広報紙 vol.41しんゆりニュースレター

リハビリテーションとは
その人の生活を再建すること

新百合ヶ丘総合病院
リハビリテーション科 医長
こしかわ ひさお
越川 尚男 医師
【プロフィール】
千葉大学医学部卒業。深谷赤十字病院外科。小田原市立病院外科。軽井沢病院外科。国保匝瑳市民病院外科。1985年カナダトロント大学腫瘍外科。91年住友重機健康保険組合浦賀病院院長。2018年千葉県済生会習志野病院副院長。20年4月から現職。
日本外科学会専門医/日本消化器外科学会専門医/日本消化器病学会専門医/Infection Control Doctor/緩和ケア研修修了

リハビリテーションとは
その人の生活を再建すること

新百合ヶ丘総合病院
リハビリテーション科 医長
こしかわ ひさお
越川 尚男 医師
【プロフィール】
千葉大学医学部卒業。深谷赤十字病院外科。小田原市立病院外科。軽井沢病院外科。国保匝瑳市民病院外科。1985年カナダトロント大学腫瘍外科。91年住友重機健康保険組合浦賀病院院長。2018年千葉県済生会習志野病院副院長。20年4月から現職。
日本外科学会専門医/日本消化器外科学会専門医/日本消化器病学会専門医/Infection Control Doctor/緩和ケア研修修了
  • リハビリテーション科には、私たち医師のほか、総勢110名(理学療法士78名、作業療法士20名、言語聴覚士10名、アシスタント2名)のスタッフが在籍しており、1年365日リハビリテーションを提供しております。リハビリテーションは、急性期、回復期、生活期に分けられますが、当科は、入院・通院・訪問を通して全ての時期でリハビリテーションが提供可能です。また、脳血管疾患(脳出血・脳梗塞など)による後遺症(痙縮:手足のつっぱり)に対してはボツリヌス療法を実施しており、後遺症に悩む方々へのフォローも行っております。加えて、2020年春開設の新棟には回復期リハビリテーション病棟が新設されました。これにより、主に脳血管疾患や下肢骨折などの運動器疾患の発症・受傷後、身体機能の回復が最も見込まれる時期に、より集中的なリハビリテーションの提供が可能になりました。

    当科が他の診療科と一番異なるところは、障害をいかに克服するかという視点を持って多様な疾患の診療を行うことです。障害を克服していかに充実した快適な生活を送れるかに焦点を当て、頻回の

  • カンファレンスで多職種チームの意思統一を図り、皆が同じ方針で取り組みます。障害をきちんと評価できることは、患者さんが困っていることを感じ取ることができる力にほかなりません。

    複数の合併症を持つ患者さんも多く、医学的アドバイスができる総合的な医療知識が求められますが、患者さん・ご家族とタイムリーに接する精神的なサポートも非常に大きな部分です。そこで各人の生活と歴史を知ることがまたリハビリテーションの成果に繋がる要素となります。個々人を大切に思う気持ちを常に心掛けているのは、私たちが関わる方々の障害された機能を最大限に回復させるだけでなく、退院後の生活での障害を予防し、そして生活を大きく変えるチャンスがそこにはあるからです。より大きな成果を目指してこれからも努力してまいります。

    「すべては患者さんのために」の病院理念の下、質の高いリハビリテーションサービスの提供に努めてまいりますので、皆様、今後とも当院ならびに当科をよろしくお願い申し上げます。

回復期リハビリテーション病棟

回復期リハビリテーション病棟とは

回復期とは、急性期(病気や怪我の発症・受傷直後の時期)を経て、生活期(症状が安定する時期)に移行する前段階の、身体機能の回復が最も見込まれる時期です。回復期リハビリテーション病棟とは、主に脳血管疾患(脳出血・脳梗塞など)下肢骨折などの運動器疾患の発症・受傷で治療が必要な状態を脱したものの、医学的・社会的・心理的なサポートが必要な方々に対して、多くの専門職種(医師・看護師・介護職員・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・ソーシャルワーカーなど)が協働して集中的なリハビリテーションを提供する病棟です。当病棟では、自宅や社会に戻ってからの生活を少しでも元の状態に近づけ、更には可能な限り再発予防を図るための専門的なプログラムを症例ごとに工夫して提供しています。

