掲載日:2024年2月12日
運動療法の意義
突然ですが、皆さんは日頃どのくらい運動をしていますか?一般的に、高血圧や糖尿病、体重増加が気になる方には積極的に運動療法が勧められます。運動習慣がある人の方が脳卒中や認知症などの発病率が減ることも明らかになっており、病気の予防、健康的な生活を維持するために無理なく運動療法を行う意義は高いと言えます。今回はそのような運動療法について紹介できればと思います。
無理は禁物!
患者様からよく聞かれる質問に「どれくらい歩いたらいいですか」「どんな運動したら体に良いですか」などがあります。個々の活動量や運動能力は様々であり、心疾患など持病がある高齢者に過度の負荷がかかる運動はお勧めできませんので、私たちは患者様の生活背景や持病の有無に配慮して助言するようにしています。
運動の目安
運動の目安の参考として、厚生労働省より『健康づくりのための身体活動・運動ガイドライン2023』というものが策定されました。これは、「個人差を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む」「今より少しでも多く身体を動かす」という目的のもと作られました。
-
このガイドラインでは高齢者の運動の目安として、「毎日40分以上の身体活動(家事・労働・運動など)」「毎日6000歩以上」が推奨されています。また、運動の一部に筋力トレーニングを週2~3日取り入れることや、座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意することが示されています。ウォーキングだけでなく、筋力トレーニングやバランス運動などの多要素な運動を行うと良いでしょう。
Q&A
- 毎日40分では物足りません。もっと運動してもいいですか?
- 体力に自信がある高齢者の方は、成人と同量の「毎日60分以上の身体活動」「1日8000歩以上」を目標にしましょう。しかし、年齢や健康状態に応じた負荷量の見極めは重要なため医師に相談することをお勧めします。
- 毎日6000歩も歩けそうにありません。
- 日頃から運動不足を感じていて体力に自信が無い方は、無理をする必要はありません。まずは今よりも10分多く運動するように心がけ、慣れてきたら時間を増やしていくと良いと思います。また、家事や外出するといったことで自然と座りっぱなしの時間を減らすことも重要です。
何事も継続は力なりと昔から言うように、最初から無理をせず、少ない量で長く続けられる運動療法が理想です。皆さんもまずは簡単な運動から始めてみましょう。
「厚生労働省HP、健康づくりのための身体活動・運動ガイドライン2023」