掲載日:2026-10-01

しんゆりニュースレター100号

100号記念特集|広報紙

広報紙「しんゆりニュースレター」100号に寄せて

院長 笹沼 仁一

地域医療への貢献を目的に開院

笹沼仁一院長

新百合ヶ丘総合病院は、南東北グループにおける新しい首都圏の拠点として2012年8月1日に開院し、救急・産科・小児科などの“地域医療”と同時に、“高度先端医療”を実践することにより、地域住民の方々の日常生活における“最良の安心”に繋がることを病院の目標としてきました。そして2026年8月1日に、14周年を迎えることができました。

当院が開院した大きな目的の一つは、地域の救急医療に貢献することです。川崎北部医療圏(高津区、宮前区、多摩区、麻生区)は、その当時の人口が82万人を超えていましたが、人口10万人当たりの救急告示病院数が神奈川県全体および全国の数値を下回り、二次救急の医療圏内完結率は50%弱で救急患者さんは川崎南部医療圏や横浜医療圏に流出していました。この状況を少しでも改善するために、開院当初から24時間365日対応の救急センターを設置し、できるだけ多くの救急患者さんを受け入れるために重症度に関わらず対応するER型診療を行ってきました。

病院機能が向上し、2024年には救急車搬送受入れも最高記録を更新

救急車搬送受入れ台数の推移(2023年約7,300台→2024年約9,000台)

この間、2012年12月救急告示病院認定、2013年9月臨床研修病院(協力型)指定、2014年3月神奈川県災害協力病院指定、2015年6月日本医療機能評価認定、2016年3月神奈川県がん診療連携指定病院指定、2016年11月基幹型臨床研修病院指定、2018年3月地域医療支援病院指定、2023年3月には厚生労働省から地域がん診療連携拠点病院に指定を受けるなどさまざまな病院機能の向上に努めてきました。

2026年4月現在、常勤医師約240名、看護師約630名、職員数約1,400名の診療体制のもと、2023年の約7,300台の救急車搬送受入れから約9,000台と開院以降の最高記録を更新した2024年同様、2025年も病院機能フル稼働の1年間となりました。

2026年4月、医師の働き方改革後の救急実績により、救命救急センターに指定

川崎市麻生区を含む川崎北部地域は、全国の中でも平均寿命が長く、2025年以降も高齢者人口が増加し、2040年までの間県内で最も救急医療需要の増加が見込まれる地域でもあるため、高齢者救急を含め二次救急、三次救急と軽症者から重症者まで対応できる救急医療の充実を図ることが求められる地域であります。

2024年4月の医師の働き方改革開始後においても、新百合ヶ丘総合病院は、夜間・休日の診療体制が職員の増員に伴い以前より手厚くなり、また上記のような救急車搬送受入れ実績を残すことができたため、川崎北部地域における救急医療の拠点的役割が評価され、2026年4月1日付で、神奈川県内で22番目、川崎市内では4番目の救命救急センターに指定されました。

地域の方々へ感謝し、今後も川崎北部地域の急性期拠点病院としての役割を果たす

新百合ヶ丘総合病院がこのような役割を果たすことができたのも、職員一人ひとりが十分にその病院機能の重要性を理解して協力し合い、同時に地域の方々が支援してくださったお陰であると感謝しております。

新型コロナウイルス感染症は落ち着いたものの、急性期病院の経営環境は依然として厳しい状況にありますが、普遍的な病院の役割を職員一同理解し、これからも地域医療、高度先端医療を実践しながら、災害や感染症など緊急事態が起きた時にも地域の医療を守り、川崎北部地域における急性期拠点病院としての役割を果たせるよう努めていきます。

当院スタッフ一人ひとりが思いやりの気持ちを持って連帯協力し、病気で困った時に信頼される病院となり、また地域の方々の日常生活における“最良の安心”となることを目標に、常に診療機能の向上を目指していきます。

新百合ヶ丘総合病院が導入している先端医療機器

【目次】

トゥルービーム・ハイパーアーク

トゥルービーム・ハイパーアーク

当院では2026年4月以降、従来のリニアックに最新の定位放射線治療システム「HyperArc(ハイパーアーク)」を追加し、定位放射線治療を行っております。「HyperArc」とは、高精度放射線治療機「TrueBeam(トゥルービーム)」で動作する、脳腫瘍(脳転移など)の治療に特化したプログラムです。

