ドクターコラム

大腸がん死亡を減らすために 〜アメリカより多い日本の大腸がん死亡数〜

消化器外科 部長  小林 徹也

掲載日:2024年5月8日

大腸がんとは

口から摂取した食物はまず胃に貯留し、少しずつ小腸に送られそこで栄養分が吸収されます。小腸の次にある大腸は主に水分やミネラルを吸収し便を作る、約1.5〜2メートルの臓器です。

結腸と直腸、合わせて大腸と呼ばれおり、そこにできる悪性腫瘍が大腸がんです。

近年、大腸がんは増加の一途をたどっており、大腸がんによる死亡者数は、男性で肺癌、胃癌についで3番目に多く、また、女性では最多、男女合計では肺癌についで2番目となっています。

部位別がん罹患数部位別がん罹患数
参照:国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス

日本で大腸がん死亡数が増えている原因は人口の高齢化にあると考えられていますが、WHO(世界保健機構)のデータベースによれば日本の大腸がん年齢調整死亡率は先進7カ国のなかで男女とも、とりわけ男性において際立って高い状況です。

また、日本で大腸がん患者が増える理由として指摘されるものの1つが、「食の欧米化」と言われています。日本食と比較すると、アメリカの食事は高脂質、高カロリーとされ、実際に肥満率は日本よりアメリカのほうが圧倒的に高く、日本人のほうが健康的な生活を送っていると思われがちだがですが大腸がんでは逆転現象が起きています。

日本において大腸がん死亡数が多いのはなぜか。

日本の医療レベルが低いわけではありません。むしろ、世界的に見ても日本の大腸がん治療成績はトップクラスです。また、以前に比べてドラッグ・ラグ(海外で標準的に使用されている薬が、日本で承認され使えるようになるまでの時間の差)もなくなってきていると言われています。

米国と一番大きな違いは、検診システムにあると考えられています。

日本では1992年から便潜血検査2日法による大腸がん検診が始まりましたが、検診受診率約40%、精検受診率68%(2016年)と低率になっています。つまり、検診を受ける人が少なく、また、検診で便潜血陽性となっても精密検査を受ける人が少ないということです。対して、米国では10年に1回の全大腸内視鏡検査を主とした大腸がん検診が行われ、2015年には50〜75歳の62.9%※3が実際に検査を受けており、その中には内視鏡検査も含まれています。 (アメリカ疾病対策予防センター、アメリカ国立がん研究所による)

大腸がんはステージ(癌の進行度、癌の深さ、リンパ節転移、遠隔転移で決まります)ごとに見ても、成績の良い癌です。

早期に発見できれば、治りやすい癌と言えるでしょう。

まとめ

  • 大腸がんを予防しましょう
  • 大腸がんは他の消化器癌と比べて”勝ち目のある”癌と言えます。

    アルコール・赤身肉は控えめに、タバコは吸わない、適度な運動などが大腸がんの予防に大切と言われています。

    そして、大事なことは検診をしっかり受ける、もし検診で便潜血陽性となったら「検査が怖い」「痔のせいだ」などと考えずに大腸内視鏡検査を受けることです。

皆さん、大腸がん検診受けましょう!!