広報紙 vol.31しんゆりニュースレター

ダビンチ(da Vinci)によるロボット手術800件達成
低侵襲で安全な手術を目指す

新百合ヶ丘総合病院
腎・泌尿器ロボット手術センター長
泌尿器科 部長
いせき りょう
伊関 医師
【プロフィール】
東京医科大学卒業 。東京医科大学泌尿器科。2012年8月より現職。

日本泌尿器科学会専門医・指導医/日本泌尿器科学会泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医/ダビンチ手術認定見学施設認定医/日本ロボット外科学会 Robo Doc 国内A認定医(第1号)/日本がん治療認定医機構がん治療認定医/日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医/日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)

ダビンチ(da Vinci)による
ロボット手術800件達成
低侵襲で安全な手術を目指す

新百合ヶ丘総合病院
腎・泌尿器ロボット手術センター長
泌尿器科 部長
いせき りょう
伊関 医師
【プロフィール】
東京医科大学卒業 。東京医科大学泌尿器科。2012年8月より現職。

日本泌尿器科学会専門医・指導医/日本泌尿器科学会泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医/ダビンチ手術認定見学施設認定医/日本ロボット外科学会 Robo Doc 国内A認定医(第1号)/日本がん治療認定医機構がん治療認定医/日本泌尿器内視鏡学会泌尿器腹腔鏡技術認定医/日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)
  • 低侵襲な内視鏡手術支援ロボット「ダビンチ(da Vinci)」を用いたロボット手術は、アメリカで2000年からはじまり、日本では2006年に導入されました。現在では300を超える「ダビンチ」が全国の病院に導入され、一般的な手術になってきました。当院でも2012年8月の開院時よりロボット手術を導入し、現在までに800例を超えるロボット手術を行ってきました。また、それと同時に他病院へ赴き、ロボット手術の導入・普及に努めてまいりました。当初は前立腺がんだけでしたが、2018年からは腎臓がん、2019年からは膀胱がんに対してもロボット手術を行っております。

    ロボット手術を行うに当たっては、手術に必要な解剖を理解することはもちろんですが、ダビンチの特長を最大限に引き出すための技術の習得が必要になってきます。「ダビンチ」は3Dモニターを見ながら手元を操作しますので、テレビゲームやパソコンが日ごろから傍にあった若い世代の先生のほうが技術の習得は早いかもしれません。

  • ただ、技術の習得や上達は練習あってこそなので、日々の練習は欠かさないようにしております。

    ロボット手術のメリットは、非常に繊細で緻密な手術操作が可能なことです。人の手より可動域の大きい鉗子を遠隔操作できるので、骨盤の中など狭い空間での手術に「ダビンチ」は向いています。また、鉗子の太さも細いため鉗子を入れる傷がとても小さく、出血も少ないため患者さんの身体への負担も少なく、術後の回復が早いのも特徴です。入院期間も10日程度と短いため、退院した翌日から手術前と同等の生活を送ることが可能です。

    当科では、より侵襲が低く安全性の高い手術を目指して日々研鑽に励んでおります。また、思いやりをもって患者さんに接することを心がけております。なるべく専門用語は使わずにわかりやすい言葉で、すべての情報を患者さんに提供します。セカンドオピニオンも広く受け付けておりますので、お悩みごとがございましたら、是非ご相談ください。

泌尿器科のがんと治療

受診の際は、必ずご予約をお取りの上、ご来院ください。
【予約電話番号:0800-800-6456(9:00~17:00)】 ※月~土(日・祝日除く)

≪膀胱がん≫

60歳以上になると増加する傾向があり、女性よりも約3倍以上男性に多い疾患です。最初の症状として一番多く見られるのは血尿です。排尿時に痛みを感じたり、下腹部に痛みが起こることもあります。

膀胱がん

◆手術(外科的治療)

TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)・・・専用の内視鏡を用いてがんを電気メスで切除する方法です。
膀胱全摘除術+尿路変向術・・・尿管切断のあと膀胱を摘出し、男性は前立腺と精嚢も摘出します。女性は子宮と腟壁の一部、尿道を摘出します。骨盤内のリンパ節切除を併せて行います。当院では多くの場合、ダビンチによるロボット支援手術を施行します(開腹手術、腹腔鏡下手術の場合もあります)。尿を体外に排出するための手術は、回腸導管(小腸の一部と尿管をつなぎ、腹部の皮膚に縫いつけて尿を排出する出口“ストーマ”とする)が最も多く実施されていますが、尿管皮膚瘻(尿管断端をそのまま腹部皮膚面に出しストーマとする)や自排尿型新膀胱(小腸または大腸を縫い合わせて尿をためる袋「新膀胱」をつくり、尿道につなぐもの)なども行われています。

