腹部大動脈瘤・胸部大動脈瘤|主な治療法|血管外科

腹部大動脈瘤・胸部大動脈瘤とは

腹部や胸部などの大動脈が「瘤(こぶ)」のように拡張した状態を動脈瘤(どうみゃくりゅう)とよびます。主に生活習慣病による動脈硬化が原因で動脈瘤は発症します。

  • 瘤のように拡張した状態<腹部> 腹部動脈瘤
    瘤のように拡張した状態<胸部>胸部動脈瘤

  • Flat panel X線透過装置の血管内治療用手術室を備えております。

    瘤ができる場所により名称はことなりますが、中でも頻度として最も多いのが腹部の大動脈瘤です(左図)。

    通常、正常血管の約1.5倍以上拡張したものが動脈瘤と呼ばれ、腹部であれば3.5~4.0cm以上、胸部であれば約4.5~5.0cm以上で動脈瘤と診断されます。 動脈瘤は、一旦破裂すると約9割の方は救命できない致死率の高い厄介な病気です。 破裂時以外は症状がないことが多く、他の病気の検査を行っている際や健診にて偶然発見されることがほとんどであります。

    腹部の治療適応に関しては、男性で直径5cm、女性で4.5cm、胸部に関しては、男性で直径5.5cm、女性で5.0cmが目安となり、破裂する前に治療を行うことが大事であります。 しかし、瘤の増大スピードや瘤の形・場所により手術適応は前後します。

ステントグラフト内挿術

  • 図1 : 腹部大動脈瘤治療用のステントグラフト
    腹部大動脈瘤治療用のステントグラフト a.COOK社製 Zenith Flex
    b.GORE社製 Excluder
    c.MEDTRONIC社製 Endurant
    d.COSMOTEC社製 Powerlink

    図2 : 胸部大動脈瘤治療用のステントグラフト胸部大動脈瘤治療用のステントグラフトa. COOK社製 TX2,
    b. GORE社製 TAG,
    c. MEDTRONIC社製 Valiant
    d. Bolton Medical 社製 Relay Plus

  • ステントグラフト内挿術(Endovascular Aneurysm Repair : EVAR)

    腹部では2007年4月、胸部では2008年7月に本邦において初めて保険適応となった手術方法であります。 その低侵襲性・安全性にて急速に普及し、大動脈瘤に対する治療は劇的な変化を遂げ、これまで治療が困難であった患者さんの多くが、治療可能となってきております。
    ステントグラフト内挿術は、折りたたんだステントグラフト(人工血管に金属のステントを縫いつけたもの)を用いて治療を行います(図1、2)。

  • 露出した動脈からステントグラフトを瘤まで挿入

  • 両側の足の付け根に約3cmの切開を置き(胸部では片側)露出した動脈からステントグラフトを瘤まで挿入します。

    瘤をまたぐような形でステントグラフトを留置し瘤の破裂を予防する手術方法であります。 この治療法は、傷も小さく体への負担も少ないため手術後、約4~6日で退院可能です。

  • 腹部大動脈瘤図1 : 腹部大動脈瘤治療用のステントグラフト
  • 胸部大動脈瘤 図2 : 胸部大動脈瘤治療用のステントグラフト

特殊治療:枝付きステントグラフト

対象疾患

  • 腎動脈や上腸間膜動脈を巻き込む形で瘤を形成する、傍腎動脈型腹部大動脈瘤や胸腹部大動脈瘤
  • 頭部への血管を書き込む形で瘤を形成する弓部大動脈瘤

通常のステントグラフトに枝を付けることで、重要血管への血流を確保しながら瘤を空置します。特殊な治療でありますが、従来の外科的手術が困難な患者さんに対して積極的に治療を行っております。

人工血管置換術

人工血管置換術は、従来より行われていた術式であります。
腹部、もしくは胸部に切開を加え、瘤を直接露出した人工血管に置き換える手術方法です。

人工血管置換術

以前はほぼ全例この術式で治療が行われていました。 手術による侵襲度がやや高いため、高齢の患者さんや、腹部・胸部の手術歴があるため、心疾患、呼吸器疾患等の併存疾患にてリスクが高い等の理由で、手術が困難であった方も多数いらっしゃいました。 しかし長期成績が確立している術式であり、全身状態が良好な患者さんは今でも第一選択となります。

※当院では、外科的治療、血管内治療それぞれに対応できる設備、環境が整っております。 患者さんそれぞれの瘤や合併症等の全身状態を総合的に判断し、治療を検討していきたいと考えおります。