2021年2月掲載

モーニングサージをご存知でしょうか?

脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 山本 容子

血圧は脳卒中に関連しています。
特に早朝の血圧が虚血性脳疾患においては大きな危険因子となります。早朝に血圧が上昇する人には2タイプあります。

  1. 夜間に低下した血圧が早朝に急上昇する『モーニングサージ型』
  2. 夜間に上昇した血圧がそのまま早朝も維持される『夜間高血圧型』

このうち、モーニングサージ型は、そうではない人に比べて、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが2.7倍高いと言われています。

  • モーニングサージをご存知でしょうか?
  • もともと健康な人でも血圧は緩やかな日内変動があり、朝は高くなり夜に低くなります。しかし、朝目覚める前後に急激に血圧が上昇するのが『モーニングサージ』です。 病院や健康診断では発見できないモーニングサージ。それを知るためには、朝の血圧を測ることがポイントです。

血圧測定の仕方

ご自宅でも血圧を測る習慣をつけましょう。 毎日測ることが望ましいですが、忙しい人は週に数回でもかまいません。測るタイミングは朝と夜の1日2回です。血圧手帳などを利用して記録する習慣をつけましょう。
(血圧手帳は病院の外来などでもらうことができます。)

朝→起床後1時間以内。食事の前、トイレをすませたあと
夜→運動、入浴、飲酒の直後は避けて測定
  • モーニングサージをご存知でしょうか?
  • 高血圧の基準は医療機関や検診で測定する場合は
    収縮期血圧(上)が140mmHg、拡張期血圧(下)が90mmHg以上
    家庭で測定する場合は
    収縮期血圧(上)が135mmHg、拡張期血圧(下)が85mmHg以上

家庭血圧が高めの方は、循環器内科を受診して医師と相談しましょう。早期から血圧コントロールを行うことで脳卒中や心筋梗塞の発症予防につながります。

寒暖差とストレスにも注意をしましょう

血圧変動は、寒暖差とストレスを感じた時にも起こります。温かい場所から、急に寒い場所へ移動すると毛細血管が縮まり血圧が上昇します。

冬の朝、外に出るときは厚着をして体を冷やさないようにしましょう。「少しの時間だから」、「一瞬だから」といって薄着のまま新聞を取りに行く、ゴミを出しに行くなどはしないようにしましょう。

  • また、お風呂に入る場合は、脱衣所を十分に温めておきましょう。寒い脱衣所で服を脱ぐだけでも血圧は上昇します。熱いお湯に入ると一時的に血圧が上昇してしまうこともあります。脱衣所はヒーターで温めておき、浴室は脱衣前にシャワーなどを出しておき室温を温めておき、熱すぎないお風呂に入ることが予防策となります。

  • 寒い場所に出るときやお風呂に入る前は、手足を動かす、その場で足踏みをするなど軽い運動をすることもお勧めします。朝、起きる前に布団の中で手足をバタバタさせて、体を温めてから布団から出ることも対策の1つです。

ストレスを感じたときも血圧は上昇します。車の運転も、人間にとってはストレスの1つです。朝早くに運転する場合は車内を温めてから運転しましょう。