◆化学療法

通常、多臓器への転移のある症例は、膀胱全摘除術の適応外となるため、抗がん剤による化学療法が治療の中心となります。

≪前立腺がん≫

前立腺肥大症とともに、中高年の男性が注意すべき前立腺の病気のひとつです。初期には自覚症状がほとんどありません。しかしゆっくりと進行するため、早期に発見して適切な治療を行えば治りやすいとされるがんです。

◆待機療法(PSA監視療法)

PSAとは前立腺特異抗原のことで、基準値以上の場合は前立腺がんの疑いがあります。特に治療を行わなくても余命に影響がないと判断される場合、PSA値を定期的に測定してがんを監視していきます。

◆局所的治療

手術(前立腺全摘出術)・・・がんが前立腺の中にとどまっていて、10年以上の余命が期待できる場合には、最も治療効果が期待できます。がんを完全に取り去り、治癒することを目的とします。前立腺、精嚢を摘出し、尿道と膀胱を縫ってつなぎます。当院では多くの場合、ダビンチによるロボット支援手術を行っています(開腹手術の場合もあります)。
放射線治療・・・転移のない前立腺がんに対して、治癒を目的として放射線治療を行うことがあります。放射線治療には、体の外から放射線を当てる「外照射法」と、放射性物質を体の中に埋め込む「内照射法(小線源治療)」があります。

◆全身的治療

内分泌療法(ホルモン療法)・・・主に転移のある前立腺がんに対して行われます。転移したがん細胞にも効力が期待できます。また、手術療法や放射線治療の前あるいは後に、短期間の内分泌療法が併用されることもあります。
抗がん剤治療(化学療法)・・・内分泌療法が効力を持たない、または内分泌療法の効果がなくなったときに、抗がん剤治療(化学療法)が行われます。

低侵襲手術支援ロボット ダビンチ(daVinci)

ダビンチは、低侵襲技術を用いて複雑な手術を可能とするために開発されました。高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像のもと、人間の手の動きを正確に再現する装置です。術者は鮮明な画像を見ながら、人の手首よりはるかに大きく曲がって回転する手首を備えた鉗子を使用し、精緻な手術を行うことができます。

  • 膀胱がん
  • 膀胱がん

看護部コラム

緩和ケアについて

緩和ケア認定看護師 榎本 史子


緩和ケアについて

■緩和ケアのはじまり

中世ヨーロッパには、旅の巡礼者を宿泊させる小さな教会がありました。巡礼者が病気などで再び旅立つことができなくなったとき、ケアや看病をしたことから、看護収容施設全般を「ホスピス」と呼ぶようになったといわれています。この教会で、巡礼者たちの看護をする聖職者の無私の献身と歓待を「ホスピタリティ(hospitality)」と呼び、ここから病院を指す「ホスピタル(hospital)」という言葉ができました。

ホスピス病棟は、1967年、シシリー・ソンダース医師がセント・クリストファー病院に設立したのがはじまりです。そこで終末期の患者およびその家族の苦悩や痛みに寄り添いました。ソンダースが設立したセント・クリストファー・ホスピスは、ホスピスの世界的な広がりの先駆けとなりました。日本では、淀川キリスト教病院(大阪府大阪市)が1974年に最初のホスピス病棟を開設しました。

■緩和ケアとホスピスケアの違い

「緩和ケア」と「ホスピスケア」には何か違いがあるのでしょうか? 結論からいうと、緩和ケアとホスピスケアに大きな違いはないとされています。ホスピスケアが終末期のがん患者に看護の手を差し伸べるという大きな捉え方であるのに対し、緩和ケアは「がんの進行度は関係なく」患者が受ける苦痛を和らげることに焦点を当てた治療です。「緩和ケア」は、余命に関係なく提供されるものです。

日本においては「ホスピス」という言葉が多く使われていますが、「ホスピス」は"死ぬ場所"というイメージがあるため「緩和ケア」という表現が使われるようになってきています。

