公開日:2026-08-28
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歩くとすぐに息が切れしてしまってお困りの方はいませんか?ひょっとしたらその息切れは心臓に原因があるかもしれません。
今回は心臓弁膜症について解説していきます。
【目次】
心臓の機能・構造について
心臓は握りこぶし1つ分よりやや大きいサイズで、血液を全身で送り出す役割を担っています。心拍数は毎分60-100回で一日約10万回心臓は拍動を続けていることになります。成人では毎分約5Lの血液を心臓が送り出しています。
心臓にある4つの部屋とは
心臓には主に4つの部屋があり、それぞれ役割が決められています。
- 右心房:頭や全身から戻ってきた静脈血が集まる部屋
- 右心室:右心房に戻った血液を肺へ血液を送り出す部屋
- 左心房:肺からの血液が集まる部屋
- 左心室:左心房に戻った血液を全身に送り出す部屋
そして部屋と部屋、部屋と血管の間には「弁」と呼ばれる構造があります。弁には血液の逆流を防き、以下の4種類があります。
- 大動脈弁:左心室と大動脈の間にある弁
- 僧帽弁:左心房と左心室の間にある弁
- 三尖弁:右心房と右心室の間にある弁
- 肺動脈弁:右心室と肺動脈の間にある弁
心臓弁膜症の種類と症状について
それぞれの弁の異常として「狭窄症(弁の開閉が悪く、通り道が狭くなった状態)」と「閉鎖不全症(弁に逆流が生じている状態)」があります。
①大動脈弁狭窄症
大動脈弁狭窄症の原因として先天性二尖弁、リウマチ性、加齢性の3つがあります。特に高齢社会において加齢性の大動脈弁狭窄症が増えており、加齢の他にも喫煙、脂質異常、高血圧、肥満等の生活習慣によっても引き起こされると考えられています。大動脈弁が石灰化し、弁が硬くなることで大動脈弁の開きが悪くなり血液の通り道が狭くなります。
軽度の場合は無症状であることが一般的ですが、進行すると胸痛、息苦しさ、失神等の症状が現れることがあります。
②大動脈弁閉鎖不全症
大動脈弁閉鎖不全症の原因として、加齢による弁の変化、リウマチ熱、感染性心内膜炎(細菌感染によって弁が破壊される病気)、先天性二尖弁などが挙げられ、加齢によるものが最も多いとされています。軽度の場合は無症状ですが、重症化するにつれて体を動かした時の息切れ、進行すると安静時や睡眠時にも息切れが出現するようになります。
③僧帽弁狭窄症
僧帽弁狭窄症は、小児期にリウマチ熱に感染した10-50年後発症する「リウマチ熱」がほとんどで、日本や先進諸国では発生頻度は激減しています。
④僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症の原因は主に二つに分けられます。
a) 僧帽弁や僧帽弁を支える腱索に異常がある場合=器質性
(弁尖逸脱、腱索断裂、リウマチ性、感染性心内膜炎など)
b) 左心室・左心房の拡大に伴い僧帽弁に逆流を生じている場合=機能性
(拡張型心筋症、虚血性心筋症、心房細動など)
僧帽弁閉鎖不全症もまた軽度では自覚症状がないことが一般的ですが、体を動かしたときの息切れが出現し、重症になると夜間に息が苦しくなるなどの症状を呈することがあります。
⑤三尖弁閉鎖不全症
多くは僧帽弁閉鎖不全症など他の弁膜症、心房細動、肺高血圧症など他の疾患によって生じます。
軽度の場合、自覚症状がないことが一般的ですが重症になると下肢のむくみ、頸動脈の怒張など右心不全症状を自覚することがあります。
検査について
聴診
聴診器を胸にあて、心雑音がないかを確認します。雑音の種類や強く聞こえる場所でどのような心臓弁膜症があるか推定できる場合があります。
胸部レントゲン
心臓の影(心陰影)の大きさや、胸や肺に水が溜まっていないかなどを調べます。
血液検査
BNP、NT-proBNPといった心臓から分泌された物質を検査し、心不全の重症度や治療効果を評価しています。また心臓・血管病変のリスクでもある糖尿病や脂質異常症を合併していないか調べることもあります。
心電図
四肢と前胸部に電極をあてて心臓の電気信号をとらえる検査です。不整脈や虚血性心疾患(狭心症など)を合併していないか調べます。
心エコー
心臓の病気が疑われる場合は必ず行っています。心臓の大きさ、駆出率(どれだけ血液を送り出せているかを表す指標)、心臓の動き、弁膜症の有無や程度を調べることができます。
治療について
薬物治療
弁膜症が軽度、または無症状の場合は利尿剤や降圧薬等の内服治療を行いますが、根本的な治療法ではないため、症状が悪化したり、弁膜症が重症化した場合は手術が必要となる場合があります。
手術療法
*大動脈弁
一般的には病変である大動脈弁を切除し、人工の大動脈弁に入れ替えます。人工弁には「生体弁」と「機械弁」があり、それぞれ長所・短所があるためどの弁にするかは患者さんごとによって異なります。
| 生体弁 | 機械弁 | |
|---|---|---|
| 材質 | ウシの心膜 ブタの大動脈弁など |
カーボン、金属など |
| 長所 | 血栓ができにくい →抗凝固薬(血液をサラサラにする薬) の内服は術後数か月でよい |
耐久性に優れる |
| 短所 | 耐久性に劣る (耐久年数 平均15-20年) |
血栓ができやすいため、抗凝固薬を 一生飲む |
*僧帽弁
僧帽弁手術には、自己の弁を温存して弁の形態を修復する形成術と、新しい弁に交換する弁置換術があります。
*三尖弁
三尖弁閉鎖不全症に対しては弁形成、主に弁輪形成術(リング縫着)が行われています。
さいごに
「息切れが以前よりもひどくなった」
「足がむくむようになった」
「心雑音やレントゲンの異常を指摘された」
こういったお悩みをお持ちの方はぜひ当科へご相談ください。