頭(頸)部専用の定位放射線治療システムであり、複数個の転移性腫瘍に対して“同時に”定位放射線治療を行うことができ、高精度かつ短時間での治療が可能となり、患者さんの身体的負担の軽減や治療の質向上が期待できます。

トゥルービームは、リニアックの中でも最新の機器であり、全身のどの部位に対しても、がんの種類やステージに合わせて柔軟な治療が可能な放射線治療です。リニアックによる放射線治療は、治療台の上に数分間安静に寝ているだけで、放射線が当たっている間、体に苦痛を感じることはありません。がんの種類やステージに合わせて、一人ひとりの目的に合わせた柔軟な対応ができることがリニアックによる放射線治療の最大の特徴です。

半導体PET-CT

半導体PET-CT

当院ではGEヘルスケア社製の半導体PET装置「Omni Legend 21」を導入し、2025年5月より稼働しております。

「Omni Legend 21」は、従来機と比較して検出感度および画質が大幅に向上しており、微細な病変もより鮮明に描出することが可能です。これにより、がんの早期発見や治療効果の正確な評価に大きく貢献します。さらに、高感度化により撮像時間の短縮を実現しました。従来機では20~25分程度を要していた撮像時間が約15分となり、患者さんの身体的負担の軽減にもつながっています。

PET-CT検査では、がん細胞が正常細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込む、という性質を利用します。検査は、まず検査薬(おもにブドウ糖と結合させた18F-FDG)を静脈から注射します。体内のブドウ糖を過剰に摂取する細胞(代表的なものはがん細胞)をPET-CTの「カメラ」でスキャンすると、ブドウ糖を過剰に摂取する細胞自身が光って見えます。PET検査はこのように細胞の性質を利用してがんを探し出します。

アンギオ(血管造影)装置・IVR-CT

アンギオ(血管造影)装置・IVR-CT

アンギオとは、血管の形状や異常、腫瘍への血管や血流の状態を検査・治療する機器です。カテーテルを使って血管内に造影剤を注入し、血流や腫瘍の分布、血管の狭窄や閉塞を検査・治療します。

IVR-CTは、CTによる画像診断から、血管撮影装置を用いた血管内治療までを同一の撮影室内で一貫して行うことができる先進的な医療システムです。これにより、CT室から血管撮影室への患者搬送が不要となり、診断から治療への移行をより迅速かつ円滑に行うことが可能となりました。

低侵襲手術支援ロボット ダヴィンチ

低侵襲手術支援ロボット ダヴィンチ低侵襲手術支援ロボット ダヴィンチ(術者用コンソール)

ダヴィンチは、低侵襲技術を用いて複雑な手術を可能とするために開発されました。高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像のもと、人間の手の動きを正確に再現する装置です。術者は鮮明な画像を見ながら、人の手首よりはるかに大きく曲がって回転する手首を備えた器具(鉗子)を使用し、精緻な手術を行うことができます。

低侵襲ロボット支援手術(ダヴィンチ手術)はいくつかの小さな切開部を作り、外科医の操作に従って内視鏡・メス・鉗子を動かして行う内視鏡手術です。鉗子を入れる傷がとても小さいので、出血が少なく、患者さんの体にやさしい手術です。術後の回復が早いというメリットもあります。

主に前立腺摘出、胃・食道切除、子宮摘出・子宮筋腫核出、肺葉切除などに使用されます。

3.0T(テスラ)MRI

3.0T(テスラ)MRI

MRIとは磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)のことです。T(テスラ)は磁場の強さを表す単位です。

非常に強力な磁力線と電波を利用し、全身の微細な病変の時間短縮撮影、または高画質化を実現します。高解像度画像により、より小さな異変にも気づきやすくなり、早期発見・早期治療に貢献しています。また、造影剤を使用することなく、1.5T MRIと比較して、より末梢の血管の撮像ができるようになったことで、検査中の身体への負担を軽減することができます。

今までのMRI装置と比べて、検査空間が70cmと広い開口径なので、閉塞感も軽減されます。
また、新たにAirs Medical社Swift MR(ソフト)を導入し、さらなる撮像時間の短縮、画質向上が実現しました。