2021年4月号(2021/12/1)

「失語症」と「コミュニケーション」

言語聴覚士 相田 智美

今回のコラムでは、失語症とコミュニケーションについてお話させて頂きます。 早速ですが、皆さんは日々どんな手段で人とコミュニケーションをとっていますか?

言葉を聴いたり・言葉を話したり・文字を読んだり・文字を書いたり、その他にも手話・指文字・口読・イラスト・表情・口調・アイコンタクト・ジェスチャーなどを駆使して意思や感情を伝えていると思います。このことを念頭に失語症への理解とコミュニケーションについて一緒に考えて頂けますと幸いです。

失語症とは?

  • 失語症
  • 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・脳腫瘍・外傷などで脳内の“言葉の工場”にトラブルが生じると①言葉を聴いて理解する②言葉を話す③文字を読んで理解する④文字を書くことが難しくなります。

    “語を失う”と書きますから、イメージとしては自分の頭の中から日本語の50音・国語辞典・漢字辞典などを一瞬にして失うことに近いと言えます。

症状の程度や回復のスピードはさまざまであり、喪失感・混乱・落ち込みの時期を経て数ヶ月~数年をかけて回復していくとも言われている言語障害です。

失語症ってコミュニケーションがとれない?

話し言葉や文字が通じないと言われると「困る!無理!やり取りできない!」と感じて当然かもしれません。時間をかけて「どうしたらいい?どうやったら通じる?」と気持ちの持ち方を変えることがまず第一歩です。

そして、前述したように私たちはいろんなコミュニケーション方法を持っています。失語症の状態によっては万全とはいかずとも①~④の中で比較的回復がはやくコミュニケーションの強みにできるものもあります。短い文章ならわかる、イラストがあればよりやり取りがしやすくなる、そうした例もあります。「強みを見つけて」「今できることを」「できる方法で」コミュニケーションは少しずつとれるようになります。

コミュニケーションをとる際に気をつけることは?

  • コミュニケーション
  • 失語症を抱えても相手の表情・口調・態度は受け取れます。ご本人様がこれまでに築き上げてきた周囲との関係性や社会・職業的地位を尊重し病前と変わらない関わり方を心がけます。言い間違いは指摘せず、言葉を出すのに時間を要したり・詰まったり・言い直しには待ちの姿勢で応ずることも大切です。

最後になりますが、失語症を抱える方々やご家族様に微力ながらお応えできるよう努めて参ります。