■新百合ヶ丘総合病院の緩和ケア

新百合ヶ丘総合病院には、外来では緩和ケア外来・入院中は緩和ケアチームが、がんなどで痛みや苦しみをやわらげ生活の質(QOL)を高め、患者さんやご家族をサポートすることを中心に行う緩和医療を、主治医と共に提供しています。

春には緩和ケア病棟がオープンする予定です。通院や在宅での疼痛緩和が難しい場合には、緩和ケア病棟に入院して専門的な緩和ケアを受けることができます。

緩和ケアについて
緩和ケアについて

★シシリー・ソンダース(1918~2005)
イギリス人。近代ホスピスの母。セント・クリストファー・ホスピス(St Christopher's Hospice)の創設者。初めは看護師であったが、腰痛のため一時医療ソーシャルワーカーとなり、39歳で医師となった。

心不全教室

毎月一回、開催しています。興味のある方は、ぜひご参加ください。

心不全教室
日時
基本、毎月第1木曜日 2月6日(木)/3月5日(木)
11:30~12:30
会場
新百合ヶ丘総合病院3階 研修室
講師
医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、など
内容
心不全に関する、幅広い話題
参加
無料(予約不要)
詳細
※詳細は当院ホームページ(循環器内科)をご覧ください

~ 岩宮 賢(循環器内科医師)からのメッセージ ~

心不全とは、さまざまな心臓病が原因となり、息切れ・むくみ・だるさを感じるようになる状態です。心不全は、いうなれば心臓が疲れている状態であり、心臓にできるだけ負担をかけないようにしなければなりません。心不全の治療は薬物療法が基本となりますが、心不全が悪くなる原因は日常生活の中に隠れていることが多く、セルフケア(自己管理)がとても大切となります。心臓に負担をかけないような食生活と運動習慣、感染予防策、薬の飲み忘れ防止策、睡眠の質や便通の管理など、日常生活の中での工夫で心臓を長持ちさせることができます。

実は、心不全は決して珍しい病気ではなく、歳を重ねれば多くの方が発症する可能性があります。皆様が健康長寿を保つために、心臓を長持ちさせる方法を是非とも知っていただきたく、毎月院内にて『心不全教室』という講演会を開催しています。「心不全のセルフケアの方法」から「さまざまな心臓病」にわたる内容まで、心不全に関連した話題を幅広くお届けいたします。

当院の心不全サポートチームは、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどで構成されています。心不全の治療からセルフケアに至るまで、どのようにしたら心臓を良くすることができるのか、個々の患者さんについて多職種間で協議をしながら診療を行っています。入院中の方であれば、心不全のことを正しく理解していただけるように個別に心不全の指導を行い、退院後を見据えた運動療法や食事療法をご提案させていただいております。また、外来の方には、理学療法士の指導のもとで心臓の状態に見合った運動習慣を設けていただくように、心臓リハビリテーション外来を開設しています。心不全に必要な食事療法についても、外来・入院問わずご相談可能となっています。

講座・イベントのご案内

医学健康講座の最新お知らせはこちらから


◆医学健康講座 ※時間…14:00~15:00/会場…STRホール(新百合ヶ丘総合病院3F、定員150名、先着順)
2月4日(火) 前立腺がんについて
~ PSA検診を受けましょう ~
泌尿器科
徳山 尚斗 先生
2月5日(水) 画像検査でみる実際の病気や臓器(簡単なクイズ形式) 放射線診断科 医長
飯島 健 先生
2月18日(火) 脳卒中の最新リハビリテーション治療
~急性期・回復期・慢性期における途切れないケア~
リハビリテーション科
木下 翔司 先生
2月28日(金) ~漢方で「元気」になる②~
気・血・水のはなし
内科 医長
松元 かおり 先生
◆市民医学講演会 ※時間…14:30~15:30
2月21日(金) 不整脈と脳梗塞
~予防できる脳梗塞があります~
循環器内科 医長
吉竹 貴克 先生
調布クレストンホテル/8F
クレストンルーム(定員120名)
2月27日(木) ~ストレスに負けない~
メンタルヘルスについて
精神科/心療内科 科長
戸部 有希子 先生
小田急ホテルセンチュリー相模大野/
8F相模野(定員120名)

※ 講座の講師及び演題は予告なしに変更になる場合がございます。

2019年12月の救急車受け入れ台数は619台でした。