看護師コラム
栄養サポートチームと共に看護師が栄養管理のお手伝い
NST専門療法士 舘 靖子
2024/2/2掲載
世界に類を見ない速度で高齢化が進み、その高齢者の多くに低栄養や低栄養のおそれがあると言われています。高齢と病気や怪我という状態に低栄養が加わることで退院後の生活に影響を及ぼす可能性があります。退院後を元気に過ごすためにも栄養管理はとても重要です。
患者さんの栄養状態については、入院時に看護師などが栄養に関する評価表を使用し確認します。必要があれば栄養サポートチームが介入し、栄養に関する提案や支援などを行ないます。
栄養サポートチームとは
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栄養サポートチームとは、低栄養の患者さんや栄養管理をしなれば低栄養になることが予測される患者さんに対し、病気の回復促進及び感染症などの合併症予防などを目的として活動する多職種チームのことです。医師、栄養士、薬剤師、リハビリスタッフ、検査技師、看護師などからなるチームで患者さん一人ひとりにあった支援を検討します。
簡単にできる栄養の評価
入院の際に当院で行なっている栄養評価の一部を紹介します。
- 評価項目の一部
- 食事摂取量の増減
- 下痢や嘔吐、吐き気、食欲不振などがあるか
- むくみの有無
- 飲み込みづらさなどはどうか
- その他
これらを点数化して、低栄養の有無を確認し、栄養サポートが必要かどうかの判断をしています。
入院中は、看護師などが、体重の変化の観察、点滴の管理、食事摂取状態の確認や心理的サポートなどを行います。これらの内容を他職種や栄養サポートチームと共有し支援につなげます。
体重の変化の把握は大切
栄養状態を知るには、血液検査、身体計測、見た目、栄養に関する評価表などがあります。中でも体重の変化は簡単に測定できる目安の一つです。高齢者の場合、体重は減りやすく増えにくい状態となります。当然、筋肉量も減ってしまいます。
筋肉量減少の目安
30才以上 | 1年で1%ずつ減少 |
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絶対安静 | 1週間で10~15%減少 |
3~5週間で50%減少 | |
絶食+安静 | 1日で1%ずつ減少 |
退院後も元気に過ごせるよう、日頃から体重の変化や食べるものを少しだけ気にしてみてはいかがでしょうか。
1)森みさ子・病棟看護師の栄養管理における役割、日本静脈経腸栄養学会雑誌、2015、30(6):1246-1253
2)佐々木淳、年をとったら食べなさい。飛鳥新社、2021、P68
3)佐藤知香他、安静臥床が及ぼす全身への影響と離床や運動負荷の効果について、Jpn J Rehabil Med 2019;56:842-847