掲載日:2024年1月16日
冬季は空気が乾燥しています。
空気が乾燥すると鼻や喉の粘膜も乾燥して弱くなり、ウイルスなどに感染しやすくなります。さらに乾燥しているとウイルスが空気中に浮きやすくなり、喉や気管支に入りやすくなります。このため冬季に加湿器を使われる御家庭も多いかと思います。
しかし加湿器は衛生的に正しく使用しないと肺炎の原因になることがあるので注意が必要です。
加湿器肺炎とは
-
加湿器を衛生的に正しく使用していないと加湿器の水がカビや細菌、微生物などで汚染され、それらが空気中に拡散されます。それを人間が何度も吸い込み、それらに対して肺がアレルギー反応を起こすことで発症するのが加湿器肺炎です。
医学的には「過敏性肺炎」というアレルギー反応が原因で起きる肺炎の一つです。
加湿器肺炎の症状と診断
-
咳、発熱、呼吸困難などが主な症状です。通常の細菌性肺炎と似ているため、すぐに診断するのが難しく、病院で処方された抗生剤で治療しても改善しない、加湿器を使用している自宅にいると症状が悪化する、などのエピソードが加湿器肺炎を疑うきっかけになります。診察、問診の際に医師から自宅や職場の環境、加湿器の使用の有無などを聞かれることがあるのはこのためです。
診断のための検査としては、採血や肺のCT撮影や気管支鏡という内視鏡で肺の細胞や組織を採取(経気管支鏡肺生検)する検査をすることもあります。さらに入院して自宅の加湿器から隔離して症状が改善するか、再度同じ加湿器を使用して症状が再燃するかなどを確認する場合もあります(誘発試験)。
加湿器肺炎の治療
軽い加湿器肺炎の場合には加湿器の使用をやめるだけで自然に良くなります。中等症や重症例ではアレルギー反応を抑えるためステロイド(内服や点滴)で治療する場合がありますが、適切な治療をすれば比較的すみやかに改善する疾患です。
加湿器肺炎の予防
加湿器の水がカビや細菌などで汚染されないように毎日加湿器の水を取り替えましょう。また定期的な加湿器内部の掃除などできちんとメンテナンスしましょう。