2021年10月18日掲載(2021/11/04

保湿のススメ~正しいスキンケア方法を身につけましょう~

がん化学療法看護認定看護師 有安 晴美

皮膚についてお話します

今までの生活よりもコロナ禍での生活は、手洗いや買い物に行った時など、手を消毒する機会が増えたと思います。手を清潔にしたはずなのに、手あれ症状が出ていてしまった方も多いと思います。本日は、皮膚のことについてお話ししたいと思います。

ターンオーバーと外的刺激

皮膚は約1か月(28日)で新しい皮膚になっています(ターンオーバー)。皮膚にいろいろな刺激があると、もとの皮膚の状態になるのに時間がかかってしまいます。刺激にはいろいろあり、外的刺激には、物理的刺激の日光、紫外線、乾燥、化学的刺激の化粧品、薬物、アレルゲンの花粉、ハウスダスト、ダニ、金属、食べ物などがあります。

ターンオーバー

その他、虫刺され、カビによる感染、不衛生な汗による環境などがあります。内面的要素には乾燥肌や敏感肌、体質(遺伝的にアレルギーが起こりやすい)、内臓疾患、ストレス、生活習慣の変化、ホルモンバランスの乱れなどがあります。

特に、化学療法治療を行うと、皮膚の細胞が再生する時間もかかりやすいです。治療薬によっては、皮膚症状がでやすい薬もあります。皮膚をよい状態にするためには日々のスキンケアが重要になります。

日々のスキンケアで必要なこと

スキンケアでは、まずこの3つが重要になります。

  • 保湿について
    1. 保清:皮膚を清潔に保つ
    2. 保湿:皮膚にうるおいをあたえる
    3. 保護:刺激をさけて皮膚を守る

① 保清:皮膚を清潔に保つ

毎日、皮膚を清潔にすること

  • 皮膚に刺激の少ない弱酸性の石鹸をよく泡立ってやさしく洗浄する。
    (ナイロンタオルは刺激になるので、ひかえる)
  • 熱い湯は乾燥の原因になるので、38℃位のぬるめのお湯でよく洗い流す。
    (長時間の入浴は避ける)
  • シャンプーは頭皮につけずに、泡立ててから頭皮をなでるように洗う。
    リンスは毛先のみ使用する。
  • 洗浄後は清潔なタオルで、やさしくこすらずに押さえるように水分をふき取る。

② 保湿:皮膚にうるおいをあたえる

洗浄後の皮膚に保湿剤を塗布して保護をする

  • 保湿剤の軟膏、クリームは人差し指の先から第1関節、ローションは手のひらに1円玉位の大きさに出す(両てのひら1回分の量)。
  • 手のひら全体で押さえるようにたっぷりと塗る。
  • 手洗い、入浴後は10分以内(皮膚が湿っている間)に保湿剤を塗ると効果的である。
  • 保湿剤は爪の乾燥予防のため、爪にも塗る。
  • アルコールの入っていない低刺激なものを使用する。

③ 保護:刺激をさけて皮膚を守る

他からの刺激の保護

  • 衣類や靴下は化学繊維を避け、締め付け過ぎないものを選択する。
  • 足に合い、柔らかく締め付け過ぎない靴を選ぶ。かかとの高い靴は避ける。
  • 日焼け止めクリーム(SPF30以上、PA++以上)を使用する。
    塗る順番:保湿剤→日焼け止め→ステロイド軟膏(処方がある方のみ)
  • 日傘、長袖、帽子などを使用し、紫外線をさける。
  • ひげをそるときは、なるべく刺激の少ない電気カミソリを使用する。
  • 水仕事、畑仕事などはゴム手袋を使用する。
  • 爪は角をおとさず、深爪にならないように、やすりなどでそろえる。
  • 爪がもろくなってくる場合は、マニュキュア等で保護をする。

泡で洗ったら、やさしく水分をふき取り、保湿をすることが重要になります。改善がない場合は早めに皮膚科にご相談ください。

<参考文献>
・濱口恵子、本山清美、ベスト・プラクティスコレクション がん化学療法ケアガイド第3版、中山書店、2020
・田村和夫、荒尾晴恵、菅野かおり、がん患者の症状まるわかりBOOK、照林社、2018