掲載日:2026-5-13
「薬を使っても十分に改善しない」
そのようなスギ花粉症でお困りではありませんか。
つらいスギ花粉症に対して、注射による治療という選択肢があることをご存じでしょうか。
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春季になると多くの方が悩まされるスギ花粉症ですが、症状の程度には個人差があり、日常生活に大きな影響を及ぼす重症例もみられます。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみといった症状により、睡眠の質の低下や仕事・学業への支障を感じている方もいらっしゃいます。
一般的な治療としては、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、点鼻ステロイド薬などが用いられます。また、根本的な体質改善を目的とした舌下免疫療法も選択肢の一つです。しかしながら、これらの治療を行っても症状のコントロールが十分でないケースがあることも知られています。
こうした場合に検討される治療の一つが、抗IgE(アイジーイー)抗体製剤である「ゾレア」です。
ゾレアとは何か
ゾレア(一般名:オマリズマブ)は、血中のIgE抗体に結合することで、アレルギー反応に関与する働きを抑制する生物学的製剤です。アレルギー反応の過程に作用することで症状が起こりにくくなることが期待されます。
もともとは重症気管支喘息や慢性蕁麻疹に対して使用されてきましたが、日本ではスギ花粉症に対しても2019年から保険適応が拡大され、治療の選択肢が広がりました。
適応となる患者像
ゾレアはすべての花粉症患者に適応されるわけではありません。主に以下のようなケースが対象となります。
- 重症〜最重症のスギ花粉症 (1日の内のくしゃみの回数・鼻かみ回数、鼻詰まりの程度で評価)
- 従来治療(内服薬・点鼻薬)でコントロール不良
- 血清IgE値(30~1,500U/ml)および体重(20kg~150kg)が投与基準を満たす
- 12歳以上の方
このように、適応には一定の条件があるため、事前の評価が重要です。
治療効果について
ゾレア投与により以下の改善が報告されています。
- 鼻症状(くしゃみ・鼻汁・鼻閉)の軽減
- 眼症状(かゆみ)の改善
- 生活の質(QOL)の向上
これまでの治療で十分な改善が得られなかった方においても、症状の改善が期待される場合があります。ただし、効果には個人差があり、すべての方に同様の結果が得られるとは限りません。
治療法と注意点
ゾレアは皮下注射製剤であり、2〜4週間ごとに医療機関で注射されます。
主な注意点として以下が挙げられます。
- 医療費の自己負担が大きくなる場合があります。(ただし高額療養費制度で軽減可能)
- 注射部位反応や頭痛、まれにアナフィラキシー(全身のかゆみ、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下など)などの副作用が報告されています。
- 投与開始時期(花粉飛散シーズン前からの計画的投与が望ましい)や治療期間は、医師の判断により決定されます。
今後の展望
スギ花粉症は患者数の多い疾患であり、症状の程度によっては生活の質に大きく影響します。近年は治療の選択肢が広がり、症状に応じた対応が可能になってきています。
今後は、適応の最適化や他治療との併用など、さらなる知見の蓄積が期待されています。
さいごに
当院では、ゾレアを含め、患者さんの症状やご希望に応じた治療選択についてご説明しています。無理に特定の治療をおすすめすることはありませんので、ご不明な点があればお気軽にご相談ください。
現在の治療でお困りの方や、他の選択肢について知りたい方は、診察時にご相談ください。 なお、診察の結果により本治療が適さない場合もありますので、あらかじめご了承ください。
1. 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会 アレルギー性鼻炎診療ガイドライン2024年版
2. ゾレア皮下注用 添付文書(ノバルティスファーマ株式会社)
3. 厚生労働省補助事業 アレルギーの手引き2025
4. 厚生労働省 花粉症対策