水野 順一先生 動画インタビュー|ドクターインタビュー

2020年04月15日掲載

今回のドクターインタビューは、当院脊椎脊髄末梢神経外科 低侵襲脊髄手術センター 上級顧問 水野 順一先生にお話を伺いました。

インタビュー内容

  1. 当院の脊椎脊髄末梢神経外科について
  2. 開設当初と比べて今の状況をどのように感じているか
  3. 脊椎脊髄末梢神経外科にはどのような患者さんが多くいらっしゃるのか
  4. 当院で行っているオペの年間件数について
  5. 当院の代表的な手術治療について
  6. 脊椎脊髄末梢神経外科の最新トピックについて
  7. 診察・オペにあたり大切にしていること
  8. 新棟開設で変わること
  9. 今後の展望や抱負について
  10. 皆さまへメッセージ

特別インタビュー

当院の脊椎脊髄末梢神経外科について

当院の脊椎脊髄末梢神経外科には、2020年4月現在8名おりますが、全員が脳神経外科の専門医(日本脳神経外科学会専門医)です。神経がどうなっているか、そして神経の機能をどう回復するかということに重点を置いた脊髄疾患の治療をしています。それを「低侵襲手術」として皆さんに提供しております。入院する前の痛みやしびれを可能な限り取り除いて、また正常な日常生活に戻っていただけることを目的として治療にあたっております。

開設当初と比べて今の状況をどのように感じているか

当院は開設してから8年ほど経ちます。当科は最初、3名の脊髄外科医で始めましたが、現在は8名となりました。脊髄疾患といっても 症状は外傷、椎間板ヘルニア、狭窄症、腫瘍など、いろいろあります。それぞれのサブスペシャリティを持つ先生方が8名集まっていますので、ほとんどの脊髄疾患と末梢神経疾患には手術を中心とした治療で対応できるようになったことが、この8年間で脊髄外科として進歩した点だと思っております。 脊椎脊髄末梢神経外科にはどのような患者さんが多くいらっしゃるのか 腰痛は我々人間にとって避けがたい症状でありまして、高齢化社会が進み、社会的な問題となっております。一番多い症状は腰痛、次に手足のしびれ、その次に歩行困難、また手の使い方がおかしくなったというような症状の方が多いです。

当院で行っているオペ(手術)の年間件数について

最初は多くなかったのですが、昨年度は年間500件以上の手術をさせていただく機会がありました。頸椎から腰椎まで、いろいろな手術を着実に積み重ねてくることができました。今年は医師が8名体制となりましたから、これまで以上に地域医療に貢献していきたいと考えています。

当院の代表的な手術治療について

頸椎や腰椎には非常にデリケートな神経が通っていますので、顕微鏡や内視鏡や外視鏡を使った小さな切開で、周辺組織をできるだけ傷つけないように治療する低侵襲な手術を、我々は日常的に行っております。それが我々の最も得意とする手術です。疾患には、頸椎では椎間板ヘルニア、難しい病気の後縦靱帯骨化症、また腰椎では椎間板ヘルニア、狭窄症、すべり症、圧迫骨折など多種多様の病態がありますが、いずれの疾患に対しても顕微鏡等を用いた低侵襲手術を行っています。

脊椎脊髄末梢神経外科の最新トピックについて

手術法は日々進歩しています。ひとつトピックを挙げるとすれば、頸椎椎間板ヘルニアに対する人工椎間板という手術を、昨年度から当院で行うようになったことです。これはまだ臨床試験の段階でしたので、全国でも10施設のみ、関東地区では当院を中心に3施設ほどが参加しておりますが、当院はそのような特別な資格を取得することができました。

診察・オペにあたり大切にしていること

いつも患者さんにお伝えするのですが、この頸椎・腰椎・背骨の手術は命に関わるようなものではありません。しかし人間にとって「痛み」は嫌な感覚です。患者さんの一番嫌な感覚を取り除き、日常生活に戻れるようにしてさし上げたい。最悪でも手術前の状態はそのまま保持して、痛みを取り除くことで、より豊かな生活ができるようにしてさし上げることを心掛けております。

新棟開設で変わること

新棟に回復期リハビリ病棟を開設したことで、より長く患者さんの予後を診られるようになりました。重症の患者さんにとっても、手術をした病院で長くリハビリができるのは良いことです。長い期間患者さんの治療にあたれる病棟には期待しております。

術前・術後からリハビリまで患者さんを診れますか

リハビリの指示等は比較的若手の先生にお願いしていますが、やはり自分の目で見ることは大切なので、必ず患者さんには手術後に歩いてもらい、手を使ってもらい、痛みがあるかないか、実際に診させていただきます。リハビリは重要なひとつのセクションだと思っていますので、時間のある限り積極的に関わっています。

今後の展望や抱負について

当院は常に新しい医療機械を入れて、大学病院クラスの診断技術もあり、手術療法としても不足の無い機械が揃っています。しかしそれを使う我々医師に知識がなかったり技術がなかったりすれば宝の持ち腐れになるので、新しい優れた医療機器を十分使いこなせるように日々精進していきたいと思っています。当院の病院方針(理念)は「すべては患者さんのために」ですので、患者さんファーストの手術をすることにより貢献できればと考えています。

皆さまへメッセージ

腰痛や手足のしびれは多くの場合、年齢とともに発症する避け難い症状です。加齢が進んで発症された方の中には、放置したり、諦めている方がおられます。もし、腰痛の症状のある方が3人おられたら、2人は病院ではなく接骨院に行かれるというデータがあります。接骨院に行って治ればそれはそれで結構なのですが、2週間~3週間経っても痛みが取れずに「何か変だな」と思われたら、ぜひ当院の低侵襲脊髄手術センターまたは脊椎脊髄末梢神経外科に来ていただければと思います。MRI等の画像や、神経学的な所見を診させていただくことにより、加齢のせいだけなのか、それとも狭窄症のような病気が隠れているのかをはっきりさせ、適切な医療を受けられることを望みます。何かお困りの症状がございましたら、ぜひご相談ください。どうぞよろしくお願いいたします。