薬剤科コラム

その薬、いつ飲むのが正解?「食前・食後・食間」の意味と服用のポイント

薬剤科 平内 孝典

公開日:2026-09-17

ある患者さんが入院されたときのことです。
普段飲んでいる薬を確認してみると、ほかの薬に比べて「空腹時に飲む薬」だけがたくさん余っていました。

  • 薬が飲めない男性のイメージ
  • 「この薬、どうして飲まなかったのですか?」と尋ねると、
    「病気で食欲がなくて、空腹にならなかったから飲みませんでした」
    とのこと。

なるほど……。「空腹時」と書いてあれば、そう思ってしまうのも無理はないかもしれません。

薬には「食前」「食後」「食間」「空腹時」など、さまざまな服用タイミングがあります。でも、「食間って食事中のこと?」「朝ごはんを食べなかったら朝食後の薬はどうするの?」など、意外と分かりにくいものです。

今回は、薬を飲むタイミングと、なぜそのタイミングが決められているのかについてお話しします。

「食前」「食後」「食間」っていつ?

まずは、薬の袋などでよく見かける3つのタイミングから確認してみましょう。

食前

食事の20~30分前に飲みます。

食後

食事が終わってから30分以内に飲みます。

食間

食事が終わってから約2時間後に飲みます。

ここで間違えやすいのが「食間」です。

「食事と食事の間」という意味なので、食事をしている最中に飲むという意味ではありません。

どうして薬によって飲むタイミングが違うの?

そもそも、なぜ薬には「食前」「食後」などの決まりがあるのでしょうか。一般的な飲み薬は、口から飲んだあと、胃や腸を通って体の中に吸収されていきます。

このとき、薬によっては食事をしたかどうかで、体に吸収される量が変わることがあります。

また、空腹時に飲むと胃に負担がかかりやすい薬や、食事による血糖値の変化に合わせて飲む薬などもあります。

つまり、薬を飲むタイミングには、それぞれ理由があるのです。

食後に飲む薬の例

例えば、痛み止めとしてよく使われる「ロキソプロフェン(商品名:ロキソニンなど)」があります。

ロキソプロフェンは、薬の正式な説明書である「添付文書」で、空腹時の服用を避けることが望ましいとされています。

このように、薬によっては空腹時を避けるなど、食事との関係を考えて服用する必要があります。

食前・空腹時に飲む薬の例

一方で、食事をする前の服用が決められている薬もあります。

例えば、抗菌薬の一つである「リファンピシン」は、原則として朝食前の空腹時に服用する薬です。

薬によっては食事によって吸収のされ方が変わるため、決められたタイミングで飲むことが大切です。

「朝食後」の薬。朝ごはんを食べなかったらどうする?

患者さんとお話ししていると、
「今日は朝ごはんを食べなかったので、朝食後の薬も飲みませんでした」
と言われることがあります。

「朝食後」と書いてあるのだから、朝食を食べなかったら薬も飲まない――そう考えるのは自然かもしれません。

しかし、すべての薬が食事の影響を大きく受けるわけではありません。

薬の中には、食事との関係が特に重要なものがある一方で、食事の影響をあまり受けないものもあります。そのため、「食事をしなかったから」という理由だけで薬を自己判断で中止してしまうと、本来必要な薬まで飲めなくなってしまうことがあります。

では、食事を抜いたときはどうすればよいのでしょうか。

これは薬によって異なります。

「食事をしていないけれど、この薬は飲んでもいいのかな?」と迷ったときは、自己判断で薬を中止せず、医師や薬剤師に確認してください。

ちょっと特殊な飲み方をする薬もあります

薬の中には、「食前」「食後」だけでは説明できない、少し特殊な飲み方をするものもあります。

ビスホスホネート薬

骨粗しょう症の治療などに使われる薬です。
内服するタイプのものは、朝起きてすぐの空腹時に、コップ1杯の水(または白湯)で飲む必要があります。
また、食道への刺激や胃腸障害を防ぐため、服用後30分間は横にならず、飲食も避けます。

リベルサス

糖尿病の治療に使われる薬です。
起床後、その日の最初の飲食の前に、空腹の状態で服用します。
飲むときの水の量にも決まりがあり、コップ半分ほど(120mL以下)の水で服用します。また、服用後少なくとも30分間は、飲食やほかの薬の服用を避けます。

セベラマー

血液中のリンを下げるために使われる薬です。
この薬は「食直前」、つまり食事のすぐ前に服用します。

このように、薬によっては効果を十分に発揮するために、服用するタイミングや飲み方が細かく決められているものがあります。

大切なのは「分からなかったら確認する」こと

「食前」「食後」「食間」「空腹時」。

普段何気なく目にしている言葉ですが、薬によってそのタイミングが指定されている理由はさまざまです。

特に気をつけたいのは、「食事をしなかったから、薬も飲まないでおこう」と自己判断してしまうことです。

もちろん、食事をしなかったときに服用方法を変更する必要がある薬もあります。そのため、一概に「食事を抜いても薬は飲んで大丈夫」とはいえません。

薬を飲み忘れてしまったときや、
「今日はご飯を食べていないけれど、薬はどうすればいい?」
「この薬はなぜ食前なの?」
「飲むタイミングを間違えてしまったけれど大丈夫?」
など、分からないことがあれば、ぜひ薬剤師にご相談ください。

薬を正しく使うためには、決められたタイミングを守ることと、その理由を知っておくことも大切です。