広報紙 vol.93しんゆりニュースレター

掲載日:2026-3-3

リプロダクションセンター特集

リプロダクションセンター特集|広報紙

一人ひとりに寄り添う効率的で質の高い不妊治療

  • 新百合ヶ丘総合病院
    産婦人科 医長
    はら しゅういちろう
    周一郎 医師
  • 【プロフィール】
    2003年山形大学医学部医学科卒業。その後山形大学医学部附属病院および関連施設での勤務。2011年多嚢胞性卵巣症候群に関する研究で医学博士。2011年より山形大学医学部産婦人科助教。2016年より現職。
    日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医/日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医/日本産科婦人科内視鏡学会認定腹腔鏡技術認定医/日本内視鏡外科学会技術認定医(産科婦人科)/医学博士
  • 晩婚化、晩産化が進み、少子化に歯止めがかからない社会状況のなか、不妊治療を選択する人は決して珍しくなくなりました。最近の報告では、実に約4組に1組が不妊に関する検査や治療を受けているといわれています。

    不妊治療は一般不妊治療(タイミング法/人工授精)と生殖補助医療(体外受精/顕微授精/胚移植)に大きく分けられます。後者の生殖補助医療件数は全国的にも右肩上がりで、日本全国で50万周期以上の治療が行われています。生殖補助医療は特別なものではなくなり、2022年には日本で生まれた子供の約10人に1人が生殖補助医療によって誕生しています。

    当院でも2012年の開院当初から一般不妊治療はもちろん、生殖補助医療にも力を入れており、現在までに約5,500件以上の体外受精と4,500件以上の胚移植を行ってきました。2022年からは不妊治療が保険適用になり、さらに治療が受けやすい状況になっています。当院は厳格に品質管理された胚培養室を運営しており、臨床成績も全国レベルの高い妊娠率となっております。

  • 当院リプロダクションセンターは、不妊治療の2本柱である内視鏡手術(腹腔鏡/子宮鏡/卵管鏡)と生殖補助医療の両方を、数多くの内視鏡技術認定医および生殖補助医療専門医のもとで行える、日本でも数少ない生殖医療専門施設となっております。子宮筋腫や卵巣腫瘍、子宮内膜ポリープなど、不妊原因になりやすい疾患をお持ちの患者さんも多くいらっしゃいますので、外科的介入が必要となれば迅速に対応することができます。細径子宮鏡を用いた外来手術にも対応しております。また複数の周産期専門医、超音波専門医が在籍しており、妊娠に至った患者さんをそのまま出産まで管理できるのも当院の強みであります。

    不妊治療の原因は多種多様であり、治療方針も患者さんの限られた時間を無駄にせず効率よく治療を行うことを第一とし、各治療の成功率や費用などを総合的にお話しして、それぞれの患者さんにとって最適な治療方針を決定しております。また不妊治療に関するセミナーを通じて情報発信も行っておりますので、お気軽にご参加いただければ幸いです。

【目次】

不妊治療の種類

タイミング法

  • タイミング法イメージ
  • 超音波検査や排卵日検査薬などで排卵日を予測します。排卵日およびその前2~3日は妊娠率が高くなっていますので、その時期に合わせて性交渉を行うことで妊娠の確率を高める方法です。不妊治療の最初のステップとして行われることが多いです。

人工授精(AIH)

  • 人工授精(AIH)の累積妊娠率
  • タイミング法と同じく、超音波検査で排卵日を予測します。提出いただいた精液を洗浄・濃縮し、運動率の高い精子を直接子宮内に注入する方法です。人工授精で妊娠する方の多くは4~5回目までに成立しますので、それ以降は体外受精へのステップアップをおすすめします。

体外受精(生殖補助医療)

排卵直前の卵子を体外に取り出し、顕微鏡下で精子と受精させます。受精した胚(受精卵)は専用の装置内で数日間培養します。状態のよい胚を選択し、腟から子宮内に戻す治療になります。

  • 顕微鏡で見た卵子
  • 専用の装置

生殖補助医療(ART)について

生殖補助医療(ART)とは、卵子と精子を体外で受精させ(体外受精や顕微授精)、得られた受精卵(胚)を体外で培養したのちに子宮内に移植(胚移植)するといった、近年進歩した新たな不妊治療技術の総称です。

体外受精(IVF、媒精)

  • 体外受精
    体外受精
  • 採卵により卵子を体外に取り出し、精子と共存(媒精)させて受精させる方法です。容器内の卵子に精子を直接振りかけて受精させます。

顕微授精(卵細胞質内精子注入法;ICSI)

  • 顕微授精
    顕微授精
  • 顕微鏡下で針を用いて卵子の中に精子を1匹人工的に入れて受精させる方法です。運動精子数が少ない場合、媒精では受精しにくい場合などが適応になります。

胚凍結、凍結融解胚移植(FET)

  • 胚凍結
    胚凍結
  • 体外受精や顕微授精を行い得られた胚を、液体窒素で急速冷凍し保存することを胚凍結といいます。そして凍結した胚を融解して子宮内に戻すことを融解胚移植といいます。

