リハビリテーション科コラム

大腿骨骨折後のリハビリテーションについて

リハビリテーション科 理学療法士 嶋村 史進

掲載日:2024年3月12日

当院では骨折を中心とする整形外科の患者様が多く、手術される方も多くいらっしゃいます。手術後に重要になってくるのがリハビリテーションです。今回は大腿骨の骨折後のリハビリはどのような流れで行われるのか紹介していきます。

リハビリはいつから始めるの?

リハビリは、手術後1日目から介入し始めます。昔の医療では手術後1ヶ月ほど寝たきりという方も多かったですが、現状ではなるべく早くリハビリを開始することが重視されています。

これほど早く介入を始めるのには、理由があります。まずは、リハビリを多く提供した方が、退院までの時間を短縮できるというデータがあります。また、退院までの日数だけではなく、病棟での生活能力が向上するというデータもあります。また、筋力が低下し始めるまでの日数も意外と短く、寝たきりの状態が続いてしまうと筋力が低下します。筋力が低下すると、怪我をする前と同じように動けるようになるまでに時間がかかってしまうためなるべく早くリハビリをスタートさせる必要があります。

完治までの期間

完治までの期間は、怪我の種類や怪我をする前の状態によっても差が生じやすいです。概ねですが、3~6ヶ月ほどの治療期間が必要な場合があります。骨折の程度が軽い方が完治までの期間が短い傾向にあります。

リハビリは、いつまでも行えるわけではありません。リハビリの期限は決められており、骨折のリハビリは、手術をした日、もしくは骨折をした日から150日間と決められています。

リハビリが大切な理由

怪我をしてから、完治するまでは長い期間を要します。入院から退院後、更には在宅の生活でもリハビリは必要になる人は多くいます。リハビリを行わないと、関節が硬くなったり、筋力が落ちてしまったりと様々な能力が落ちていきます。

どのようにリハビリを進めていくのか

骨折後のリハビリは、痛みや全身状態に配慮しながら介入していきます。患部を動かすことができない状態のこともありますので、患部外のリハビリを行っていきます。

  • 運動イメージイラスト
  • 手術後すぐのリハビリは、痛みがあるのではないだろうか、大変なのではないだろうか等の不安が大きいと思います。リハビリでは、痛みの少ない起き上がり方や立ち上がり方の練習、安全なトイレ動作などの日常生活動作も行い、日常生活を取り戻す練習を進めていきます。

骨折後のリハビリの注意点

骨折後のリハビリは、関節を動かしてはいけない期間があったり、体重をかけてはいけない期間があったりします。時に骨折がひどい場合で荷重スケジュールや動作のスケジュールが決められている場合は、指示されている以上のことはしてはいけません。骨がずれてしまう恐れがあるからです。自己判断で変更しないようにする必要があります。

【引用・参考文献】
石橋 英明 大腿骨頸部骨折のリハビリテーション 理学療法科学 20(3):227-233,2005