耳鼻咽喉科

当科の特徴(概要)

当院の耳鼻咽喉科では、耳、鼻、咽喉の一般的な疾患ならびに頭頸部腫瘍、甲状腺腫瘍の診断と治療を行っています。 耳、鼻、咽喉、頸部の症状でお困りの方は、まず月曜日~土曜日の午前の一般外来を受診していただいております(8:30~11:00受付 ※詳しくは外来担当表をご覧ください)。専門的な診断と治療を要する疾患をお持ちの患者さんは、各領域を専門とする医師が担当する専門外来(下記参照)を受診していただきます。他院からの紹介状をお持ちの方や、ご希望の方は、専門外来に直接初診で受診することが可能です。ただし、補聴器相談外来に受診希望の方は、症状の問診や聴力検査などの一般的な診察を要しますので、まず一般外来を受診してください。

また、当病院グループの使命として、難治性の甲状腺がんや、頭頸部領域の早期がん、進行がん、再発転移がんといった悪性腫瘍の治療を行っております。特に、喉頭気管の切除・機能再建を可能にする外科的技術(kimono flap)を持っており、のどに入り込んだ甲状腺浸潤がんや喉頭がん治療において、声を残す技術に実績があります。

のどの早期がんは、特殊光内視鏡(NBI)をルーティンに行って発見に努め、内視鏡支援手術システム(ELPS)による低侵襲治療を行います。切除不能の再発、転移がんの患者さんに対しては、どうすれば患者さんにより良い生活の質と豊かな時間がもたらされるかを熟慮した上で、PET/CTとサイバーナイフの最新鋭機器を駆使し、低侵襲な要所的局所治療を開院早々より行っております。

対象疾患

耳、鼻、咽喉の一般的な疾患ならびに頭頸部腫瘍、甲状腺腫瘍

生活習慣病としての咽喉頭酸逆流症

風邪も引いていないのに、咽喉の違和感が数ヶ月あるいは年単位で延々と続くようでしたら、咽喉頭酸逆流症が疑われます。この症状でお困りの患者さんが、この20年間特に都心部で激増しています。

  • 食道裂孔ヘルニアや胃下垂など、個人の体質によって起こりやすいのですが、激増した原因は、都会人の生活習慣の急激な変化に求められます。高脂肪高蛋白食の摂取とライフスタイルの変化が主な要因ですが、産業化社会の進展、浸透と根深く関連する文明病です。胃酸分泌抑制薬が処方されがちですが、なかなか好転しないことが多く、むしろ薬に頼らず、生活習慣を改善していくことが根本治療となります。すなわち、就眠時に胃に内容物が残っていないように心掛けることですが、これがなかなか難しいのです。具体的には就眠2時間前には夕食を切り上げ、また夕食には濃厚な食事や大食を避け、大食した際には枕を積み上げてリクライニングのようにして、胃から咽喉への胃酸の逆流を防ぐことです。ただし、上部消化管内視鏡で食道や胃に重篤疾患のないことを確認しておくことが重要です。

主な症状・治療法

花粉症

  • 花粉症

  • 「花粉症」とは身体に花粉が入ることによって起こるアレルギー疾患のことをいいます。 アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎の症状が現れ、アレルギー反応は 即時相反応と遅発相反応があります。

即時相反応【そくじそうはんのう】

鼻に花粉が入るとくしゃみ・鼻水が出て、その後鼻づまりが起こります。
鼻の粘膜は風邪のように腫れるため、風邪の症状と間違うこともあります。
早い段階で目のかゆみ・充血・涙などの症状が現れます。
頭痛、微熱等の症状が現れる場合もあります。

遅発相反応【ちはつそうはんのう】

鼻の粘膜が花粉に繰り返しさらされることによって、その後に家の中など花粉がない場所に移動しても鼻づまりが続きます。

花粉の種類

スギ
関西から九州にかけては1月頃から飛散し始め、2月中旬~3月中旬にはピークを迎えます。
東北では1月下旬頃から飛散するのでピークは3月いっぱいです。
関西から九州あたりは5月のゴールデンウィークあたりまで、東北は5月いっぱい飛散し続けます。