リプロダクションセンターでの体外受精件数

当リプロダクションセンターでは開院以来2025年までに、約5,700件の採卵、約4,700件の胚移植を行っています。
胚培養室の技術と環境は非常に高い水準にあり、その支えによって受精率や妊娠率は全国レベルの安定した水準を保っています。

体外受精件数

リプロダクションセンターで行っている先進的な治療

当センターでは、できるだけ早期に妊娠へとつながるよう、多様な治療の選択肢を整え、患者さんお一人おひとりの状況に応じた最適な治療法を選択しています。その結果、妊娠率は高い水準を保っていますが、一方で、すべての方が順調に結果へ至るわけではなく、残念ながら治療が不成功に終わってしまう症例も少なくありません。特に、複数回の治療を重ねても妊娠に至らない反復治療不成功のケースでは、身体的・精神的な負担も大きくなります。

そうした方々に対し、当センターでは先進医療や当院独自の技術を取り入れ、次の可能性を模索しています。お一人でも多くの方が、一日でも早く妊娠という目標に近づけるよう、日々努力を重ねています。

当センターで行っている先進医療

体外受精セミナー

不妊治療・体外受精に関心を持たれている方々を対象に、対面でのセミナーを開催しております。これから不妊治療をはじめる方にも分かりやすい内容になっています。これまで多くのご夫婦にご参加いただき、「治療への理解が深まった」「安心して相談できた」といった声が寄せられ、毎回好評をいただいております。ぜひお気軽にご参加ください。

セミナー開催日程

日時
毎月第4土曜日 15:00~ 1時間程度
 (変更の場合がありますので当院ホームページでご確認ください)
会場
新百合ヶ丘総合病院 3階 研修室
講師
新百合ヶ丘総合病院 産婦人科医師(生殖医療専門医)
内容
妊娠の仕組み、不妊治療の基礎知識、体外受精の実際、など
参加費
無料(お茶菓子付き) ※要予約・先着20組となります

リプロダクションセンター 医師紹介

リプロダクションセンター

①卒業大学 ②専門分野/得意な領域 ③専門医・指導医・資格等
  1. 浅田 弘法 (低侵襲婦人科手術センター長/産婦人科統括部長)
    ①慶應義塾大学医学部 ③日本産科婦人科学会認定医/日本産科婦人科内視鏡学会認定腹腔鏡技術認定医/日本生殖医学会生殖医療専門医/日本産科婦人科学会産婦人科指導医
  2. 田島 博人 (産婦人科部長/リプロダクションセンター部長)
    ①慶應義塾大学医学部 ②生殖医学・内視鏡下手術・遺伝医学  ③日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医/日本生殖医学会生殖医療専門医/日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医/日本産科婦人科内視鏡学会認定腹腔鏡技術認定医/日本産科婦人科内視鏡学会認定子宮鏡技術認定医/医学博士
  3. 原 周一郎 (産婦人科医長)
    ①山形大学医学部 ②生殖、内分泌  ③日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医/日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医/日本産科婦人科内視鏡学会認定腹腔鏡技術認定医/日本内視鏡外科学会技術認定医(産科婦人科)/医学博士
  4. 佐藤 美和 (産婦人科医長)
    ①杏林大学医学部 ②産婦人科一般、不妊治療、内視鏡手術  ③日本専門医機構認定産婦人科専門医/日本生殖医学会生殖医療専門医/日本産科婦人科内視鏡学会認定子宮鏡技術認定医/日本子宮鏡研究会オフィス子宮鏡手術認定医
  5. 佐々木 恵子 (産婦人科医長)
    ①長崎大学医学部 ②産婦人科全般  ③日本産科婦人科学会産婦人科専門医/日本生殖医学会生殖医療専門医/日本産科婦人科内視鏡学会認定腹腔鏡技術認定医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  6. 安藤 まり (産婦人科医長)
    ②産婦人科全般 ②産婦人科全般  ③日本産科婦人科学会産婦人科専門医/日本生殖医学会生殖医療専門医/日本産科婦人科内視鏡学会認定腹腔鏡技術認定医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  7. 山口 摩佑子 (産婦人科医長)
    ②産婦人科全般 ②産婦人科全般  ③日本産科婦人科学会産婦人科専門医/日本産科婦人科内視鏡学会認定技術認定医/医学博士
  8. 別宮 若菜 (産婦人科医長)
    ①日本大学医学部 ②産婦人科全般  ③日本産科婦人科学会産婦人科専門医/日本産科婦人科内視鏡学会認定腹腔鏡技術認定医/日本産科婦人科内視鏡学会認定子宮鏡技術認定医
  9. 菊地 まほみ (産婦人科医長)
    ①東京女子医科大学医学部 ②産婦人科全般  ③日本産科婦人科学会産婦人科専門医/日本内視鏡外科学会技術認定医(産科婦人科)/日本産科婦人科内視鏡学会認定技術認定医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  10. 冨倉 彩加 (産婦人科医員)
    ①産業医科大学医学部 ②産婦人科全般