という臓器もリウマチという臓器もありません。膠原病科やリウマチ科になじみがないのは、そのせいもあるかと思います。
本日は膠原病科やリウマチ科がどういう科なのか、ご説明したいと思います。
膠原病の「膠原」とはコラーゲンを意味します。CM等で「お肌つるつる」とか言われる、あの、コラーゲンです。もともと膠原病(コラーゲン病)とは、1940年代にアメリカの医学者が、皮膚や骨、靭帯や腱などの成分である膠原(コラーゲン)に異常が起こる病気を総称して、そのように呼んでいました。現在の知見では、膠原病はそのような病気ではありませんが、その時代の名残で、本邦では、今も膠原病という呼称がつかわれています。ただ、欧米では、現在は、コラーゲン病(collage disease)という呼称は使われていないようです。
一方で「リウマチ」とはギリシャ語で「流れる」という意味だそうです。古代ギリシャで、リウマチは悪いものが体の中で流れ、停滞したところが、あちこち痛くなる、と考えられていたようです。これは、現在の知見と照らし合わせても、なかなか的確な解釈ではないかと、私は思っています。たとえば、インフルエンザなどのウイルス感染症では、しばしば、発熱と関節痛が認められます。これは感染によって、炎症性サイトカインという物質が産生され、それが関節の中に入り込んで、関節に炎症をおこすからと考えらえています。それでは、なぜ、関節に炎症がおこるのでしょうか?感染症等で、関節が痛くなって動けなると、じっと横になっています。じっと横になって、しっかり休息をとると感染症は早く治ります。つまり、関節が痛くなることは、「安静にしてて!」という身体の危険信号なのかもしれません(このような説もあるというだけで、その真偽のほどはわかりません)。
話がすこし逸れましたが、現在では、医学が進歩し、膠原病もリウマチも同じ「全身性自己免疫疾患」という枠でひとくくりにできることがわかってきました。普段はウイルスや細菌が体内に侵入すると、攻撃、除去してくれる免疫系が、自分の体を攻撃しだす病気が、膠原病であり、リウマチ病といえます。ひょっとすると、今後、膠原病科やリウマチ科は自己免疫内科といった呼称に変わっていくかもしれませんね。