2021年8月12日掲載

リンパ浮腫について

リハビリテーション科 理学療法士 大久保 瑶子

リンパ浮腫とは

  • リンパ浮腫とは
  • リンパの流れが滞ることによってリンパ液が徐々に皮下組織に溜まってしまい、腕や足にむくんでしまう状態です。がん(乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌など)の治療としてリンパ節切除術を含む手術や放射線治療をした場合、またはリンパ節に癌が広がった場合に発症するケースが多くみられます。

    がん治療後は必ず発症するわけではありませんが、発症すると、関節が曲げづらくなるなど日常生活に支障きたすことがあります。重症化すると治りにくくなるため、リンパ浮腫を予防することや早期発見が大切です。

主な症状

  1. 腫れぼったい、重だるい感じがする
  2. 皮膚のしわがなくなる、つまみにくくなる
  3. 血管が見えにくくなる
  4. 押したら跡が残る
  5. 皮膚が乾燥し固くなる など

リンパ浮腫の治療

リンパ浮腫の治療「複合的理学療法」としては、リンパ浮腫に対する保存的な治療法があります。

  1. スキンケア

    肌のバリア機能を高め、感染を予防します。

  2. 用手的リンパドレナージ

    たまったリンパ液を適切な方向へ誘導・排液します。

  3. 圧迫療法

    弾性着衣、弾性包帯での圧迫により、用手的リンパドレナージによって改善された状態を維持し、リンパ液の再貯留を防ぎます。

  4. 圧迫下での運動療法

    弾性着衣、弾性包帯を着用した状態での運動により、静脈やリンパの流れを促進します。

日常生活で気を付けること

  1. スキンケア

    リンパ浮腫の皮膚は乾燥しやすくバリア機能が低下しやすくなり、感染症(蜂窩織炎など)の発症リスクが高くなります。そのため、患部の清潔・保湿をこころがけ、肌を傷つけないことが大切です。また虫刺されや紫外線にも注意が必要です。

  2. 体重管理

    体重が増加することでリンパ管を圧迫してしまい、リンパ液の流れを悪くしてしまいます。適正体重を保つようにしましょう。

  3. 適度な運動

    運動することにより、筋肉がポンプの働きをしてリンパ液の流れを促す効果があります。しかし、激しいスポーツは負担になってしまうため注意しましょう。

  4. 衣類

    下着や靴下などは、できるだけ締め付けのないものを選びましょう。

  5. 患部の管理

    長時間の座りっぱなしや立ちっぱなしは避けましょう。就寝時、むくみや重だるさを感じる場合は、バスタオルなどで手や足を高くして休めてください。