耳鳴・難聴専門外来
耳鳴・難聴専門外来とは
耳鳴難聴外来でTRT(Tinnitus Retraining Therapy)を行なっています。TRTは耳鳴順応療法と言い、指示的カウンセリングと音響療法によって 「脳を耳鳴りの音に順応させるように訓練する方法」です。音響療法として補聴器、またはSound Generator:サウンドジェネレーター (以下SG)によるTRTを施行しております。
治療の流れ
①一般耳鼻咽喉科外来
まず月曜~金曜日午前の一般耳鼻咽喉科外来受けていただきます。当科ではデータを初診から評価する必要もあり、まだ補聴器を装用・購入をされたことのない患者さんをTRTの対象としております。そのときの担当医師が適応と判断した場合に耳鳴難聴外来の予約を取ります。
②耳鳴難聴外来初診
補聴器適合判定医、補聴器相談医でもある担当医の診察後、言語聴覚士、認定補聴器技能士とともに補聴器またはSGを患者さんの聴覚データに合わせてフィッティングします。補聴器の利得設定SGから出す音源(ノイズ)を設定を行います。
貸し出し試聴期間は補聴器または SGで2ヶ月前後としております。(貸し出し期間中は費用がかかりません。)
③耳鳴難聴外来再診時に補聴器または SGの音源の再調整をします
補聴器適合検査、言語聴覚士による補聴器特性測定検査後、補聴器リハビリテーション指導があります。
④試聴期間後
試聴期間を経て自覚的にも耳鳴改善感が得られ耳鳴スコア上も軽快し治療を継続希望する場合はまたは補聴器を購入していただき治療を継続いたします。
⑤診察の間隔について
診察の間隔は1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月と長くなりますが、約1年〜2年診察を継続いたします。
TRTが難しい症例
以下の症例ではTRTが難しい可能性があります。
低音障害型難聴など聴力の変動を伴う耳鳴症例や突発性難聴直後の耳鳴症例ではTRTが向いていません。突発性難聴による耳鳴症例では約6ヶ月経過してからTRTの対象といたしております。
重度のうつ病ではTRTで状態が悪化する症例もあります。
耳鳴がなくなること・耳鳴自体の消失を期待される場合、治療効果が出にくいこともあり得ます。
なお、外傷・交通事故後の耳鳴症例ではデータ上加齢による変化との区別がつきにくいなど他覚的な評価が難しいので、当院ではTRTの適応とはいたしておりません。
医師紹介
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伊藤 まり(いとう まり)
神経聴覚耳科科長(毎週火曜日午後)
専門分野・得意な領域 | 神経聴覚耳科 |
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専門医 指導医 |
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医/ 日本抗加齢学会学会認定専門医 日本耳鼻咽喉科学会専門研修指導医/医学博士 |
神経聴覚耳科外来について
小川教授と伊藤医師
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慶應義塾大学 耳鼻咽喉科 小川 郁教授による診察を行っております。主に難聴(耳鳴)改善を目的とした鼓膜膜形成術、鼓室形成術等の手術も施行しております。
まず午前の一般外来を受診いただき、担当医が適応と判断した症例で予約を行なっております。
ステロイド鼓室内投与について
難聴治療として以前より、突発性難聴などの内耳疾患の治療法として、ステロイドの全身投与が広く行われてきました。近年、ステロイド鼓室内投与療法が好成績であると報告されています。
ステロイドの全身投与では易感染性、高血糖、消化管潰瘍、骨粗鬆症などの副作用が問題となりますが、ステロイド鼓室内投与ではこれらの副作用の可能性はきわめて低くなるため、糖尿病などの合併症を有する内耳疾患患者ではステロイドの鼓室内投与が積極的に行われます。
治療方法
手技は専門的手技を必要とし、難聴側の鼓膜に注射針を穿刺(せんし)し、鼓膜の内側に直接ステロイドを注入いたします。注射後、注射をした耳側を上にして10分間安静にします。合併症としては、鼓膜穿孔(こまくせんこう)の残存や、却って聴力が悪化する可能性も挙げられます。
対象
当院での入院ステロイド点滴治療後8週間以内の感音難聴患者さんを対象として、主に神経聴覚耳科外来で行っております。
医師
小川 郁 医師
医師紹介
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小川 郁(おがわ かおる)
神経聴覚耳科【診療日】毎月第1金曜 午後
※変更になる場合がございます
詳しくは外来診察担当表をご覧ください。
専門分野・得意な領域 | 耳科学、聴覚医学、頭蓋底外科 | ||||||||||
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学会活動 | 医学博士/日本耳鼻咽喉科学会専門医・代議員/ 日本耳鼻咽喉科学会研修指導医/ 日本小児耳鼻咽喉科学会理事/ 日本気管食道科学会専門医・常任理事/ 日本聴覚医学会理事/ 日本耳科学会顧問/ 日本頭蓋底外科学会理事/ 日本頭頸部外科学会理事/ 国際耳鼻咽喉科振興会理事/ 国際聴覚医学会理事/ アジアオセアニア頭蓋底外科学会評議員 など | ||||||||||
主な経歴 |
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