薬剤科コラム

接触感染とは

薬剤科 別府 真子

2020/8掲載更新2022/09/12

残暑厳しい中、皆様いかがお過ごしでしょうか。世間では新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が再び増加しております。今回は、主な感染経路ついてお話していきたいと思います。

感染経路の種類

接触感染は、母子感染といわれる垂直感染と、ウイルスや細菌が主に口や鼻、喉などを経由して体の中に入ってくる水平感染に分けられます。

①垂直感染

お母さんから病原体が胎盤、産道、母乳を通じて、赤ちゃんに直接伝わる感染経路を垂直感染と言います。いわゆる、母子感染と言われるものです。風疹やトキソプラズマ、B型肝炎などがあります。母子感染を予防するために、HBe抗原陽性のお母さんから生まれた赤ちゃん(無症候性キャリア)は生後12時間以内にB型肝炎免疫グロブリンの注射と同時にHBワクチンの接種を行います。他にも、出生後に新生児は眼感染予防に抗菌薬点眼をします。

②水平感染

水平感染は、感染源が周囲の人やものから広がるもので、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つに大きく分類することができます。

接触感染、媒介物感染

感染者と直接接触、または汚染されたドアノブや医療器具を介して間接的に接触することで感染すること。
手指衛生が不十分であったり、医療器具の滅菌・消毒が不十分であったりすると引き起こされる。

飛沫感染

ウイルスや菌を含む飛沫を吸い込んだり、鼻や目などの粘膜に付着したりすることにより感染すること。

空気感染

空気感染は、ウイルスや菌を含む飛沫核や塵埃を吸い込み、直接気管支内に感染すること。さらに、飛沫核感染と塵埃感染に分けられる。

飛沫核感染と飛沫感染
  • 飛沫核感染と飛沫感染

  • 空気中に飛び散った微粒子の中で比較的大きく、水分を含んだものを“飛沫”、比較的小さい飛沫から水分が蒸発し、軽くて非常に細かい粒子になったものを“飛沫核”と言います。飛沫は、直径が0.005mm以上の大きさのもので、水分を含むため、届く範囲は感染源から1〜2m程度と言われています。そのため、マスクの着用や、感染源から距離をとることが有効な対策となります。

  • 飛沫核感染と飛沫感染

  • 新型コロナウイルス(COVID-19)は今分かっている感染経路が接触感染と飛沫感染とされています。現在、厚生労働省より公表されている「新しい生活様式」にあるように、「人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける」、「手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う」、「咳エチケットの徹底」などの行動が接触感染を防ぐのに効果的です。

石けんがウイルスを除去する仕組み

  • 石けんはどうして油をとることができるのでしょうか? 石けんは界面活性剤と呼ばれます。界面活性剤とは、水とくっつく部分(親水基)と油とくっつく部分(親油基)の両方を持っている物質です。つまり、水と油の両方とくっつくことができます。そして、皮膚にこびりついた油に界面活性剤がやってくると、親油基の方を油と結合させます。油を囲って取り込み、球体のミセルと呼ばれる集合体を作ります。あとは、水で洗い流せばミセルごと取り除かれます。

  • ウイルスには、表面にエンベロープという殻をもつものがあります。新型コロナウイルス(COVID-19)はエンベロープを持つウイルスです。油を落とす作用で皮膚から取り除くことができます。手洗いするときは、ただ石けんをつけるだけではなく、よく泡を立てて、よく洗い流すようにしましょう。

正しい手の洗い方、できていますか?

正しい手洗い
【参考】
〈参考資料〉 薬剤師法、病院薬剤師会HP