2023/11/7掲載
COPDとは
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、タバコ煙を主とする有害物質を長期的に吸入曝露することで生じた肺の炎症疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病です。
40歳以上の人口の8.6%、約530万人の患者が存在すると推定されていますが、大多数が未診断、未治療の状態であると考えられています。
症状
歩行や階段昇降など身体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難や慢性的な咳や痰が特徴的な症状です。
息切れの悪循環とは
COPDの患者さんの多くは動くと息切れが生じる為、日常生活の中で身体を動かすことを避けてしまうようになり「息切れの悪循環」に陥ってしまいがちです。また、「息切れの悪循環」により徐々にADLが低下してしまいます。この循環を断ち切る為には日常生活の中で動くことがとても大切です。

呼吸リハビリテーション
一般的に呼吸リハビリテーションの目的は、
- 呼吸機能障害による労作時呼吸困難の緩和
- 日常生活動作低下の改善
- 気道感染などによる急性増悪の予防
が中心です。
呼吸リハビリテーションのプログラムには、
- 運動療法
- 栄養指導
- 患者教育(禁煙・運動動作指導・自己管理など)
が含まれます。
※当院では、医師、看護師、管理栄養士、セラピストなどのチームで連携しアプローチをしています。
自宅でできる呼吸リハビリテーション(呼吸練習・運動療法)
呼吸練習
運動時の息切れ予防や軽減を目指します。
① 口すぼめ呼吸
<方法>
1. 口を閉じて、鼻から息を吸います
2. 口をすぼめて、ゆっくりと息をはきます
【POINT1】息をはくときはロウソクの火が揺れる程度の強さで長くはくようにしましょう。
【POINT2】はくことを意識することで次の呼吸でたくさんの酸素を効率よく吸うことができます。
② 腹式呼吸
<方法>
1. 鼻から息を吸ってお腹を膨らませます。
2.お腹の力を抜いて、口をすぼめてゆっくりと息をはきます。
【POINT1】お腹に手を当てると分かりやすいです。
運動療法
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① 有酸素運動(歩行・ウォーキング、エアロバイク等)
筋肉を鍛え、心肺機能の改善、息苦しさや息切れなどの症状の改善を目指します。
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② 筋力トレーニング(立ち上がり運動、スクワット等)
下肢の筋肉を重点的に鍛えることで筋力の維持・改善を図り、外出時などの息苦しさや息切れ、疲労感の軽減と改善を目指します。
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③ ストレッチ
呼吸筋をしっかりとストレッチして胸郭が広がりやすい状態をつくり、 効率的で楽な呼吸運動ができるように導きます。
一般社団法人 日本呼吸器学会
日本緩和医学学会 呼吸リハビリテーション