2018年11月掲載

風疹流行!!

感染管理認定看護師 井上 美智

風疹患者が急増

  • 2018年7月から首都圏を中心に風疹患者が急増しています。新聞やテレビ等の報道を耳にし、不安を感じている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

    厚生労働省が「風疹の免疫がない人が多い世代」と指摘するのが、「昭和37年4月2日~54年4月1日生まれの男性」と「昭和54年4月2日~62年10月1日生まれの男女」の2つの世代。男性に対する定期接種が制度化されていない時代や、個別に医療機関で接種を受ける制度だったため、接種率が低い現在30~50代の男性の感染が多い傾向です。

風疹とはどんな病気?

一般的に『三日はしか』と呼ばれ、風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症です。風疹ウイルスは患者さんの咳や鼻水などを介する飛沫感染によってうつり、主な症状として発疹、発熱、リンパ節の腫れが認められます。

潜伏期間は2-3週間で、発疹のでる2-3日前から発疹がでた後の5日くらいは感染力があると考えられています。


大人の風疹

大人が感染した場合は発熱や発疹の期間が小児に比べて長く、関節痛がひどいことがあり、一週間以上仕事を休まなければならない場合もあります。

妊婦の方(特に妊娠20 週頃までの妊娠初期)が風疹にかかると、その胎児も風疹ウイルスに感染します。すると、先天性風疹症候群という障害をもつ可能性が生じます。その障害は難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ等としてあらわれます。


どうやって防ぐの?

風疹の予防接種をうけましょう。

風疹の潜伏期間は2-3週間で、発疹のでる2-3日前から感染力があるため、ワクチンによる予防がもっとも重要です。
風疹ワクチンは、1回の接種だけでは、20人に1人は抗体ができないと考えられているため、2回の接種が勧められます。2回接種する場合は、1回目から最低でも1か月以上の間隔をあけてください。

風疹の予防接種には、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の使用が推奨されています。女性は妊娠前に2回(子どもの頃も含めて)の予防接種をうけることによって、妊娠中に風疹にかかることを予防します。(ただし妊娠中は風疹の予防接種をうけることはできません)

男性ももちろん、予防接種を受けてください。これはご自身だけではなく、周りの女性に対しての配慮でもあります。罹患すれば、子どもであれば、妊娠中のお母さんなどにうつしてしまうことがあります。また、大人であれば、妊娠中の配偶者(妻)あるいはパートナー、職場の同僚などにうつしてしまう可能性があります。

このような背景の中で、自治体によっては、特定の条件を満たしている方を対象に、風疹抗体検査や風疹のワクチン接種に対する助成を定めている場合があります。特に妊娠を希望している女性とそのパートナーの方は、自身が所属する自治体や保健所に風疹検査とワクチン接種について確認することをおすすめします。各自治体のホームページ上に詳細が記載されています。

予防接種はご自身を風疹から守るだけではありません。他の人に風疹をうつすことが少なくなれば、社会全体を風疹から守ることができます。