リハビリテーション科コラム

認知症予防について

リハビリテーション科 作業療法士 鈴木 千尋

掲載日:2024年9月6日

我が国では高齢化の進展とともに、認知症の人も増加しています。65歳以上の高齢者では、平成24年度の時点で7人に1人程度とされ、年齢を重ねるほど発症する可能性が高まり、今後も増え続けると予想されています。また、認知症は、要介護状態に陥る3大原因疾患のひとつを占めており、1度発症すると根本的な完治が出来ないと言われています。そのため、発症を予防することが最も重要です。

バランスの良い食事

  • 認知症予防について
  • 塩分と脂質を控え、バランスの良い食事を心がけることで脳血管の負担を軽減するほか、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の発症リスクも抑える事が出来ます。さらに旬の食材を取り入れたり、彩りを鮮やかにしたり、温かいものや冷たいものを食べるなど、四季を通して変化に富む内容を楽しむことは認知症の予防策として有効です。

適度な運動

  • 認知症予防について
  • 運動にはウォーキングなどの「有酸素運動」と筋力トレーニングなどの「無酸素運動」に分けられます。認知症予防の観点からは有酸素運動が効果的であるとの研究結果も出ています。また、足腰を鍛えることで転倒予防にも繋がります。運動の習慣がない方は近所の散歩など無理のない範囲の運動を心がけましょう。

十分な睡眠

  • 認知症予防について
  • 適切ではない睡眠時間は認知症を発症するリスクを高める可能性があります。睡眠時間は長すぎても短すぎてもよくないとされ、5 時間以上8時間未満が最適と言われています。

また時間だけでなく睡眠の質も重要です。室温・湿度を快適に保つ、就寝前のテレビの視聴やスマートフォンの使用、過度な飲酒を控えることで睡眠の質の向上が期待できます。

生活習慣病の予防・早期発見・治療

高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病は血流の不足、脳の機能低下を招きます。食事内容や運動など生活習慣の振り返りの他、定期的な健康診断、早期の治療を心がけましょう。

転倒予防

頭の打撲や後遺症により寝たきりになってしまうことが認知症発症のきっかけになります。上記のように適度な運動により筋肉量を維持する他、必要に応じて歩行補助具の使用や自宅内の環境を転倒しにくいよう整えることも大切です。

社会参加

他者と交流する等、社会活動に参加することは認知症予防に効果的です。ボランティアやスポーツに取り組む他、囲基などのボードゲームや楽器演奏、芸術活動なども効果的です。 自分1人で活動的な生活を維持することは難しいかもしれませんが、誰かと一緒に行うことで継続しやすくなるでしょう。仲間と活動しやすい場として地域の憩いの場、サロンあるいはデイサービスなどを上手く活用しましょう。

【引用・参考文献】
「政府広報オンライン 知っておきたい認知症の基本」
「内閣府令和3年版高齢社会白書」
「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック/国立研究開発法人国立長寿医療研究 センター」