「高次脳機能障害」と聞いてどんな症状・状態を思い浮かべますか?
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高次脳機能障害とは、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や事故により脳が傷つくことで、脳の機能が低下し、様々な症状を引き起こすことを指します。「隠れた障害、見えない障害」とも言われ、外見からは理解されにくいのが特徴です。症状により、日常生活や社会復帰に影響を及ぼすことがあります。
高次脳機能障害は、障害部位により症状は多種多様です。なぜなら脳は様々な機能を司っているからです。注意障害、失語症、記憶障害、失認症、半側空間無視、遂行機能障害等々があります。ひとつの症状ではなく、複数の症状が現れる事もあります。
今回はその中の「注意障害と対応策」についてご紹介します。
注意障害とは?
主な症状は、「作業中のミスが増える」「周囲の刺激に気が散って落ち着かない」「ぼんやりして反応が鈍い」「ひとつの事に固執して、他に気が向かない」等々。他の高次脳機能障害に比べて発現頻度が高く、種類や重症度により幅が広い、多彩であると言われます。注意機能は以下に分けられます。
注意機能が障害されると・・・
- 容量性注意障害:一度に意識できる範囲や容量が狭くなります。
例:ふたつの事が同時に行えない、うっかりミスが増える - 選択性注意障害:必要な刺激や情報に注意を向ける事ができなくなります。
例:多くの商品から適切な商品を見つけられない。物音がするとそちらに注意がそれて続けられなくなる。 - 転換性注意障害:特定の対象に強く固着してしまい、他の対象に対して注意を速やかに切り替えられなくなります。
例:他のことに注意が散り目的に沿った行動ができない。または一つの作業から切り替えられない。 - 持続性注意障害:注意を一定の状態に保ち続けることが困難になります。
例:集中を保つことが出来ない、ミスが多い、考え事をするとすぐ疲れてしまう。 - 配分性注意障害:複数の活動を実行したり、順序よく実行することができなくなります。
例:電話をしながらメモを取れない、料理で他のことをしていて鍋を焦がしてしまう、車の運転で周囲に気を配れない
注意障害への対応法
- 集中しやすい環境を整える(刺激を少なくする、個室で行う)
- 同時にではなく、ひとつずつ作業を行うようにする
- こまめな確認を行う
- 休憩時間を確保する
- 伝える内容は端的にする
- 必要に応じてメモを利用する
- 混乱しないように統一した声掛けをする
- アラームを使用する
さいごに
注意機能はあらゆる心理活動の基盤をなす働きです。
感情(情動や気分)や疲労とも密接に関係します。
感情的な安定を図り不安を軽減させることも大切です。
参考文献:高次脳機能障害マエストロシリーズ