2020年7月掲載

うがいの重要性について

がん化学療法看護認定看護師 有安 晴美

  • うがいの重要性について
  • 新型コロナウイルス(COVID-19)が流行し、未だ収束しませんがみなさんの体調はいかがでしょうか? 新しい生活様式が提唱される中、これまで以上にうがい、手洗いをして生活している方も多いと思います。思えば私達は子供の時から、うがい、手洗いをするように習慣づけられてきました。感染予防に効果的であるため、生活の中に取り入れられてきたのでしょう。

    今回は、うがいの重要性について話をしていきたいと思います。

うがいのすすめ!

化学療法治療をすると副作用が出現する可能性が高くなります。ですが、できるだけ副作用を最小限に抑えて生活をしていくほうが、体も心も楽になっていきます。

化学療法の副作用にはさまざまなものがあり、薬品によっても副作用が違いますが、ごく一般的に起こりやすいのが口内炎、味覚障害、骨髄抑制です。

まずは口内炎についてお話しします。化学療法治療2日目より、口の中に薬成分が出てきます。その時に口の中に汚れや、傷があったり、口の中が乾燥していたりすると口内炎ができやすくなります。口内炎ができてしまうと、食べたり飲んだり、話したりするときに口が動くため、痛みが出てきます。さらにしみて、ごはんや水分が取りにくくなり、体力が落ちてしまう可能性があります。そのため、化学療法治療を始める前に歯科受診をすることをおすすめします。歯のクリーニングや治療が必要かどうか、大丈夫かの確認が必要になります。歯のクリーニングがしてあると口内炎の出現率が低いです。口内炎の副作用はうがいをすることにより軽減することができます。

うがいは、化学療法治療開始前や、治療中だけでなく、治療終了後も継続が必要です。起床時、食前、食後、内服前、外出後、寝る前など頻回にブクブクうがいをしていくことが重要になります。うがい薬を使用する方法もありますが、症状がない場合は、水がおすすめです。さらに歯みがきをし、舌もきれいにしましょう。入れ歯があれば、入れ歯を洗い、就寝時、洗浄液に浸すようにしましょう。口の中を清潔にすることが治療をうまく継続していくポイントになります。

味覚障害という言葉を聞いたことがありますか? 食べても味が分かりにくくなったり、塩味、しょうゆ味が苦く感じたり、逆に甘すぎると感じてしまう方もいらっしゃいます。舌にはつぶつぶのところがあります。これは味(み)蕾(らい)といい、味を感じる部分です。舌が汚れていたり、乾燥していたりすると味は感じにくいですが、うがいをして、口の中をきれいにすることにより、味を感じやすくなります。また、口の中がうるおい、食べやすくなります。味がわからないと食欲もさがってしまいます。食事は生活の中で重要な時間です。うがいは少しでも味が分かり、楽しい時間にするためにも必要です。

骨髄抑制という言葉は聞いたことがありますか? 化学療法治療をすると7日から14日の内に血液の中にある白血球、赤血球、血小板という重要な役割をしている血球が少なくなってしまいます。特に白血球は菌をやっつける重要な働きをしています。その白血球が少なくなると、細菌に感染しやすくなってしまいます。手洗い、うがいをして、体の中に菌を入れないようにすることが重要になります。

うがいをすると、副作用は最小限に抑えることができます。ぜひ、家族の方と一緒にうがいをして菌を少なくして、生活をしましょう。


【参考文献】
1.濱口恵子、本山清美編集:ベスト・プラクティス コレクション がん化学療法ケアガイド 第3版、中山書店、2020
2.岡元るみ子、佐々木常雄編集:がん化学療法副作用対策ハンドブック第3版 副作用の予防・治療から、抗がん剤の減量・休薬の基準、外来での注意点まで、羊土社、2019