2020年4月掲載

リラクセーションのすすめ

精神看護専門看護師(リエゾンナース) 中嶋 須磨子

  • リラクセーションのすすめ
  • 新年度を迎え、期待と不安の中、新生活をスタートした方もいらっしゃると思います。また、今年は新型コロナウィルスの影響で、普段とは違った状況下で緊張や不安を抱きながら日々を過ごしておられる方も少なくないのではないでしょうか。

    今回は、リラクセーションの理論と呼吸法によるリラクセ―ションの方法についてご紹介します。

ストレス⇔リラクセーション反応のしくみ

人間には内臓や代謝などの機能を調整している自律神経があります。自律神経は交感神経と副交感神経に分けられます。交感神経が優位になる状態は「闘争か逃避」反応といって、たとえば森の中で熊と鉢合わせした時の反応です。心拍数や呼吸数は増加し、血圧は上昇して筋肉が硬くなり、口が乾いて目を見開き、この場をどう切り抜けるかを考えるでしょう。一方、副交感神経が優位になる状態は、心身がゆるんで、夜眠りにつく時の感じです。この2つの神経が必要に応じて切り替わることによって、私たちはバランスを保っているのです。

しかし、緊張や不安が非常に強かったり長引いたりすると、バランスが崩れて眠れなくなったり体調を崩したりします。私たちは緊張や不安をもたらす原因のすべてを取り除くことは難しいかもしれませんが、リラクセーションによって自分自身で心身のバランスをコントロールすることはできます。

様々なリラクセーション技法の中で、最も手軽にできるものとして呼吸法(Breathing)があります。皆さんもぜひ試してみてください。

呼吸法(Breathing)の実際

【準備】

  1. 静かな環境の中で行います。落ち着く音楽をかけながら行っても構いません。
  2. ベルトや眼鏡など、身体を締めつけるものをはずします。
  3. しっかり椅子に座って背もたれに背中をつけ、楽な姿勢をとります(あるいは横になってもよいでしょう)。

【実施】

  1. 呼吸に意識を向けます。1~2回の深呼吸の後に、口からゆっくり息を吐きます。
  2. 鼻からゆっくりと息を吸ってください。お腹に風船を膨らませるつもりで大きく息を吸います。
  3. 息を吸ったら、ちょっと息を止めます。
  4. 口から細く長くゆっくりと息を吐きます。お腹をくぼませながら息を残らず吐き出します。
  5. ②~④を数回繰り返します。
    ≪さらに、イメージ法を追加してみましょう≫
  6. 息を吸う時に、冷たい白いきれいな空気がお腹いっぱいに入っていくところを考えます。
  7. 息を吐く時は、身体に溜まっていた疲れや緊張感が吐く息といっしょに出ていくところを考えます。
  8. ⑥~⑦を数回繰り返します。


  • ※胸やお腹に手を当てて動きを確認してもよいでしょう。
  • ※無理はしないようにしましょう(喘息などの呼吸器系の病気がある方は特に注意してください)