リハビリテーション科コラム

スキンフレイルについて

リハビリテーション科 理学療法士 川口 航平

掲載日:2024年8月27日

皮膚の構造とスキンフレイル・スキンテアについて

  • スキンフレイルについて
  • 私たちの皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されており、体外からの異物の侵入や体内から水分が蒸発することを防いでくれています。

皮膚の表層である表皮は外側から更に「角質層」「顆粒相」「有棘層」「基底層」の4層で構成されますが、加齢に伴い角質が剥がれ易くなったり表皮と真皮の結合が緩くなることで皮膚が脆弱となり、皮膚炎・褥瘡・スキンテアなど難治性皮膚障害のリスクを高めることになります。この皮膚障害に対する脆弱性が増加した状態のことを「スキンフレイル」といい、脆弱化した皮膚が摩擦やずれによって真皮深層まで損傷した状態のことを「スキンテア」といいます。

スキンフレイルスクリーニングツール

(該当項目にチェックします)

張り低下の4項目
乾燥の6項目

張りの低下で1項目以上、乾燥の項目で3項目以上当てはまる場合はスキンフレイルが疑われます。

スキンフレイルの予防・対策

健康な皮膚状態の維持のためにはスキンケアと適切な栄養が大切です。スキンケアは体の外側から肌を守り、栄養は体の内側から健康な肌を保つ材料となります。特に、スキンフレイルにならないよう予防する段階では栄養が、スキンフレイルからスキンテアにならないよう予防する段階ではスキンケアが重要となります。

栄養面ではまず、全身的な健康状態の維持のためにエネルギーとたんぱく質を十分に摂りましょう。日本人の高齢者では1日に約60gのたんぱく質の摂取が推奨されています。また、食が細くなっている方はエネルギー効率の良い油(マヨネーズやごま油といった調味料)を料理に使用することも有効です。(※医師より食事制限の指示がある方は、その指示に従ってください。)

スキンケアにおいては、前述したスクリーニングツールで張りの低下に当てはまる項目がある場合は、袖や裾の長い衣類を着用したり、手足をぶつけやすい家具やベッド柵などにカバーを付けるといった環境調整をすること、また介助が必要な方は介助の際に体を引きずらない・引っ張らない・つかまないといった介助方法の工夫をおこなうことが有効です。
乾燥の項目に当てはまる場合は低刺激で伸びの良い保湿剤を一日に数回(保湿剤の量は1回あたり1円玉大)塗るようにすることが有効です。

猛暑の日が続いて夏バテによる食事量の低下や脱水に気を付けなければいけない季節となっています。日ごろの生活習慣とケアを崩さず健康な体を維持していきましょう。

【引用・参考文献】
(淑徳大学看護栄養学部栄養学科 飯坂研究室)より
床ずれ予防コンパクトガイド (株式会社ケープ) より
食品成分データベース 文部科学省