伊藤 敏孝先生 動画インタビュー|ドクターインタビュー
2018年9月5日掲載
今回のドクターインタビューは、当院救急センター センター長 伊藤 敏孝先生にお話を伺いました。
インタビュー内容
- 当院の救急センターについて
- 当院の救急搬送件数について
- 日頃の災害訓練の必要性について
- 救急診療で大切にしていること
- 今後の抱負と皆様へのメッセージ
特別インタビュー
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救急センター センター長
伊藤 敏孝先生
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救急センターについて
当院の救急科は「患者様を断らない」ことを目標に運営しています。川崎市麻生区を中心とした地区には大きな病院が少なく、受け入れのお断りが多いと言われています。また、日本全国で最も搬送時間が長い地域なので、そこをどうにか改善すべく救急を行っております。
2017年度の救急搬送件数は7,204件。今の状況をどう感じているか
まだまだ我々の力不足で十分に受入対応ができていない部分もあるので、そこを強化して、さらに受け入れ台数を増やしていきたいと思っています。麻生区、多摩区、稲城市、町田市周辺を含めると潜在的に救急要請件数は1万台近くあります。それにできるだけ応えていければと思っています。
救急車で搬送されてこられる患者さんで一番多い疾患は
統計的に、腹痛、消化器系の症状で搬送される患者様が多いです。次に発熱、めまいです。
救急隊員の方とのコミュニケーションについて
救急隊員は〝運び屋″ではなく、我々医療スタッフの一人です。患者様が救急車に乗るところから医療行為は始まっています。そこを中断なく引き継いでいけるようにしております。
救急センターには設備があるのか
搬送されてきたときには、命の危険が迫っていることもあります。その緊急処置をすることを第一に考えておりますので、人工呼吸器、手術準備など、どんな状況にも対応できるようにしております。
搬送された方の診断や処置はどういう流れで行うか
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まず命に係わるかどうかで判断します。特に呼吸循環に関係がないかを見極めながら、必要に応じて処置をします。先入観を持たず全身を診ていきます。基本的に救急科だけで治療が完結することは少ないので、我々が病院の入口となり、そこから各診療科の専門の先生が治療に当たっていく、という流れになります。
救急科医には救急医学的な知識も必要ですが、院内の医師、看護師、検査技師、放射線技師、事務員の方々と連携をとって動くことも大切です。全体のまとめ役として機能することが重要なのです。
救急診療で大切にしていること
搬送されてきた患者さん、ご家族様の不安を取り除き、最善を尽くしていくことです。
なぜ救急科の医師を目指したのか
医者になった以上は「幅広く診る」ということをしたかったのです。出身大学(防衛医科大学)が総合臨床医を育てることを目標にしていたこともあり、重症度に関係なく「基本的に診られる」ということを目指して救急医になりました。
救急外来に搬送されてこられた、事故で瀕死の状態の患者さんや、心肺停止状態の患者さんの治療戦略を立てて命を救うことができ、その患者さんが元気に歩いて帰宅される時などはとてもやり甲斐を感じます。
2年後の増床の際には救急センターも拡充されるが、具体的にどのようなイメージか
救急センターの隣にできる集中治療室を兼ねた病床に入院することが可能となります。また、センター内に血管造影室や透析室をつくり、今以上の治療を行うことができるようになります。センターの拡充に合わせてスタッフを増員すれば、年間1万件の救急要請にも応えられるようになるでしょう。
メッセージ
今後も、近隣の地域にしっかりと根差した救急センターであり続けたいと思っています。救急時間外で不安になるようなときは救急窓口もありますので、ご相談ください。かかりつけの患者さんでしたら救急外来の方に電話していただければ対応いたします。