対象となる疾患・状態と入院できる期間

  • 回復期リハビリテーションの対象となる疾患・状態

  • 左記の疾患・状態の方々が入院の対象となり、それぞれに入院できる期間が決められています。

病棟設備

  • 病棟設備

  • 開設から間もない病棟は綺麗で清潔感があり、併設されているリハビリテーション室には最新の医療機器を取り揃えています。また、最先端のADL(日常生活動作:入浴・トイレ・家事など)室では自宅の環境に合わせたプログラムの提供が可能です。

    病棟設備

入院までの流れ

  1. 入院相談・申込:医療機関担当者(社会福祉士など)より電話連絡していただきます。
  2. 入院判定・連絡:専門職による協議の上、入院可否および入院日時を決定し、連絡いたします。
  3. 入院:入院日に自家用車または介護タクシーなどでご来院ください。

回復期リハビリテーション病棟について詳しくはこちらから

  • 病棟設備

  • お問合せ先

    地域医療連携課 (医療機関専用窓口)
    TEL:044-322-8113 FAX:044-322-8113
    受付時間:9:00~17:00 ※土・日・祝日・年末年始を除く

臨床検査科コラム

新型コロナウイルスの検査

臨床検査科 科長 馬場 正規


  • 病棟設備

  • 2019年末頃より中国の武漢市を中心に新型コロナウイルスによる肺炎患者が集団発生し、当初は「中華人民共和国湖北省武漢市における新型コロナウイルス関連肺炎」と呼ばれていました。これが急激に世界中で感染を引き起こし、日本でも、2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されました。この頃、WHOはこの新型コロナウイルスを「COVID-19」と名付けました。ちなみにCOVID-19」とはCORONA(コロナ)の「CO」、VIRUS(ウイルス)の「VI」、Disease(疾患)の「D」、2019に発生したため「19」を合わせ「COVID-19」となります。

コロナウイルスは、もともと冬期に日常的に発生・流行する風邪(10~15%(流行期35%))の原因ウイルス(4種類)です。2002年中国にてコウモリのコロナウイルスがヒトに感染して重症肺炎を引き起こし、2003年7月までに30を超える国や地域に感染拡大、感染患者8,069人のうち775人が亡くなりました。このウイルスは「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)」と名付けられました。また、2012年にサウジアラビアにおいて、ヒトコブラクダのコロナウイルスがヒトに感染して重症肺炎を引き起こす「中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)」が発生。このウイルスにより27カ国2,494人が感染、そのうち858人が亡くなりました。今回の新型コロナウイルスによる感染拡大は2つの事例のその比ではなく、2020年10月末現在、全世界で4,490万人が罹患し、118万人が亡くなっています。この新型コロナウイルスのタイプを調べたところ、「重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)」の姉妹種であることがわかり、「SARS-CoV2」とも呼ばれています。今回は新型コロナウイルス(以下「SARS-CoV2」)についての検査方法を簡単にいくつかご紹介します。

SARS-CoV2抗原定性検査」はウイルスのタンパク質である「抗原」を検出する方法をいい、鼻や咽頭の奥から拭った液や唾液を用いて調べます。簡易キットが開発され、短時間で判定できるメリットがあります。しかし、陽性結果を得るためには多量のウイルスを必要とするため、陰性であってもSARS-CoV2の感染を否定できません。

SARS-CoV2抗原定量検査」はウイルスの量を調べる検査で、検査精度は定性検査よりも優れており、定量検査での「陰性・陽性」判定結果は信頼に値するといわれています。ただし、陰性なのか陽性なのか判定が微妙な判定保留のケースもあり、その際は後述する「核酸増幅検査」に検査結果が委ねられます。

SARS-CoV2抗体検査」の「抗体」とは、体の中に侵入してきた病原体によって生体内で作られるタンパク質です。免疫グロブリン(Ig)ともいい、SARS-CoV2の場合はIgG、IgMを測定します。抗体は感染後数週間くらいで検出されるといわれており、抗体検査が「陽性」の場合は、過去に「感染した」といえますが、発症初期であれば「陰性」であっても抗体ができていない場合もあり「感染していない」とはいい切れません。

