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今回はリハビリコラム第1回ということで、リハビリテーションの語源と歴史について紹介したいと思います。
リハビリの語源
リハビリテーション(rehabilitation)の語源は、
ラテン語でreは「再び」、habilisは「人間らしい」、「できる」という語で、「
再び人間らしく生きる」、「再びできるようにする」という意味になります。その後、長い歴史の中で使用方法が変化し、「権利の回復」、「名誉の回復」など様々な意味で使われるようにもなってきました。リハビリテーションという語が、現在われわれが使用している「障害者に対する機能回復、能力向上、社会復帰」というような意味になったのは、障害者が多発した戦争を契機とし、第一次世界大戦のころからで、第二次世界大戦後に広く定着しました。
リハビリの歴史
現在は病気や怪我を治す目的で使用される“リハビリテーション”ですが、世界的に現在の“リハビリテーション”という言葉が使われるようになったのは第1次世界大戦の戦時中から戦後といわれており、戦争で負傷した兵士の短期回復のための兵士リハビリテーションがきっかけとも言われております。
さらに深い歴史を振り返ってみると聖女ジャンヌ・ダルクとも深い関わりを持っていることも明らかになっています。
つまり、医療的なリハビリテーションが戦争を境に世界的に普及した一方でそれ以前は地位や名誉の挽回や復権という意味でリハビリテーションという言葉が使われていたのです。
1900年代〜1960年代
医学的なリハビリテーションは兵士リハビリテーションに歴史があると前述しましたが、第2次世界大戦以前には用語として確立はまだしていませんでした。リハビリテーション医学という言葉は1950年代前半に現れて1960年代後半になって急速に広まっていきました。
1960年〜1970年代
リハビリテーションの目標が職業再訓練だけではなく個人が生活全ての機能を発揮できることへと拡大しました。
「障害(disability)がある場合、機能的能力(functional ability)が可能な限り最高の水準に達するように個人を訓練あるいは再訓練するため、医学的・社会的・職業的手段を併せて、かつ調整して用いること」(世界保健機関(WHO)1968)
1980年代
1980年代になると老人問題が取り上げられ、リハビリテーションの目標として「生活の質(quality of life:QOL)」の向上が重視されるようになり、高齢者に対する保険医療サービスや福祉サービスは寿命の延長よりもQOLの維持向上に重点を置くようになります。
現在
現在、一般的に広く普及しているリハビリテーションの定義は以下の通りです。
「リハビリテーションは、個人の生理的、解剖的あるいは生理的な機能障害、環境の制約、個人の希望および寿命と一致した身体的・心理的・社会的・職業的・余暇的および教育的可能性が最大に達するまで個人を手助けする過程である。患者と家族、関与するリハビリテーション・チームは、たとえ機能障害をもたらした病理学的過程が不可逆であっても、現実的な目標を設定して、残存障害(機能的制限)があっても最適な生活機能を獲得するための計画を、成し遂げるように協力する」(Haas 1993)
現在の日本におけるリハビリテーションは、職場復帰や経済的自立を支援する目標にととどまらず、障害の原因となる疾病などの予防や治療のためのリハビリテーションも図られるようになっています。
加齢に伴う退行変性や老化の予防や維持、病気や怪我を治療し以前の状態に可能な限り近づけること、病気や疾病の2次障害のリスクを避けるための生活指導や予防リハビリテーション、そもそも障害の原因となる病気や怪我を予防するためのリハビリテーションなどが現在の主なリハビリテーションの目的となっており、私たちの生活と切り離せない重要な部分を担っています。また、近年は経頭蓋磁気刺激治療(けいとうがいじきしげきちりょう)などの新たな治療の開発、ロボットスーツの開発、ICT(Information and Communications Technology)の利用などリハビリテーションを取り巻く環境も変わりつつあります。さらに、介護予防推進事業、地域包括ケアシステムなどの取り組みも始まり、リハビリテーションに多種多様な役割を求められるようになってきています。
時代と共にリハビリテーションのニーズは変化してきますが、「すべては患者さんのために」という気持ちを忘れずにリハビリテーションを提供できるように頑張っていきたいと思います。何かお困りのことがあれば、是非当院へ気軽にご相談ください。
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リハビリテーションに関わる各種専門職
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