薬剤科コラム

夏本番!日焼けについて

薬剤科

2018/7掲載更新2022/06/15

  • 日焼けについて
  • 夏といえば、海にプールにBBQなど楽しいレジャーが盛りだくさん。日に当たる機会も増えるかと思います。そこで今回は、日焼けについてお話しします。

日焼けとは

紫外線により皮膚が赤くなるサンバーン(sunburn)と、その後黒くなるサンタン(suntan)の2つを合わせて日焼けといいます。日焼けが、紫外線によってもたらされるものだということは、ご存知の方も多いかと思います。

紫外線(UV:Ultra Violet)

紫外線は、太陽光線であり、地表に届く光の中で最も波長の短いものです。紫外線の中でも、波長によって、UV-A、UV-B、UV-Cに分けられます。
紫外線(UV:Ultra Violet)

UV-Cはオゾン層と空気中の酸素分子により遮られ地表には届きません。そのため、日焼けに関係してくる紫外線はUV-BとUV-Aになります。

UV-Bによる日焼けの特徴

UV-Bは皮膚細胞のDNAに吸収され、DNAに傷を作ります。しかし、細胞にはこのように傷つけられても、この傷を取り除く仕組みが備わっています。こういった修復反応がきっかけとなったり、直接的に細胞膜の障害が細胞内に伝わったりすることにより、炎症を起こす様々な遺伝子が発現し、放出されます。

UV-Bの日焼けでは、UV-Bを浴びた直後に皮膚の炎症が起こり赤くなってヒリヒリ痛みます。そして1週間ほどで皮がむけます。これは死んだ皮膚が薄い膜上になって剥がれ落ちるためです。また、水疱ができることもあります。UV-Bを浴びた後、3~4日経って色素沈着し褐色(サンタンの状態)にもなります。

UV-Bの日焼けとは皮膚の火傷なのです。急性日光皮膚炎とも言い、皮膚細胞のDNAが傷つけられ皮膚ガンの原因にもなります。

シミ・そばかすの原因はメラニン色素

UV-Aはメラニン色素を作る色素細胞(メラノサイト)を刺激し、メラニンが生成され、色素沈着が起こります。メラニン色素は紫外線を非常によく吸収するため、次の紫外線にさらされる時に備えた防御機構といえます。また皮膚の中に普段から存在するメラニン色素が酸化されて一時的により黒くなります。

メラニン色素はシミ・そばかすの元となり、皮膚の光老化の原因になります。光老化は、真皮にある弾性線維というものが破壊されることで起こります。弾性線維は、皮膚の張りを保っているため、その弾性線維が機能しなくなると、皮膚の張りがなくなり、しわ、たるみができます。皮膚は厚くゴワゴワに。色も濃くなるということです。

紫外線(UV:Ultra Violet)
UV-A UV-B
皮膚の透過度 30~50%が表皮を通過
真皮(肌の深い部分)まで到達
表皮内でほとんど散乱、吸収される
特徴 ・波長が長く真皮層まで到達
→肌を黒くする
・雲や霧、ガラスを透過
→日常生活で知らぬ間に蓄積
・主に表皮層に作用、働きは急激
→赤く日焼け
・雲、空気中の塵などに吸収されやすい
→曇り、雨、冬は量が減少

紫外線予防にはどうしたらよいか

次のような対策を行うことで、効果的に紫外線を防ぐことができます。

  1. 紫外線の強い時間帯(10~16時)を避ける。
  2. 日陰を利用する。
  3. 日傘を使う、帽子をかぶる。
  4. 衣服で覆う。
  5. サングラスをかける。
  6. 日焼け止めを上手に使う。
  • 紫外線予防にはどうしたらよいか
  • 日陰や日傘、帽子を使用するなど、直射日光を遮ることは効果的です、しかし、気を付けておきたいのが、直射日光が当たっていなくともまったく紫外線を浴びていないわけではないということです。空気中で散乱したものや、地面や建物から反射した紫外線までは防ぐことができません。なので、日焼け止めを上手に使うことが大切なのです。

日焼け止め

液状、クリーム、シート状など色々なタイプのものがあります。いずれにも紫外線防止剤が配合されています。紫外線防止剤は、紫外線散乱剤と紫外線吸収剤の2つに分かれ、それらが組み合わされています。

種類 紫外線吸収剤 紫外線散乱剤
代表的な化合物
(表示名称)
メトキシケイヒ酸オクチル
(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)
ジメチルPABAオクチル
t-ブチルメトキシベンゾイルメタン等
酸化亜鉛酸化チタン
特徴 ・化合物自体が紫外線を吸収
塗った時に白く見えない
かぶれる人がいる
・粉末が紫外線を散乱
・酸化亜鉛はUVA、酸化チタンはUVBをより防ぐ
塗ったときに白く見える

日焼け止めの効果表示

UV-Bを防ぐ指標であるSPF(Sun Protection Factor)と、UV-Aを防ぐ指標であるPA(Protection grade of UV-A)があります。

  • 日焼け後のケア
  • SPFは、UVB照射により翌日生じる赤みを指標にして検出します。例えば、20分日光に当たり翌日赤みが出る人が、SPF30の製品をつけた場合、20×30=600分=10時間、日光に当たって翌日赤みがでるということになります。SPFが50以上だとあまり差異がないためSPF50+と表示されます。

    PAは、紫外線照射直後からメラニンの酸化で起こる即時型黒化(UVAの照射によって短時間に現れる皮ふの黒化現象)を防ぐ効果の程度を指標としています。+から+++までの3段階評価でしたが、測定方法と表示方法の改定に伴い「PA++++」を加えた4段階に分けられるようになりました。

気をつけていただきたいのが塗る量です。顔なら液状タイプを1円硬貨の大きさで2度塗りします。また、2、3時間おきに塗り直し(重ね塗り)をおすすめします。

日焼け後のケア

まず濡れタオルや冷水で火照りを鎮めます。次に痒み、痛み、炎症を抑えるために、非ステロイド性消炎鎮痛剤が配合された軟膏や、炎症を抑える効果のあるアロエが配合されたケア商品を塗るのも良いでしょう。日焼け後の肌は細胞が傷つき、水分が保持できなくなるために、肌がカサカサになってしまいます。したがって、化粧水、乳液などで水分を補給し、蒸発を防ぐことも大切です。

日光で起こる副作用

薬の副作用で、日光照射が引き金となり起こる光線過敏症があります。日光にさらされた皮膚に赤み、炎症、痒みを伴う発疹ができるのが特徴です。免疫系が関わる反応で、日光アレルギーとも呼ばれます。

特に、頻度の高いものとしてケトプロフェンという消炎鎮痛剤成分の入った、貼り薬や塗り薬があります。貼付した部位だけに症状が発現するのが特徴です。ケトプロフェンの入った貼付剤を使用している部位が、直接日光にさらされないようにする必要があります。また、日光に当たることが事前にわかっているのであれば、医療機関で相談してみてください。ケトプロフェンと同じタイプの働きをするお薬でロキソプロフェンという成分に変更するという方法もあります。

光線過敏症の原因となるのは、外用薬だけでなく内服薬でもあります。抗生物質や降圧剤、血糖降下薬などでも発症することがあるので注意しましょう。