栄養管理科コラム
「血圧管理できていますか?」
栄養管理科 管理栄養士 石田 彩華
2026/3/30掲載
2019年以降、2025年8月日本高血圧学会から6年ぶりの改訂となる「高血圧管理・治療ガイドライン2025」が発行されました。ガイドラインの名称が「治療」から「管理・治療」に変更され、減塩や運動などの生活習慣改善を重要視しています。
高血圧とは
血圧は収縮期血圧(上の血圧)と拡張期(下の血圧)を用います。
- 診断基準:診察室(病院)血圧140/90mmHg以上、家庭(自宅)血圧135/85mmHg以上
- 降圧目標:すべての年齢層において、個別性に配慮し、原則として診察室130/80mmHg未満、家庭125/75mmHg未満へ一本化
(改訂前75歳未満:130/80mmHg未満、75歳以上や患者背景により140/90mmHg未満)
病院では緊張で高く出る白衣高血圧、逆に病院は正常でも自宅で高く出る仮面高血圧など診察室と家庭に乖離がある場合には家庭での血圧測定を強く推奨し重視されています。
測定のタイミング
測定前に1~2分安静にしてから、毎日決まった時間に1日2回を推奨しています。
- 起床後1時間以内:排尿・排便後、朝食前、降圧剤飲んでいる場合は服薬前
- 就寝前:入浴後1時間以上あけて、一つの機会で原則2回測定し、その平均値を記録する。4回以上の測定は勧められていません。
生活習慣の改善項目
血圧管理においては、まず生活習慣の見直しが基本となります。
食事内容の改善では、塩分(ナトリウム)の摂取を控えることが重要であり、加工食品や外食を控えるなどの工夫が有効です。また、野菜や果物に多く含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウムの排出を促す働きがあり、積極的に取り入れたい栄養素です。
そのほか、適度な運動、体重管理、禁煙、節酒などを継続することで、血圧のコントロールが期待できます。
これらの生活習慣の改善を一定期間行っても十分な効果が得られない場合や、血圧が高い状態が続く場合には、内服治療の併用を検討します。
患者さん一人ひとりの状態に合わせて、無理のない方法で段階的に治療を進めていくことが大切です。
食事に関係するナトリウム制限(食塩6g未満)+カリウム摂取について
ナトリウムとカリウムの関係についてご説明します。カリウムは細胞内に、ナトリウムは細胞外にバランスよく保たれています。必要以上にナトリウムを摂取すると水をため込む性質があるため、血液中の水分が増え、それにより血液量が増えることで血圧上昇に繋がります。
一方でカリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制するため、尿からのナトリウム排出が促進されます。その結果、体内の血液量が減少し、血圧の低下につながります。
現状の食塩(ナトリウム)摂取量は男女ともに目標量を上回っていますが、逆にカリウムの摂取量は目標量を下回っています。(高血圧がある場合は日本人の食事摂取基準2025と日本高血圧学会の目標量は異なるので注意が必要です。)
食塩(ナトリウム)を減らすだけでなく、カリウム摂取とのバランスを見る指標として「ナトリウム/カリウム比」が注目されています。理想は「2未満」、まずは「4未満」と値が高いほど血圧が上がりやすく、将来の高血圧リスクが高いといわれています。
「ナトリウム/カリウム比」は尿検査により測定されますが身近ではないため、カリウムが多い野菜は調理の過程で食塩が加わりがちなので付け合わせとして添えること、果物は果糖を含むためいくらでも食べてよいというわけではなく適量を摂取するように増カリウム・減ナトリウムを意識してみましょう。
腎機能が低下している方はカリウムの摂取に注意が必要な場合があるので主治医と相談してください。
まとめ
家庭血圧測定を習慣化し、増カリウム・減ナトリウム・適正体重の維持・節酒など食事を基盤とする生活習慣の改善で高血圧予防・管理に繋げましょう。
【出典】
・高血圧管理・治療ガイドライン2025~改訂ポイント~
・厚生労働省ナトカリ手帳
・臨床栄養 December 2025 vol.147 No.7
・日本人の食事摂取基準(2025年版)(厚生労働省)
・令和6年「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)