「核酸増幅検査」とは、いわゆるPCR検査などのことをいいます。「PCR検査(ポリメラーゼ連鎖反応検査)」は2重らせんのDNAを熱処理で1本鎖に分け、特殊な酵素などでそれぞれの1本鎖を2本鎖に増幅させます。それを何回も繰り返しウイルス核酸を倍々に増やす(2n個)方法です。20回のコピーで約100万倍に増幅され、通常30~40回のコピーが行われます。ウイルスにはDNAウイルスとRNAウイルスの2種類があり、コロナウイルスはRNAウイルスのため、特殊な酵素を用いて一旦DNAに転写させてから行う「RT-PCR法検査(逆転写PCR)」という方法が用いられます。PCR検査はSARS-CoV2のパンデミック流行がなければ、一般にはあまり知られることはなかった検査方法で、操作も複雑で熟練を要し、検査コストもかかる検査です。またPCR検査は優れた検査方法ですが、完璧な検査とはいえず、感染から日数が経過していないと陽性率は60~70%との報告もあり、検査結果を判断する際は注意が必要です。この流行初期にはPCR検査を実施できる機関も実施できるスタッフも少なかったのが実情でした。しかし、ここ最近では実施機関・スタッフも増えてきています。

  • 簡単ではありますが、SARS-CoV2検査について紹介させていただきました。ご参考になれば幸甚です。SARS-CoV2感染予防には手洗いの実施、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの遵守が重要です。最後になりましたが、皆様のご健康と感染防止を祈念しております。

専門外来のご案内

小児科アレルギー外来

  • 和田未来先生
  • わだ みく
    和田 未来 先生

    小児科 医長
    東京女子医科大学医学部卒業/日本小児科学会専門医

    もりた くみこ
    森田 久美子 先生

    小児科 非常勤医
    慶應義塾大学病院

小児の食物アレルギーを中心に、アレルギー疾患を総合的に診断・治療いたします。

外来の特徴

アレルギー疾患は食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などに分類されます。アレルギーマーチという言葉があるように、乳児期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、幼児期に気管支喘息、学童期に花粉症やアレルギー性鼻炎と、成長に伴い複数のアレルギー疾患を発症することも珍しくありません。当外来では、食物アレルギーを中心に様々なアレルギー症状でお困りの方を総合的に診察・治療いたします。

食物アレルギーの診断とその治療方法

食物アレルギーとは、本来無害である食物に対して免疫が過剰に反応することにより、体にとって不都合な症状が誘発されることです。アレルギー症状は、皮膚症状(湿疹、蕁麻疹など)、粘膜症状(口の違和感、くしゃみ、目のかゆみなど)、呼吸器症状(咳、喘鳴など)、消化器症状(腹痛、嘔吐、下痢など)、全身の症状(顔面蒼白、意識朦朧など)など多岐にわたり、典型的には原因食物摂取後2時間以内に起こります。問診から原因食物を予想し、血液検査、皮膚検査、経口食物負荷試験などの検査で診断します。かつては原因食物の除去と症状出現時の対症療法が治療の中心でしたが、近年はアレルギーがある食物でも、症状が誘発されない“食べられる範囲で食べる”ことが勧められています。食べることにより、栄養学的なメリットはもちろんですが、誤って食べてしまったときの誘発症状の軽減や将来的な耐性獲得の促進(食べられる範囲が増えていく)が期待できます。当院では入院による経口食物負荷試験を行っており、アレルギー症状の出現が予想される食べ物でも安全に食べられる範囲の設定を行うことができます。

患者さんへ

食物アレルギーに配慮した離乳食の進め方の指導や、食物アレルギー予防につながる可能性のある乳児湿疹のスキンケア指導なども行っています。お気軽にご相談ください。

診察日

第1水曜 8:30~12:00 / 第3水曜 14:00~17:00
外来診療予約専用TEL(通話料無料) 0800-800-6456【予約制】
※あらかじめ外来診療担当表をご確認の上、ご予約をお取りいただいてからご来院ください。

「健康講座ミニ版」動画配信のお知らせ

諸般の事情により12月の院内医学健康講座および院外市民医学講演会の開催を中止する替わりといたしまして、健康講座ミニ版を当院ホームページにて動画配信しますので、ご覧ください。

掲載日 :
12月14日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「小児の予防接種 基礎知識」
講師 :
小児科 医長 佐藤 公則 医師
掲載日 :
12月29日頃 (詳細は当院ホームページにてお知らせします)
演題 :
「赤ちゃんをむかえるために知っておくべきこと~産婦人科の現場より~」
講師 :
産婦人科 部長 田島 博人 医師

2020年10月の救急車受け入れ台数は564台でした。