笹沼 仁一 医師  動画インタビュー|ドクターインタビュー

2017年7月8日掲載

今回のドクターインタビューは、笹沼 仁一 医師 にお話を伺いました。

インタビュー内容

  1. 開院5周年を迎えて
  2. 現在の当院の運営状況について
  3. これからの1番の目標
  4. 将来に向けてのメッセージ

特別インタビュー

脳外科医をめざすきっかけ(エピソード)

大学5年生の1月14日の夜のことです。翌日1月15日は、成人の日で友人とスキーに行く予定だったのを今でも覚えているのですが、アパートに帰ると母親から電話があり「父がくも膜下出血で倒れて、南東北脳神経外科病院(現在の総合南東北病院)に運ばれた」と言われ、すぐに病院に駆けつけました。普通昼間ですと車で1時間弱かかるところですが、夜であったこともあり30分ぐらいで病院に到着すると、すでに父親は手術室に入っていました。

父親の入院中、理事長が、私が医学生であることを知り、回診時に「一緒に回診しないか、脳外科医にならないか」など誘ってくださいましたが、当時私は内科志望だったので断っていました。その後、父親はリハビリを行い、後遺症は残るもののもう少しで自宅復帰ぐらいはできるかなという状況の時に、右脳の脳内出血を再発してしまいました。この手術の時は、状況もよく覚えていないのですが、理事長に誘われ手術室に入り、父親の脳内血腫除去の顕微鏡手術に立ち会い、手術台の横で手術モニターを見ていた記憶があります。術後はICUでほとんど意識もない状態で経過していましたが、約1週間後、ICU入院中に3回目の左脳の脳出血を発症、もう手術も出来ず、看取るしかありませんでした。1週間弱、人工呼吸器がついた状態で家族・親類が集まり見守っていましたが、大学6年生の4月13日に父親は亡くなりました。54歳でした。その時改めて、理事長から「面倒をみるから脳外科医にならないか」と熱心な誘いを受け、そこで脳外科医になることを決心しました。

これがきっかけで、脳外科医として南東北グループに勤務しましたが、今年3月で、私も無事55歳となることができ、父親が亡くなった年齢である54歳を超えることができたので、ここ10年来心のどこかに感じていた不安感が晴れて、ようやく一安心したところです。

いつも心掛けている事(座右の銘)

特に、座右の銘というものはありませんが、「思いやり、正直にうそをつかない」ということを大切に、相手のことを考えながら行動、発言すること、どんなに難しい事態になってもうそをつかず、事態に当たることを心がけています。

救急の受け入れが年々増えている理由

救急車の受け入れ台数を増やすためには、外来も入院もそうなのですが、医師と看護師の数が絶対的に必要です。スタッフの数が足りないと診療体制を充実させることはできません。開院からの5年間、救急車の受け入れ台数が年々増えてきており、昨年は6000台を超えることができました。これはやはり、医師を含めた優秀なスタッフの増員とそれに伴う診療体制の充実が最大の理由だと思います。

地域との病診連携について

  • 当院との連携医療機関(登録医)は現在400件以上ですが、もっと増やさなければいけないと思っています。病院と登録医の役割分担もしっかりとしていきたいです。精密検査や診断、治療は病院で行い、普段の外来での健康管理は地域の登録医の先生たちにお願いする、など。

    我々ももっと真剣になって病診連携につとめる必要があると考え、現在ホームページに登録医コーナーを新設し、地域の方々により多くの情報を知ってもらう機会を作っているところです。地域との連携をもとに、開業医の先生方や病院の先生方から信頼され、患者さんをご紹介いただき、その際にはスムーズに受け入れ、そしてまた紹介元の先生方のところで通院治療をしてもらえる、といった態勢を強化していくのが、これからの一番の目標です。

地域の皆様へ一言

外来受診の患者さんの数、救急受診の患者さんの数、また手術を受けてくださる患者さんの数は、ある意味で当院への信頼の数だと思います。その数に感謝をして、さらに伸ばしていくのが目標です。それが、当院への地域の信頼の証でもあると考えています。

まだまだ当院に不満足な部分もあると思いますが、それら課題をひとつひとつ解決するよう努めていきますので、今後もご支援をいただけるとありがたいです。

今後の抱負

3年後に増床を予定しています。この地域にはない緩和ケア病棟を新設し、がんの診療体制の充実を図ります。また、現在は急性期病棟のみなので、リハビリなど回復期の治療は現状では他の病院に転院をお願いしなければいけないのですが、3年後には回復期リハビリテーション病棟もつくる予定ですので、同じ病院で急性期から回復期、自宅退院までと、これまでよりも幅広い治療を提供することができます。あとは当然、救急の受け入れ態勢も強化していきますので、今まで以上にこの地域が必要とする医療を提供できると思います。これからも当院に、ぜひご期待ください。