乳がん|乳腺・内分泌外科

乳がんとは

乳がんの発生部位から見た乳がん(乳管がん・小葉がん)

私たちの体は、約60兆個の細胞でできていると言われています。その細胞の多くには寿命があり死滅する細胞、そしてその分だけ分裂して細胞が再生されています。このメカニズムに障害が起こるとある細胞だけが増殖することになります。がんがその代表疾患です。

乳がんは、乳腺の上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。乳癌を発生部位から分類しますと、乳汁が通過する乳管から発生する乳管がんと、乳汁を作る小葉から発生する小葉がんがありますが、その多くは乳管がんです。 日本では乳管から発生するがんが多数で、欧米の頻度と多少異なります。判定は専門の病理診断医による診断が行われます。

非浸潤性乳がん(早期乳がん)と浸潤性乳がん

  • 非浸潤癌

  • 乳がんが、乳管や小葉の内部にだけ存在し、外部に露出していない状態を非浸潤性乳がん(非浸潤性乳管がん・非浸潤性小葉がん)と呼んでおり、リンパ節などへの転移は起きないと考えられています。

    マンモグラフィー検診の微細石灰化で発見される乳がんや乳頭からの血液分泌などが動機で発見される乳がんの中には非浸潤性乳がんが多く含まれています。 一方、乳管や小葉の外部に露出(浸潤)している状態を 浸潤性乳がんと言っており、転移の可能性があると考えられています。

非浸潤性乳がんと浸潤性乳がんの区別・判定はどのようにしているかというと、切除した乳がん組織を病理診断医が最終的に顕微鏡的病理検査を経て決定しています。日本では、乳房温存手術標本を5mm間隔で切って観察しており、多数の病理標本を作製して検査・判定しています。

このように日本では諸外国に比べて病理検査に時間と費用を多くかけています。乳がんの診断と治療にはこの専門の病理診断医による病理検査が不可欠と言えます。 当院では専任の病理診断医と優秀な検査技師が常駐していて、乳がん診察の屋台骨を見えないところで支えてくれています。

乳がんの診断

患者さんの訴えや家族歴などを聴取し、視診・触診を行い乳頭からの分泌液の有無、乳腺腫瘤の有無、リンパ節の有無など直接調べます。(視診・触診)

  • デジタルマンモグラフィー(乳房撮影装置)

  • 次いでX線撮影によるマンモフラフィー検査(MMG)と乳房超音波検査を行います。当院のMMG撮影機はトモシンセシスという新しい機能(3D)を持ち、鑑別能力がより高く、乳腺専門の放射線科読影医師との読影で2重チェックを施行しています。 その他にCTやMRI、PET検査装置も適時駆使し診断ならびに手術後の経過観察などに利用し、より正確な診断に役立てています。

腫瘤を形成しない乳がんがあります。その1つは石灰化で発見される乳がん、もう一つは乳頭からの血性分泌液で発見されるような乳がんです。近年のマンモグラフィー検診で小さな石灰化が指摘されて来院されることがあります。石灰化には良性の石灰化と悪性の石灰化があります。悪性の石灰化には、乳がんが分泌して生成された石灰化(分泌型石灰化)や乳がんの一部が死滅したものが石灰化(壊死型石灰化)し生成されるものなどが存在します。

現在、乳がん検診での石灰化から多くの早期乳がんである非浸潤性乳がんが発見されるようになりました。MMGで石灰化が発見されるとその良悪の鑑別診断を各種の画像診断機器と細い針による細胞採取、太い針による組織採取検査で良悪診断を行っています。乳頭からの異常分泌液を訴えて来院される患者さんに対しては、分泌液の検査、乳管造影、前述の各種検査で良悪の鑑別を施行しています。

その他の検診

超音波検査

乳房に超音波を当てて、体内のしこりをモニター画面に映し出す診断法です。超音波で観察しながら針で組織や細胞を採取することもできます。

細胞診

外来で短時間のうちに行える検査です。当院では局部麻酔を用いています。
穿刺吸引細胞診:注射器でしこりの中の液体や細胞を採取します。
分泌物の細胞診:乳頭以上分泌物中の乳がん細胞の存在の有無を調べます。

組織診

  • デジタルマンモグラフィー(乳房撮影装置)

  • 針生検:特別な針を用いてしこりから組織の一 部を取ります。しこりを手で触れにくいときは 超音波誘導下で観察しながら行います。 外科生検:乳房に直接メスを入れて乳腺の組織 を切除します。多くは局部麻酔で行えます。

がん検診で来られる患者さんに対しては、出来るだけその不安を排除できるように丁寧に診断し説明しています。

乳がんの治療

乳がんの治療には外科療法(局所治療)、薬物療法(全身治療)、放射線療法(局所治療)が柱です。乳がんの性格を手術前に組織検査で調べて治療計画を行います。外科手術には、乳房切除術・乳房温存手術、腋窩リンパ節廊清術・センチネルリンパ節生検などがあり、薬物療法にもホルモン剤・化学薬剤・分子治療薬などありすが、それぞれ標準的な治療法を患者さんと相談して、一番適切だと考えられる治療法を選択・提供しています。

現在、大学の教授以下多くの医局員の応援を直接頂き、大学レベルの治療を行っています。多くの面でチーム医療が必須な診療科の一つであり、チーム全員で「患者さんに寄り添った診療」を心がけています。