2021年7月掲載

せん妄について

精神看護専門看護師 中嶋 須磨子

  • せん妄について
  • 「せん妄」という言葉をご存じですか?

    これは、環境や体調の変化で一時的に起きる「強い寝ぼけ」のような症状です。
    手術の後や発熱、強い痛みなど体調が悪い時、不眠や不安、薬の影響といった様々な原因で起こります。

せん妄になると、転びやすくなったりリハビリが進まなくなるなど、入院期間が長引いてしまう恐れがあります。ですから、できるだけせん妄にならないようにすることが重要です。そのため、国は2020年度の診療報酬改定において、急性期入院患者さんに対するせん妄予防を目的とした「せん妄ハイリスク患者ケア加算」を新設しました。現在、当院でもせん妄予防に力を入れて取り組んでいます。

せん妄についてもう少し詳しく説明します

  • せん妄について
  • せん妄になると、場所や時間の感覚が鈍くなったり、話のつじつまが合わなかったり、落ち着きがなくなったりします。時には幻覚が見えることもあります。このような症状は夕方から夜間にかけて出現することが多く、日内変動がみられるのがせん妄の一つの特徴です。

せん妄になりやすい人がいます。高齢の方、認知機能が低下している方、過去に脳梗塞や脳出血になったことがある方、睡眠薬を常用している方、アルコールを多く飲む習慣がある方などです。私たちはこのようなリスクの高い患者さんを早期に把握し、せん妄にならないように、なったとしても重症化しないように対応に努めています。

  • せん妄について
  • せん妄に対しては、せん妄を引き起こしている原因に対する治療を行います。必要に応じて、不眠や落ち着かないといった症状に合わせて薬を使用することもあります。また、日中の活動や夜間の睡眠を促して生活リズムを整えながら、早期離床を進めます。

入院予定の患者さんにお願いしたいこと

入院時には、まわりの様子がわかるように、普段使っている眼鏡や補聴器を必ず持参して下さい。日にちや時間を確認しやすくするために時計やカレンダーを置くこともお勧めします。また、家族やペットの写真、使い慣れたタオルなども安心感につながると思います。お酒を飲む方は、入院までにできるだけ飲酒量を減らしましょう。

院内にて冊子をご用意しております

せん妄について解説した冊子「せん妄の予防と対策について」をご用意しております。
院内配布物設置エリア(正面玄関横、1階外来フロアA棟前、B棟外来フロアエスカレータ前など)にてお持帰りいただけます。