乳腺・内分泌外科

当科の特徴(概要)

当科では、乳腺疾患、甲状腺、副甲状腺および副腎疾患の診断と外科的治療を行っています。内分泌疾患は過剰なホルモン分泌による様々な臨床症状が出ますが、治療により治癒を目指します。また悪性腫瘍等は手術により治癒を目指します。

当病院では、専門的知識と高度の技術を持つスタッフにより常に患者さんの立場に立った診療をモットーに診断治療にあたっております。 内分泌疾患の臨床症状は多彩であり、どのような患者さんの訴えもしっかり受けとめ、適した治療法を紹介し納得いくまで患者さんとご相談しながら治療にあたります。

対象疾患・症状

乳腺疾患

乳癌(乳がん)、乳腺腫瘍(乳腺線維腺腫、葉状腫瘍、乳管内乳頭種、過誤腫、嚢胞など)、乳腺炎 (授乳中の急性化膿性乳腺炎、乳輪下膿瘍、肉芽腫性乳腺炎)など



甲状腺疾患

甲状腺癌、甲状良性腫瘍、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、副甲状腺腫瘍、副甲状腺機能亢進症、多発性内分泌腫瘍症

甲状腺疾患の対象となる症状

・ 頚部が腫れている。
・ 動悸がしたり、手が振るえたり、疲れやすい。
・ 食欲があるのに体重が減る。汗をかきやすい。
・ 骨がもろいと言われた。
・ 足がしびれる。イライラする。のどが渇く。
・ 腎結石、尿管結石があると言われた。

検査内容

乳がん検診

乳がんの検診は、進行した乳がんだけでなく、非浸潤性の状態でも診断出来る機会が多くなりました。乳管内のがん細胞が、壊死(死滅)したもの、分泌物を産生したものが微小な石灰化を作ることがあります。

乳がん検診は、現在、マンモグラフィー(MMG:乳房X線検査)検診が主流ですが、一部では超音波での検診が行われています。何故2種類の検診をするのでしょうか。 それぞれの機器の得手不得手があり、1種類では不十分だからです。視診・触診も大切ですが、視触診には限界があります。 その理由は、乳腺には厚みがあり、深い所にある腫瘤は触知困難であり、乳腺組織は不均一なものが多く、もともと凸凹している人については、がんとの識別が触診では難しいからです。

この文を書いている時に当院の放射線科の乳腺読影専門医の先生から次のようなお話を聞きました。 その内容は、米国の女性の話で、MMG検診を受けて正常という報告を受けてから数週間後に腋窩リンパ節転移のある25セント硬貨大の乳がんが超音波検査で発見されたました。MMGでは高濃度乳腺のため、何も見つかりませんでした。この女性は、自らの悲劇から、高濃度乳腺ではMMGに限界がある事を全米のみならず世界各国で講演して回りました。この運動が人・社会を刺激し動かし、一部の州では法律を改正して、MMG検診には乳腺の濃度を告知することになったとのことです。 MMGが非力であるということではなく、診断機器の特徴を知るということです。

MMGは、X線装置なので微小な石灰化を発見するのが得意です。X線の透過度の差異、すなわち正常乳腺の濃度とがんの濃度の差で識別する装置です。高濃度乳腺の場合、MMGではがんも乳腺組織も同様に白く映ってしまうので、両者にコントラストがつかないのです。

一方、超音波診断装置は、音波の反射を利用してコントラストを付けて診断する装置です。 しかし、リアルタイムに方向を変化させることにより腫瘤・異常な組織か正常な乳腺組織かの判別ができます。ただ、多くの人を短時間に診断する、市町村が行っている対策型の検診手段としては、コストと時間がかかることと、走査・診断技術の習得に時間がかかり、不向きと考えられています。一方で、以前から高濃度乳腺においては超音波が必要であるといわれており、乳がん検診学会でも超音波診断をどのように取り入れていくか検討している最中です。

近年、MMGの機器の中には、これまで立体的な乳房を平面でとらえていましたが、比較的立体的に撮影できる装置が開発されています。パラパラ漫画が立体的(3D)に見えるように、MMG撮影を多方向から撮影すると、単純な1枚の画像では判別できない影がより立体的に観察でき、判別し易くなります。トモシンセシスという機器は、この3D・パラパラ機能が備わったMMGです。新百合ヶ丘総合病院では、この機能を有するMMGが導入されていて、MMG診断の一助になっています。

乳がんMMG検診での精査方法について述べます。超音波検査を先ず行います。大きな腫瘤は容易に発見出来ますが、微細石灰化像の描出は苦手ですが、乳がんの顕微鏡レベルの形態を頭に描きながら、小さながんの随伴所見を超音波装置で探査します。発見出来れば、超音波で同部へ細い針や太い針を誘導して、細胞や組織の小塊を採取して、顕微鏡検査で判定します。

前述したように乳がん検診では早期の乳がんが多数発見されています。現在、日本では乳がん検診の受診率が大変低い状態で、市町村で施行している対策型検診が約20%、任意型検診を含めると約40%です。欧米では約80%の乳がん検診受診率と言われています。乳癌は40歳代後半から50歳代に多いとされていますが、高齢者にも多くなっています。

疫学的にみた乳がんのリスクに関して述べますと、初経から閉経までの期間が長い・初産年齢の上昇・出産歴が無いことなどはがん罹患リスクが上昇する、一方、授乳経験あり・閉経後女性において出産数が多い・運動などはリスクを低下させる傾向があるなどと報告されています。また、近親者に乳がん患者がいる女性はリスクが高く、毎年の検診が勧められています。