2020年4月号

認知症の方との関り方~みんなが安心して暮らすために~

作業療法士 熊倉 大輔

はじめに・・・

  • 認知症の方との関り方
  • 近年、高齢化率が増々進んでいる日本において、同じように認知症も急増しているといわれています。厚生労働省の研究データでは、2025年度の65歳以上の高齢者のうち認知症の有病率が約20%の割合で生じると推測されています。また、最近では若いうちからみられる認知症【若年性認知症】も注目されつつあります。今回は、身近になりつつある認知症について改めて理解を深めていただきながら、何に気を付けて接すればいいのか紹介させていただければと思います。

認知症とは・・・

加齢に伴う単なる「もの忘れ」とは違い、後天的な脳の要因により正常に発達していた知的機能が低下し日常生活に支障をきたす状態を指します。そのため病状の経過により様々な対応が必要とされます。

症状は、大きく2つに分類することができ【中核症状】【周辺症状】というものがあります。

まず【中核症状】とは、脳の病気や障害によって引き起こされる根本的な症状を指します。主に認める症状としては、記憶障害や判断力の低下、見当識障害(日時や場所・人がわからなくなること)、失語(言葉に関する話す・聞く・読む・書くといった能力の障害)、失認(視覚・聴覚・触覚の障害はないのにも関わらずそれらの感覚情報をうまく理解できないこと)、失行(運動機能には問題ないのにある目的に対して身体をうまく動かす行動ができなくなること)などがあります。

次に【周辺症状】とは、【中核症状】によって生じる二次的な症状です。主な症状としては妄想、幻覚、徘徊、暴言・暴力などがあり、これには大きく個人差が生じるとされています。また、【周辺症状】は患者様ご自身やご家族の悩み・負担の原因となる場合が多くみられます。

何に気をつければいいのか?

日頃から認知症への予防として、頭を使うことや体を動かすことは大切です。仮に発症してしまった場合、現在の医学では根本的な治療はありません。そのため発症後の関わり方も大変重要視されております。今回いくつか関わり方のポイントを紹介させていただければと思います。


  1. 会話はゆっくり、話題は直接関係のあるものに!

    知能の低下から、言葉を理解するのに時間がかかったり、会話の内容を理解するのが難しくなってしまったりする場合があります。そのため、会話の内容が早く複雑なものになってしまうと情報処理が追い付かず、混乱やストレスに繋がってしまいます。仮に会話の後に沈黙があっても、それは考えを整理していたり、内容がわからず困っている場合があるので、言い方を変えてみたり、本人が話すのを落ち着いてゆっくり待ってみましょう。
  2. ご本人が安心できる落ち着いた生活環境を作りましょう!

    周りがうるさい環境や、急いで何かを行うような場面では、注意が分散してしまい混乱してしまいます。そのため、静かな環境で本人のペースで作業を行なっていただくことは大変重要なことです。また、そのような環境での趣味活動や体を動かすことはリフレッシュの時間となり、穏やかに生活を過ごしていただく助けになります。
  3. できるだけ静止せずに、時には冷静になるまで見守ることも大切!

    時折急に何かを始めることや落ち着かなくなってしまう場合があると思います。しかし、認知症の方にとっては目的のある行動である場合があります。見極めるのは難しいですが、無理に静止してしまうと認知症の方にとっての目的ある行動を「無理やりやめさせられた」と思いこみストレスの原因になってしまう場合があります。危険な行動でない場合には、本人が落ち着くまで少し見守ってみることも大切です。

他にもいくつか注意点や関り方で配慮すべき点はありますが、認知症の種類は様々であり、それに応じて対応が変わる場合があります。そのため、どう接すればよいのかわからない点も多くあると思います。何かお困りのことがございましたら、是非、主治医やリハビリテーション科にご相談ください。