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2018年12月号

生活リハビリで一石二鳥

リハビリテーション科 作業療法士 中松 めぐみ

生活自体をリハビリととらえ、無意識に体を動かして、かつ筋力維持ができるのであれば一石二鳥ではありませんか。今回はこの生活リハビリについてお話したいと思います。

「リハビリでは体が動かせていたのに、家に帰ってみたら出来ない・・・」

生活リハビリで一石二鳥

退院された方やそのご家族から、「リハビリの場面ではできるのに、リハビリ以外の時間(自宅に帰ってから・病棟生活)は動くのが億劫、出来ない」ということを耳にします。
これはリハビリ職として働いている私たちの課題でもあります。「リハビリ場面ではできている能力を、どのようにして実際に自宅・病棟で発揮していただけるのか」「できる日常生活動作能力=一人でしている日常生活動作にするためにはどうしたら良いか」を日々考えながら業務にあたっています。

運動習慣がない方、基本的に自宅で過ごすことが多いという方は、「明日から生活習慣を変えて一日何回運動をしてください」と言われても、頭ではわかってはいるものの急に習慣を変えることは難しいものです。そんな方はぜひいつもの日常生活自体をリハビリとして取り入れてみてください。

生活リハビリって?

トイレや着替え、入浴、食事等の日常生活動作そのものをリハビリとしてとらえ、自立した生活を支援するという考え方です。そのためには、生活場面で適切な介助を行うことで能力の維持向上を図ることが重要です。

献身的なご家族に多いのですが、入院中の患者さんの手となり足となり動き回ってくださる方がいらっしゃいます。患者さんが実際にできる能力としている能力を把握せず、すべて介助してしまうとご本人の能力を生かすことができず、結果的に体を動かす機会が減っていきます。

工夫できる点

食事:箸を自助具へ変更、すくい易い食器の使用、座りやすい椅子・姿勢調整の工夫
着替え:着脱しやすい服の選択(前開き服)、着脱方法の工夫
トイレ:ポータブルトイレの使用・手すり設置
入浴:バスマット変更、シャワーチェア使用 等

生活リハビリって?

上記のような工夫をすることで自宅では動きやすくなる可能性が高まり、患者さんが実際にできる能力をより発揮しやすくなるかもしれません。

【ポイント】

①その人の能力を生かす
②適切な介助量
この2つです。

なるべく自分で行えるよう環境調整・福祉用具選定・介助量を調整します。過介助にならないよう生活リハビリは生活環境を整え、日常生活をできる限り自分で行うことがポイントです。

このように、一つ一つの生活動作を工夫し体を動かしやすくすることで、生活にリハビリを取り入れやすくなります。もちろん、介助が必要な時は無理せず周囲の方の手助けを求めてください。介助者・ご本人がお互いに理解しあい、支え合いながら生活することで、退院後の生活は安心して快適に過ごしていくことができます。

今一度、自宅を見回してみてください。リハビリで動けるようになった状態を自宅でも維持できるよう、生活リハビリから始めてみませんか。

“生活自体をリハビリと捉えて今より少し楽な生活を”