2019年10月号

冬にも起きる脱水症

リハビリテーション科 理学療法士 松本 恭徳

暑い季節が過ぎ、寒暖の差が強くなっていく季節となりました。皆さん体調はいかがですか?今回は脱水症について簡単に書かせて頂きます。

脱水症が起こるピークとは

  • 脱水症が起こるピークとは
  • 脱水症や熱中症は「暑い季節に起こる」というイメージが強いのですが、四季で気候が大きく変化する日本では年2回のピークがあります。
    第一のピークは春から夏にかけて。暑くなって湿度が上がり、発汗で体液が失われて脱水症が起こります。湿度が高いとかいた汗が蒸発しにくくなり、体温が十分に下がらないため、熱中症が起こります。熱中症を伴う重たい脱水症は、梅雨のおわりにかけて増えてくる傾向があります。
    第二のピークは秋から冬にかけて。寒く乾燥してくると風邪、インフルエンザ、ノロウイルスなどが流行。これらの感染症から来る発熱、下痢、嘔吐などで体液が失われると脱水症になりやすいのです。
    いずれのピークでも「かくれ脱水」を早期に見つけ、脱水症を起こさないことが大切です。

脱水症とは

脱水症とは

カラダにとって不可欠な体液が不足した状態を「脱水症」と言います。よく誤解されるのですが、脱水症とは単なる水の不足ではありません。
脱水症は体液が失われた状態ですから「カラダから水分が失われるだけではなく、電解質も同時に失われた状態」のことです。

脱水症が「どの程度ひどい状態なのか」という重症度は、通常は体重の減少率を目安にします。体重減少が1~2%に留まっている場合は、脱水症ではないか、軽度の脱水症です。見た目にはわからない脱水症で、のどが渇いたり尿量が少なくなったりします(いわゆる「かくれ脱水」のことです)。

体重減少が3~9%であれば、中等度の脱水症。中等度以上の脱水症になると、けんたい感、頭痛、嘔吐、めまいなどが起こり、痰を出すのが困難になったり、血圧や臓器の血流低下といった症状が出てきたりします。10%以上になると高度の脱水症で重篤な症状を示します。

脱水症対策の基本は早期発見、早期治療。子どもや高齢者では脱水症を起こしやすいので、脱水症の診断が遅れがちになる恐れがあります。
保護者や介護者などのまわりの人びとは、子どもと高齢者はつねに脱水症を起こしやすいと心得えておくことが大切。日頃から全身をよく観察し、些細な変化を早期に見つけましょう。
日頃からの水分摂取と規則正しい生活で健康維持に努めましょう。