頭頸部・甲状腺腫瘍外来

頭頸部・甲状腺腫瘍外来とは

  • 頭頸部・甲状腺腫瘍外来では、頭頸部領域の良性及び悪性腫瘍(癌)の診断と治療を行っております。頭頸部癌の種類は多彩で、甲状腺癌、舌癌、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌、耳下腺癌、顎下腺癌、外耳道癌、原発の不明な頸部転移癌などが挙げられます。甲状腺癌の殆どは分化癌と呼ばれ、進行が遅く治しやすい癌ですが、高危険群と呼ばれる一割の患者さんは、再発転移を繰り返し長期の闘病を余儀なくされます。一方、甲状腺未分化癌は稀な疾患ながら、進行の極めて速い恐ろしい癌です。いずれの癌も病期、組織型によって治療法が異なりますが、頭頸部領域にはみる、きく、嗅ぐ、味わう、表情を作る、のみ込む、話すといった、生活に直接関わる重要な機能が集中しています。よって治療に際し、美容を含め生活の質を保つために細心の工夫を要します。

  • 当外来では、開院以来500人以上の頭頸部癌患者さんを治療してまいりました。多くは他院からご紹介いただいた再発転移の患者さんですが、他院で提案された治療を様々な理由で受け入れられず、当院を訪れる患者さんも少なくありません。当外来の特徴を一言で言えば、諦めない治療を提供すること、また、患者さんの考え方、感受性を尊重し、病態を個別化した低侵襲治療を提案できることにあります。

標準治療とは、統計学的根拠に基づいて選別された最適治療と定義されますが、統計学的に証明された優劣に重きを置くあまり、患者さんを厳しい治療に当てはめるようになりがちです。ご高齢の方には最上の治療と言えない場合があり、また心理的肉体的に厳しい治療を受け入れられない患者さんの反発を招くことが往々にしてあります。

当外来では、標準治療を患者さんに当てはめることにきゅうきゅうとしていません。標準治療も絶えず移り変わる運命にあるからです。例えば現時点に於ける進行咽喉頭癌の標準治療は、領域照射を主体とした放射線化学同時併用療法ですが、5年生存率では優位であったものの、10年以上の長期経過観察では全生存率が劣ることが最近になって判明しました。またごく最近、免疫チェックポイント阻害薬が登場し、癌治療全体の地殻変動が起きつつあります。長寿の時代の癌医療は、複数の癌に罹患しうる脅威を考慮すれば、高度なテクノロジーに支えられた低侵襲治療と、免疫治療を主体とした複合治療へとシフトしていくことは疑いを入れません。当外来では、低侵襲な個別化治療の謂である定位放射線治療を中心に、苦しくない化学療法、機能温存手術、免疫チェックポイント阻害薬を、保険医療の枠組みの中で積極的に組み入れ、患者さんにとって最適かつ低侵襲な治療を提供するという、患者さんの方を向いた本来の医療の姿を目指しています。

診療日

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医師紹介

  • 田路 正夫(とうじ まさお)
    耳鼻咽喉科 部長

専門分野・得意な領域 耳鼻咽喉科
専門医
指導医
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
(慶應義塾大学医学部 非常勤講師)
主な経歴 慶応義塾大学医学部卒業
フランス政府給費留学
前東京都済生会中央病院医長