ヒノキ
関東では1月末から飛散しはじめ3月4月でピークを迎え、7月頃まで飛散します。
中部から九州にかけては3~4月、東北では4月となっています。

カバノキ科(ハンノキ属)
関東エリアは3~4月、関西エリアでは3月がピークです。
北海道では3月中旬~5月初旬あたりに飛散します。

カバノキ科(シラカンバ属)
北海道から東北にかけて5月くらいに飛散します。

イネ科
5月と8月に二度のピークを迎えます。

ブタクサ・ヨモギ・カナムグラ
夏の終わりから秋にかけて、9~10月頃に飛散します。

検査について

花粉症の検査は大きく分けて、アレルギー反応による症状かどうか調べる検査とアレルギーの原因を特定する検査に分かれます。

問診・鼻鏡検査
問診では、症状、症状が発生する時期、 合併症、アレルギー既往歴、過去の治療歴から、年齢、職業、家族のアレルギー歴まで詳しく聞きます。 鼻鏡検査では、鼻鏡を使って鼻腔を視診します。アレルギー鼻炎であれば鼻腔は青白く腫れた状態で、花粉症であれば赤く腫れた状態になります。

血液検査
血中のIgEの総量を調べる検査と花粉に反応する特定のIgEを調べる検査があります。 アレルギー反応の有無だけではなく、反応の程度も6段階でわかるため、より効果的な薬の処方につながります。

副鼻腔X線検査、CT検査
アレルギー性鼻炎や花粉症では、約15∼20パーセントの割合でX線、CT撮影にて副鼻腔に異常がみられます。

血液・鼻汁好酸球検査
採取した鼻水を薬品を用いて彩色し、採取した鼻水や血液の中の好酸球の有無や量を調べます。

現在の治療法について

薬物療法
抗アレルギーの内服薬、局所ステロイドの点鼻薬などの治療があげられます。 内服薬の場合、眠気、喉の渇き、集中力の低下などの症状が現れる場合があります。

後鼻神経切断術について

後鼻神経切断術とは
後鼻神経切断術とは、難治性の鼻炎症状を治療するための手術です。

  • 後鼻神経

  • 後鼻神経とは鼻の奥の蝶口蓋孔と呼ばれる骨の穴から鼻腔に入ってくる神経で自律神経と知覚神経を含んでおり、この神経は多くの鼻の症状に関与していると言われています。 アレルギー性鼻炎や温度変化に反応する鼻過敏症などではこの神経が過敏に反応してくしゃみ、鼻汁の症状をひきおこすことは以前から知られており、この神経を人並みに鈍感にすることによって鼻の症状が改善される事もわかっていました。 内視鏡が普及する以前は、歯茎を切って副鼻腔の裏でこの神経を切断する手術が施行されておりましたが、身体の負担や合併症が大きい方法でした。 現在では内視鏡を用いることで、顔面や歯茎に傷をつけずに鼻腔から手術が可能となり、身体の負担が少なく劇的な効果が得られるようになりました。

後鼻神経切断術の効果
  1. 鼻水、鼻づまりが改善された
  2. 鼻炎薬を使うことがなくなった
  3. 鼻づまりによって起きていた睡眠障害が改善され、良く眠れるようになった
  4. 鼻水、鼻づまりが改善され集中力、判断力、記憶力がアップした
  5. においが分かるようになったので、食事が美味しく感じられるようになった

手術
手術は全身麻酔で行なわれ、症状の程度や個人差によって手術内容が異なるため、後鼻神経に加えて鼻中隔や下鼻甲介の手術、麻酔の導入覚醒を含めて、概ね2∼3時間程度の手術となります。当院での入院期間は平均1週間程度となっています。

手術後
暫くの間は出血が見られるので、止血のための処置等も行なわれます。 術後1ヶ月程度は飲酒や激しい運動、重い物を持つなどといったことは控えてください。